スローピッチングジャークスタイルで釣る! 西本康生流「キハダマグロ攻略術」【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年10月12日
スローピッチスタイルを自身のメイン釣法として、キハダのジギングを精力的に展開している西本康生。ここではキハダアイランドとして人気を集める沖縄県久米島、パヤオ周りでのジギングを中心に紹介する。
キハダパラダイス久米島の魅力
「いつ行ってもキハダがいて釣りが成立するし、楽しめる。いつでも大型がヒットしてくる可能性があるのも魅力です」とは西本康生の言葉による久米島、キハダジギングの魅力だ。
さらに、パヤオの数が多いのもありがたい。1日のうちに回れるのは3~4か所程度だが、選択肢が多いことはプラス要素でしかない。釣果の安定感にもつながっている。
シーズンは4月から10月までが目安。前半戦は数が楽しめ、後半になるにつれサイズがアップしていくのが基本だが、常にビッグワンのチャンスはある。漁師たちは50㎏オーバーのキハダを周年コンスタントにキャッチしている。
「大型のヒットパターン? 比較的浅いレンジでヒットする傾向がある、くらいしか分からないですね。80m程度でよくヒットしてくるイメージがあります」
西本自身のレコードは38㎏。久米島でのジギングのレコードとしては60㎏クラスまで確認されている。50㎏前後なら数多くの記録がある。
水温が低い4月はビンナガやメバチなどのゲストが多く、水温が上がってくればカツオやカジキが登場する確率がアップしてくる。ハイシーズンは梅雨明けから台風が連発するまでの期間。海が安定しているので出船率が高く、キハダの元気もいい。
パヤオは水深1000mを超える深海に設置されているため、中層を探る釣りが基本となる。細かいイメージとしては80mから40m刻みで、240mくらいまで反応が出ることが多いという。
西本は250m前後までジグを落とすが、一般的には160mまでを釣ることが多いようだ。
深いから大型、浅いから小型というわけではないし、活性の高い群れがどのレンジに集中しているのか、大型がどのレンジにいるのかは分からない。日によって状況によってこれを探っていくのが醍醐味となる。
タックルは2つの基準でセッティングする
西本は目標サイズを30㎏と50㎏に設定し、タックル選択の基準としている。
「以前よりも少しパワーアップして組み立てています。小型が多いときはあまり太いタックルを使うことはないですが、アタリが遠く一発大物の気配があるときは、50㎏を想定したタックルを使用します。こういう考え方はシーズンを通してやっています。いつでも大型はいますからね」
30㎏クラスを想定した場合はPE2.5号、50㎏クラスを想定した場合にはPE3号、4号をメインラインに使用する。
ロッドの長さは6~7ftが中心。釣りをする時間が比較的長いので、体力的にキツさを感じる人は短め、6ftちょっとがベストだ。7ftクラスになると体への負担が増してくるが、バットの強さを生かした力強いファイトができる。西本の場合は、そういった考えで長めのロッドを使うことも多い。
「普段スロー系の釣りをしているのであれば、手持ちの4オンスクラス、6オンスクラスをそのまま使ってもらえば問題ないですよ」
リールは使用ラインを最低でも600m巻き込むことができるサイズを選ぶ。
ハイギア、ローギアの選択に関しては、大物釣りに慣れず、力に自信がない人にはローギア、パワーギアがおすすめだ。体力に自信がある人はハイギアのメリットが大きい。ヒットレンジが絞れてきて、狭いレンジをネチッこく探りたいときはローギア、どこに魚がいるのか、探したいときはハイギアのリールを使い、広く探るのもテクニックのひとつだ。
スローピッチスタイルでキハダを狙う場合、ドラグ負荷を変えてファイトを展開するのが大前提となる。そうした観点から、西本はレバードラグタイプのリールをすすめている。
「レバードラグを装着したリールがおすすめです。使いやすいし、獲りやすいと思います。どんな高性能ドラグでもキハダが走れば、熱でダレて負荷が弱くなる。同じドラグの位置でファイトし続けるとドラグが滑って魚が上がらなくなってくることもあります。その分を調整して補完する必要があります。でも、魚が見えるくらいまで寄ってきて、走らなくなるとドラグは冷えて効き出す。すると緩めたい。このような対応がリニアに、視覚的に操作できるのがレバードラグの優位性。レバーを倒すことで、倒した分だけ負荷が上がるし、戻した分だけ負荷が少なくなる。これが視覚的にも分かりますからね」
