淡路島周り&中紀のライトジギング【後編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年10月04日
スロー系ジギングを自身のメインスタイルとする、シマノインストラクター山本啓人。手練れの彼をして「僕の原点」というフィールドが大阪湾、淡路島周り、紀北から南紀までの海域だ。
ここでは、山本のホームエリアをモデルフィールドに、シマノ製のロッド、リールの実釣インプレッションを前後編でお届けする。後編の今回は、2019年に発売されたオシアジガーインフィニティのインプレや、和歌山へ移動しての実釣の様子を紹介。
インフィニティの実力とフォールレバーの活用術
横で見ているだけでも操作性の高さが見てとれる、オシアジガーインフィニティ。山本に実際の感触を尋ねてみた。
「今回は完全なモデルチェンジです。前モデルに比べると、格段に体への負担が少ない、というのが最大の特徴です。前モデルはどちらかといえば先調子で、グリップの前あたりを頂点に曲がり、その反発力を使ってジグを動かすタイプのロッドでした。新しいモデルは、グリップ全体が曲がる、ここが一番の特徴です。曲がると言ってもグニャっと曲がるのではなく、一瞬たわむ感じ。これが体の負担を大きく低減してくれます。ロッドを曲げ込む動作を助けてくれるので、疲れ方が大きく違ってくるんです。たとえるなら300gのジグでも、200gのジグをシャクっているような感覚。魚を掛けてからも上がってくるのが早く感じますね。
前モデルとは基本的なテーパーが異なるのですが、より繊細になっている印象です。一本一本をより細かくチューニングした、といえるかも知れません。最高峰のロッドをなぜフルモデルチェンジしたのか? といえば、釣りが進化しているというのが一番の理由でしょう。釣りの進化に対応し、より楽にジグをしっかり動かせたらこれに勝るものはない。テクノロジーの進化も合わせ、より細くなって、軽くなり、魚もより早くキャッチすることができるようになった。現時点では最高のロッドですね」
絶賛、という印象だ。
▲前モデルとはテーパーをチェンジし、まったく異なるタイプのロッドとして生まれ変わったオシアジガーインフィニティシリーズ。「とにかく体への負担が少ない」とは山本。シマノのお家芸、スパイラルXコアはもちろん、最新テクノロジーもフル搭載のフラッグシップモデルだ。
スタートフィッシングから約2時間。多くのアングラーがサバを掛けるなか、山本は選ぶようにサゴシとハマチを連発していった。その後、サゴシも避けてブリサイズ狙いに徹していった。実際には速度変化を意識した速めのジャークで青物狙いするだけでなく、フォールレバーを駆使することでも魚の釣り分けを行っていた。
「この時期のイワシパターンの場合、底に群れが固まっていることが多い。大きなイワシボールの中から、フォール中であってもジグを見つけて欲しい。そこで僕は青物、マダイ、サワラのなかでどの魚を狙うかによってフォールスピードをコントロールしています。
青物の場合はフォールのテンションゼロでフリーフォール中のバイトを狙ったり、速いフォールで魚を寄せてから上げの動きに変えて喰わせたりすることを意識します。
サワラを釣りたいときは、少しブレーキを掛け気味にして、フォール中に喰わせる、もしくはフォールで寄せてから着底、そこからジャーク&フォールで誘って喰わせていく、という釣り方を展開することが多いですね。マダイは、ちょうど青物とサワラの、中間のフォールスピードが好き、というイメージがあります。
完璧にはできないとしても、フォールレバーでスピードをコントロールすることにより、魚を釣り分けていくことは可能だと思いますよ」
この日の前半戦は「上げ上げ」のジャークパターンが有効だったが、イワシパターンの場合、フォールでの攻略が有効となることは多い、という。イワシの群れの中でジグを見つけてもらう、という意味でもフォールスピードのコントロールは非常に重要なテクニックのようだ。
▲この時期のイワシパターンの場合、群れが底に固まっていることが多いという。
ドテラ&ウルメパターンに対応してハマチを連発!
潮止まりとともに、それまで活発だった喰いが止まった。船長もそれは織り込み済みのようで、すぐさま和歌山方面へと移動した。約1時間30分の移動後、水深72mのポイントから流し始めた。淡路島周りでは船を立てて流していたが、ここではドテラ流しとなった。山本はこれに対応し、オシアジガーインフィニティB65–2とオシアジガーFカスタム1500HGのセットを握った。
「ドテラ流しであること、ベイトが15cm以上のウルメイワシらしいことから、ジグのウエイトをアップしたぺブルスティック150gにチェンジしました。しっかりロッドの反発力を使ってジャークしたいのでタックルも強めのタックルにします。水深が100mを超えたらB65–3の出番ですね」
▲取材時の使用ジグ。写真上からオシアスティンガーバタフライ ぺブルスティック、同サーディンウェバー、同TGガトリング。ウエイトは80gから160gを使用。
潮が二枚気味のようで、山本は軽くフォールレバーを入れて、余分な糸フケが出ないように対応していた。加えて、広く、速く探るべく、ジャークパターンも長めのストロークに変更していた。
ここでもほかのアングラーがサバやマダイ、ホウボウをキャッチするなか、山本はハマチだけを掛け続け、サイズアップも果たした。しかし、残念ながらメジロ、ブリサイズまでは届かず、ストップフィッシングを迎えた。
「海はいつも通りでしたね。今年は少なめということですが、イワシの群れはしっかり入ってきています。ただ、まだ群れについているフィッシュイーターのサイズが小さい印象ですね。序盤なのでこれからに期待です。速度変化を意識して喰わせていく、大阪湾、中紀のイワシパターンの釣りとしては基本通りのテクニックが通用したと思います。新しいオシアジガーインフィニティを使い倒しましたが、軽く、粘り強く、体への負担も少なく、ジグ操作、魚とのやり取りでも十分に満足できる仕上がりだと思います。
オシアジガーFカスタム、オシアコンクエスト リミテッドともに、フォールレバーを活用できるので、フォールスピードを使い分け、魚種多彩な海から魚を釣り分ける攻略もできると思う。全体的にもアタリを増やしていけると思いますよ」
2019年新作のロッド&リールは、今回のフィールドにもバッチリ、と山本。でも、とさらに付け加えた。
「今回のエリアでの9月以降は基本的に今回と同様の釣りが出来るし、中心になるとは思います。ただ、時期的に有名な明石大橋の橋脚周りの釣りなども視野に入ってきます。2ノット以上の激流のなかでのタチウオパターンの釣りです。ジグも250から300g、ときには400gといったロングジグを使って、10kgオーバーのブリを狙う釣りが始まるかも知れません。2番、3番のロッドが必要になる可能性がありますね」
大型が回遊してくるのはもちろん、いまのハマチがメジロ近いサイズに成長、メジロがブリサイズに成長している可能性も十分に期待できる、という。ぜひとも今回の山本の攻略法を参考に、タチウオパターンも視野に入れ、大阪湾、紀北、中紀の釣りに挑戦してほしい。
▲山本の使用タックル。写真左からオシアジガーインフィニティB65-0+オシアコンクエスト リミテッド300HG、オシアジガーインフィニティ B65-1+オシアジガーFカスタム1000HG、オシアジガーインフィニティB65-2+オシアジガーFカスタム1500HG。メインラインは順番にオシアEX8 PEの1号、1号、1.2号。リーダーは順番にオシア リーダーEX フロロの4号、4号、5号を使用。以上、すべてシマノ製。
(文中敬称略)
【この記事は2020年2月現在の情報です】
淡路島周り&中紀のライトジギング【前編】はこちら>>>
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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