特大イサキも登場! 北九州・響灘のスーパーライトジギング【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年08月25日
最初に断っておきます。北九州・響灘でのスーパーライトジギングを今回紹介しますが、釣れすぎて、写真を載せきれませんでした。ここに掲載した写真は釣果のほんの一部。一番写真が少なくなってしまったが、今回ダントツで釣っていたのがビート代表の大貝俊也さん。前編ではそんな大貝さんの攻略法を紹介します。
ジグを活かすも殺すも竿と攻める方向
「正直言って、状況はかなり悪いです」
福岡県北九州市に拠点を構える「光生丸」の花島文夫船長は、朝会うなりいきなりこう言った。今回のメインターゲットであるイサキが、例年であれば最高のシーズンを迎えているハズなのに、今年はどうも様子がおかしい、というのだ。
「昨年、我々は北九州のイサキをスーパーライトジギングで狙うべく訪れたんですが、シーズンを外してしまったせいもあって本当の北九州の威力を見ることができませんでした。今回はそのリベンジです。本来であればこの時期の北九州は、鳥山やボイルが絡んでいなくても、大型というよりもむしろ特大サイズのイサキが狙えるはずなんですが…」と話すのは、スミス・中村豪さんだ。
「いつもは釣れるはずの場所が本当によくないので、今回は山口県の角島のほうまで走ります」(花島船長)
よっぽど悪いのである。
▲福岡県北九州市に拠点を構える「光生丸」の花島文夫船長。的確な天候や潮の読みと緻密なデータ分析で、とにかく釣らせてくれるスーパー船長だ。
だが、そんな状況でも釣る人は釣る。では、そんな人は何を考えて、どう釣りを組み立てていたのだろうか?
一番写真が少なくなってしまって申し訳ないのだが、ダントツで釣っていたのがビート代表の大貝俊也さんだった。
▲掲載写真は少ないが、ダントツで釣っていたビート・大貝さん。こんなヒラメ2枚の他、シーバスもマダイも釣った。
釣果を得るには、状況を見極めよ!
まずは大貝さんのタックルだ。スピニング3本、ベイト2本の計5本で、もちろんこれにはちゃんと意味がある。
▲ビート代表の大貝俊也さんが持ち込んだスーパーライトジギング用タックル。スピニング3本、ベイト2本で、すべてセッティングが異なる。それぞれに意味があって5本用意している。スペースの都合でその全容を紹介できなかったが、機会をみてまた解説してみたい。
▲大貝さん監修の、モーリス製スーパーライトジギング用フック。こちらは大貝さんのコダワリが詰まっている。「フロント用とリア用があるので間違えないでください」
▲大貝さんセレクトのメタルジグ。今回はニューモデルの「カエリ」と「Vスケール」、そして「ベビージグレイ」を主に使用。ビート製ジグの使い分けも紹介したい。
「スーパーライトジギングは、一本のロッドだけでも釣りは可能ですが、より釣ろう、よりよい釣果を求めるのであれば、そのときの状況に合った最適なタックルセッティングで、最適な方法で攻めたほうが釣れます」
今回の状況を簡潔に紹介すると、初日は水深20m程度から50mといった深場も攻めた。風は弱く潮もなく、船はドテラで流すもののほとんど流れない。大貝さんは浅場では広範囲を探るべくスピニングタックルを用いてキャストして攻略し、深場ではバーチカルで攻めやすいベイトタックルをメインで使用した。
それが二日目になると、ポイントも水深もほぼ同じであるが状況が一変。風がかなり強く、潮の流れなど関係なく船がどんどん流されていく。
▲風が強く船がどんどん流される状況ゆえ、かなり遠くでヒット。凧揚げのような状態となり、強烈な圧が掛かる。
▲さぁやは得意のVスケールで貴重なマダイ。渋い状況ながら、さすがの一枚だった。
▲上がって来たのは特大アオハタ。これには全員がびっくりだった。実はこの魚とほぼ同時に大貝さんも大型アオハタをキャッチ。