ラインはいいものをこまめに巻き替え、新しい部分を使ってほしい、と西本。レンジを探る釣りなのでマーカーは必須。1mごとのマーキングは不要だが、10m刻みのマーキングは欲しいところだ。
「スプールエッジギリギリまでラインを巻いてしまうと、慣れない人ほどファイト中に片巻きをしてしまい、ラインブレイクの原因を作ってしまいます。普段より少ないかな、と思うくらいに巻いておくくらいでちょうどいい。リーダーを巻き込んでスプールエッジちょうどになるくらいのほうがトラブルが少ないですね」
リーダーも品質がよく、強いものを吟味したい。太さが喰いに大きく影響することもあるので一考の余地あり、だ。一台のリールを使い続けるなら、1日の釣りを終えたら結び替えるくらいの配慮は欲しいところだ。
ジグは3つのタイプを状況に合わせ使い分け
ジグのウエイトは200gから300gを用意しておけばほとんどのケースで対応が可能。西本は大きく3つのタイプを使い分ける。
メインジグはロングシルエットでフォールスピードが速く、かつ直線的なタイプだ。「キハダはフォールの速い動きに反応しやすいのが特徴。250gのウエイトであれば、80mから250mの幅広いレンジを思い通りに探ることができるのがこのタイプ」
直線的なフォールに反応が鈍いときに投入するのが、ロングシルエットでヒラヒラ落ちていくタイプ。フォールスピードをキープできる細身で長いシルエットながら、アピール力をアップできるのが特徴。西本は魚が薄いと感じるとき、寄せる意識で多用することが多い。
2つのロングジグにいまひとつ反応しないときは、ショートタイプでシルエットが小さいジグを試す。喰いが渋く、小さいエサばかりに反応しているように感じるときに投入する。エサ釣りの人と同船したときに感じることが多い、タナがきっちり決まっていると感じるときもキハダが口を使ってくれやすい、と西本。
ただし、小さいがゆえキハダに呑まれやすく、口の奥で掛かってしまうときがある。ラインブレイクが起こりやすいので注意したい。
フックセッティングに関しては臨機応変に対応する。
フックの数が多ければ多いほどフックアップ率は上がるものの、ヒット後のコントロール性、大型魚キャッチへの優位性などを考慮し、前後1本ずつ、リア1本だけなど、西本は状況によって多彩に使い分けている。
リリースを前提にバーブレスにすることもある。好みのスタイルや考え方で自由にセットすればよいだろう。
ジグは当然だが、ロッド、リールも使い分けを考慮したうえで予備をプラスして持っていきたい。
西本の場合、ロッドは4本、リールは6台を目安に持っていく。久米島への釣行は2泊3日、3泊4日が基本となる。この日程を考慮すると最低3セットは欲しいところだ。
劣化という意味でとくに注意したいのはライン。1本釣るとかなりラインが傷んでいると想定してよい。西本の場合は30㎏クラスのキハダを1本釣ると、そのリールは休ませる、というイメージでチェンジしている。ほかのアングラーとラインクロスするとケバ立ちができたりするし、それが大きな不安要素にもなる。
実際にラインブレイクの確率もアップするだろう。自分の体重に近いような大型魚を狙う場合は、やはりラインに特段の配慮をしていきたい。
替えのラインを用意するほか、スプール交換が容易なリールであれば、可能な範囲で替えスプールを準備できると安心できる。
以上の基本タックルのほか、ドラグの値を測ることができるようなフィッシュグリップ、バネばかりなども用意したい。初期設定値をしっかり測っておけば感覚が身に着きやすい。
また、とりわけ夏の久米島では暑さ対策、日焼け対策がとても重要。日焼けは体力消耗にもつながる。水分補給を万全に、熱中症対策、ファイト中の脱水対策にも配慮しておきたい。
スローピッチングジャークスタイルで釣る! 西本康生流「キハダマグロ攻略術」【後編】はこちら>>>
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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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