東京湾のタチウオジギング【後編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年09月30日
東京湾のライトジギングの代表格であるタチウオ。湾内の各地からジギングの遊漁船が出船しておりより手軽にチャレンジすることができる好ターゲットだ。シーズンは夏と秋から冬と長いのも魅力の一つ。
そんな、初心者からエキスパートまで皆が楽しむことのできる人気ゲーム、タチウオジギングの魅力を、前後編でお送りする。後編では、秋から冬にかけてのタチウオの探り方の基本やパターンを紹介。なかなか釣果が伸びないという人は、ぜひチェックしてもらいたい。
強烈な引きを楽しめる冬
冬のタチウオは、深場を探ることになるのが、それが楽しい。しゃくっていると根掛かりしたように「ドスン」とヒットがあり、ファイト中もグングンと下へ下へと引くのが魅力である。また水深があることで、レンジをしっかりと探らないと食わせられないのだが、きちんとレンジを見極め、そのレンジの中でしっかりとジグを追わせられればヒットへと繋がる。そんな引きの強さと難しさがあることから、エキスパートはこの冬の釣りを好む人が多い。ソルトワールド本誌の取材でも、そのような理由からこの冬のタチウオジギングを取り上げることが多い。
ちなみに冬のタチウオの探り方は、夏場のジグでの探り方と同様、ワンピッチ、ショートピッチ、ただ巻きとなる。ジャークの組み合わせなども行い、その時の当たりジャーク、速度を探していく。
また冬場のタチウオは、水深が深いこともあり、フォールでのアタリを取ることが、より重要になる。水深があるため、フォールでアタってくるレンジも広い。常にラインをサミングして、僅かなアタリも逃さないようにしたい。
タックル選びとより釣果を得るための心得
ここで本誌取材の中から、上屋敷さんの秋から冬のタチウオの探り方を紹介しよう。
まずジグはワイプアウトショートの100g、130g、160g をメインに使用する。水深や潮の速さに応じて使い分けていく。久里浜沖の深場を探る場合は、200g を装着する。ワイプアウトショートは、テール側にウエイト配分されているため、素早く落ちるのが特徴である。観音崎沖や久里浜沖は、東京湾の入り口のため、潮が速い時も多い。ヒラヒラ落ちるジグより、素早くフォールするジグのほうが、タチウオの遊泳層を直撃できるのである。
また出来る限り巻きでタチウオを追わせて掛けたいというのが、上屋敷さんの考え。それは追わせてテールフックに掛けたほうが、引きをより味わえるということ。そしてテールに掛けることで、ファイト中のラインブレイクが減るからだ。フロントのアシストフックに掛かると、どうしてもタチウオの歯によるリーダーブレイクの可能性が増す。よりジグのロスを無くすための考えだ。
加えて、ワイプアウトショートは、毎年タチウオを意識したカラーリングを作っており、ラインナップも豊富。タチウオジギングにおいて、ジグカラーは重要な要素。使用しているカラーの違いだけで大きく釣果が開くのだ。
▲出来る限りテールのフックにフッキングさせたい。テールに掛けることで、ヒット後のタチウオの歯によるリーダーブレイクを軽減できる。
▲フック装着は、人それぞれ。いろいろと用意し、どれがヒット率が高いか、どれがバレが少ないかなどを試したい。
ちなみに上屋敷さんのしゃくりは、基本のしゃくりと同様、ワンピッチジャークを速度を変えつつ色々と試していくが、しゃくり幅を時に大きく時にすごく小さくしたりと変化させたり、ロッドはほとんど動かさずに、リールのハンドルの強弱だけでしゃくったりする。また巻きの後にピタリと止めるといったことも行う。
さらにタチウオジギングの際、タックルは数本用意している。これにはギヤ比の異なったリールをセットしている。これはギヤ比の違いで、ジャーク速度が変わるため。ラインの巻き取る手の速度や、ロッドをしゃくり上げる速度の調整だけでも、色々な誘いのパターンを演出できるが、ギヤ比の違うリールを使うことで、より誘いの幅が広がる。以前の取材時には、船長も「ローギヤの人ばかりアタる時もあります」と言っていた。人間サイドでは僅かな違いと感じるが、その僅かな違いで、ひとり連続ヒットも珍しくはない。「リールのギヤ比の違いもありますが、ロッドの違いでヒット率が異なる場合もあります」
いくつかタックルを持っていくのは、そんな理由がある。それがこの釣りの奥深さでもあり、面白い部分でもある。
▲タックルはベイトが主流。ラインはPE0.8号、1号。上屋敷さんは、モーリス・アバニジギング10×10、スーパーコンダクターを使用。リールはシマノ・バルケッタ300HG、オシアカルカッタ200HG、カルカッタコンクエスト250DCを使用。ちなみにラインは深い場所を探るため、300m以上巻いてあると安心だ。
探る層は、指示されたタナが中層なら、その下10m、上20mほど。また中層でアタリが無ければ、さらに広く探るようにする。ボトム付近なら、ボトムから20~30mは探る。タチウオの反応は、すぐに移動する。広く探ることで、そんな移動に対処できる場合もある。
また確実にランディングするためには、ヒット後はロッドを目線の位置でキープし、タチウオの動きに合わせてラインを巻き取ってくる。口が柔らかいタチウオは、ポンピングを行うとフックが外れてしまうことが多いからだ。
このようにいくつかの基本と、パターンの探究心があれば、良い釣りが期待できる東京湾のタチウオジギング。釣果を得るのは簡単なことも多いが、釣果を同船者よりも伸ばすとなると簡単ではない。しかしあれこれ考え、テクニックを駆使することで釣果は伸びる。そんなところが、この釣りの最大の魅力だ。
▲仲間でワイワイ楽しむのもいい。釣れる釣れないの差が出るため、大会なども多く行われている。
【この記事は2020年2月現在の情報です】
東京湾のタチウオジギング【前編】はこちら>>>
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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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