▲胸鰭が美しいホウボウ。ボトムの魚だが、かなり上の方まで追って来る。案外よく引き、美味でジギングの好ターゲットだ。
▲クリっとした目が可愛い良型メバル。これもVスケールだ。さぁやはこのVスケールでいったい何魚種釣ったのだろうか…。
「ドテラでも船があまり流れない状況ではそんなに気にする必要はないのですが、問題は二日目のような風が強いとき。このよう状況ではテクニックが必要で、いろんなことを考えて釣りをする必要があります」
まず考えるのは、風上側(潮下)で釣るのか、風下側(潮上)で釣るのか、ということ。風上側とは、風が正面から吹きつけて来る舷で、つまりラインがどんどん出ていく船の進行方向後ろ側。風下側とは風を背に受ける舷で、ラインはどんどん船下に入って来る。ジギングでは正直釣りにくい状況だ。したがって、多くのアングラーはより釣りやすい風上側で釣りをする。
だが大貝さんは、今回のようにイサキをメインターゲットとしているのであれば、むしろ風下側で好んで釣りをする。
「風上側ではラインを船で引っ張る格好になるため、風が強い状況では止めていてもジグは動いているほどです。船のスピードが速ければジグは浮き上がってしまいます。こうなると、ジグを思うようにフォールさせられないという現象が起きます。イサキはフォールのアクションに反応がいい魚なので、フォールアクションが絶対的に必要になります」
▲スーパーライトジギング用ベイトロッドの「サテル」のブランクはフルソリッド。風上側でバーチカル気味に攻めるときにとくに有効だ。
▲ビートテスターの右近賢吾さんは、ベビージグレイのさぁやカラーとスーパーライトジギング用ベイトロッドの「サテル」で良型カサゴ。
▲中層ではサゴシ(サワラの若魚)も。二日目は鳥山が所々に見られ、船上は一気にヒートアップしたが、そのメインの主はこのサゴシだった。
風下側はライン(ジグ)がどんどん手前に寄って来るので釣りにくいが、実はこのほうがフォールを入れやすく、イサキを狙う表層から中層のレンジもキープしやすい。
ジグをキャストする必要があるのでロッドはスピニング。ビートのスーパーライトジギングロッドでも硬めの「グーステクニカルエスGTS‐6」または「グースG65T」を使う。
「船が進んでラインが寄って来るので、硬めの竿でキャストして飛距離を出し、しっかりとアクションを与えなければジグは動きません」
もし風上側で釣るのであれば、スピニングであればロッドは逆に軟らかめのソリッドティップを搭載した「グースG65S」。
ロッドで与えるアクションはよりソフトかつスローにして、そしてリールは半回転など巻き数を少なくして対応する。状況によっては1/6や1/8まで落とすという。
「案外意識している人は少ないように思うのですが、船は常に動いているものだと思ってください。このことを意識して、フォールを正しく使えるようになると、釣果は倍以上変わります。ウチもたくさんの種類のジグを出しているのでこんなことを言うのもなんですが、ジギングというとジグの性能にばかりにスポットライトが当たることが多いのですが、実はジグの性能を活かすも殺すも竿と攻める方向です。どんなにジグの性能がよくても、竿が合っていなかったり、攻める方向が間違っていては魚は釣れません」
▲國田さんや小川さん、そしてメロン屋工房の永井さんは良型キジハタ。豊かな響灘はキジハタも大型だ。
▲小型の根魚たちは、花島船長が丁寧にエアを抜いてからリリース。
▲鳥山が立ったので「これはもらった!」と攻めると、ヒラゴ(ヒラマサの若魚)。もちろん嬉しい魚であるが、イサキを期待していただけに複雑な気持ち。
【この記事は2021年7月現在の情報です】
北九州・響灘のスーパーライトジギング【後編】はこちら>>>
SHARE
PROFILE
SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。