状況に合わせ、瞬時にルアーを選ぶ!「徳永兼三流相模湾エリアでのキハダ攻略ルアーセレクト」【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年10月13日
INDEX
古くは久米島から始まり、遠征、近海で多くのキハダをキャッチしている徳永兼三氏。その中で、相模湾でもハズレ年だった2020年を除き、コンスタントにキハダを手にしている。そこで、自身がフィールドに持ち込み、実績のあるおすすめルアーを解説してもらった。
黒潮分流がもたらす近海へのキハダ回遊
キハダ狙いで周年を通じた釣況を考える際に、最も大きな影響を及ぼす要素として考えなくてはならないものに、海流の影響があります。本州沿いに南から北にかけて黒潮の大きな流れがあり、これに乗ってキハダは移動しています。黒潮の流れがキハダの行動を支配しているといっても過言ではありません。
1年の季節毎の移り変わりを考察する際に、この黒潮の接岸状況が釣況を左右します。春から夏にかけて黒潮は紀伊半島、東海、関東、常磐沖にかけて接岸し、カツオ、キハダの群れがやってくるのです。
黒潮は、本来栄養に乏しい海流と言われており、透明度が高いため深くまで光が届き、水深のある所では黒く見えることで黒潮と呼ばれています。
しかし太平洋岸沿いの複雑な海底地形に当たる際に、湧昇流が発生し、深海の栄養分豊かな海水が表層にもたらされ、プランクトンやそれらを餌とする小魚を育みます。これらがキハダやカツオの餌となっているのです。
キハダは最大で200㎏にも達しますが、日本近海、黒潮本流にいるキハダは40~60㎏、時として80㎏クラスが回遊し、捕獲されています。
駿河湾や相模湾内に入ってくるキハダは、黒潮の分流にいる群れで10~30㎏クラスがアベレージサイズ。東海地方、駿河湾には以前には観測用のパヤオがあり、シーズンになるとキハダも比較的釣れていましたが、近年このパヤオが撤去されてからは釣期が安定していません。
相模湾には6月~7月にかけて入ってきて、多くのパヤオや餌となるベイトが多いため、一度入り込んでしまうと10 月ぐらいまで留まっていてくれます。しかし昨年2020年は、冷水塊と7月の大雨により湾内が水潮となり、8月の声を聞いてからやっとキハダは湾内に入ってきた状況で、さらにその数も少なく厳しいシーズンでした。
何を基準にしてタックルを選ぶか
初期の頃はキメジと呼ばれる小型の物からやってくるので、PE3号、4号といった比較的ライトタックルで臨むことが多くなります。もちろん40~50㎏といったサイズが釣れる可能性があれば、PE4号、5号、6号といったタックルを選ぶことが必要です。
マグロゲームのタックルセッティングで難しく悩むのは、魚の大きさに合わせるのか、餌となるベイトサイズに合わせるのかということです。
キハダに限らずマグロ類、海のゲームフィッシュ全般にも言えることですが、その時期、そのエリアで最も多く捕食しやすいエサを専食する傾向があることです。
春から初夏にかけて、関東近海でのベイトは、カタクチイワシ・マイワシ・トビウオ・小サバ・ワカシとなります。大きなマグロが大きめのベイトを食べていれば、太めのラインに強いロッド、大きめのリールを使用することができます。
しかし、極小のベイトを食べているときに、その魚の大きさにタックルを合わせると、小さくて軽いルアーを選ぶことになり、しっかりと投げることができず、ルアーサイズにタックルを合わせると釣り上げるのに苦労するという状況に陥ってしまいます。その時々で、どちらを優先するのか、判断することが必要です。
さて、マグロのキャスティングゲームで最も大切なことは、いかに食い気のある群れの頭にルアーを送り込めるかということです。飛距離を出すためにも可能な範囲で細めのラインを使うことが有効です。
またシーズン初期はフィッシングプレッシャーも低く、ルアーにもスレていないので、うまくキハダの群れの頭にルアーを送り込むことができれば、素直に反応してくれることが多いと言えます。
素早く動くベイトフィッシュとこれを捕らえようとするキハダ。この群れの頭にルアーを送り込んだら、間髪を入れずにファーストアクションを入れられるかどうかがマグロを釣る最大の秘訣です。
そんな条件にあった、飛行姿勢が良く、動き出しが早く、確実なアクションを出してくれるルアーで、私が使用しており、実績のあるおすすめのモデルをご紹介いたします。
ダイビングペンシル
まずダイビングペンシルと呼ばれるプラグです。このジャンルのルアーができたことによって、オフショアキャスティングのゲームフィッシングの世界が広がったといっても過言ではありません。
最大時速80㎞で泳ぐマグロにとって、どんなに速くルアーを泳がしたとしても見破られてしまいます。もともと水面にベイトを追い詰めて捕食する習性のあるゲームフィッシュ達にとっては、水面に半分出ながら更に水中にダイブして泳ぐダイビングペンシルは、その注意を最大限に引きながら、最も見破られにくいルアーの一つです。
1.ダイビングペンシルというジャンルそのものを開発したカーペンター「γ」ガンマ。その存在を忘れるわけにはいきません。さらに今でも進化を続けており、この動き出しを強化したマグロ専用のL、スーパーL、舞姫なども実績があります。
2.菊池工房、ジャークペンシルHi。強い水押しと機敏な動きで、波気だった海面、食い気のある魚に強いルアーです。
3.IIDA WOOD CRAFT・ビバーチェ。ミノーライクな安定した動きで、他のダイビングペンシルに反応しないときに実績があります。
ポッパー系プラグ
次にポッパータイプのルアーです。ダイビングタイプのルアーがこの世に出る前は、キハダ狙いではこちらが主流であったと言っても過言ではありません。
久米島のパヤオ周りなどでは、水深50mぐらいまでの反応のキハダならば、水面まで呼び出す力がありました。
初期の頃は、GT用のものを流用するような使い方がされていましたが、現在は派手なポッピングアクションは抑えられ、泡をボディに纏いながらダイビングして泳ぐようなアクションの物が主流となっています。
ポッパーの魅力は、広い範囲、深い範囲もマグロにルアーの存在を気づいてもらえることです。またポッピングのためのカップがヘッドにあることで、キャスティング直後、未だ船の行き足が残っている状態や、ラインスラックが出ている状態などでも、ラインスラックを取ってリーリングをすれば、すぐに水を噛んでアクションしてくれるというのも利点です。
マグロ類を釣るための最大の秘訣は、キャスティング直後に間髪を入れずにファーストアクションを入れられるかどうかです。
私が使用するものや、実績のあったものは次のようになります。
1.菊池工房・バブルスイマー。私が最もキハダを釣り上げているルアーです。私が相模湾で年間12本釣り上げ釣果が多かった年で、キャッチしたキハダのうち9本はこのバブルスイマーでした。ポッパーというよりは、小口径のカップを持ったダイビングペンシルといったイメージのルアーです。
2.貝田ルアー・トランペット。久米島などでも昔から実績のあるポッパー。細身のボディは満足の飛距離を得られ、泡を纏いながらのアクションはキハダを惹きつけます。
3.萬葉・バブルダーター。ポッピングアクションだけではなく、大きく突き出したカップの下部がミノープラグのリップの役割を果たし、スイミングアクションを生み出します。
4.CB ONE・バズー。細身のボディで圧倒的な飛距離と釣果を生み出します。
5.ダイワ・ポップ★スター。古くからあるポッパーのスタイルを踏襲しながら、その実績は折り紙付き。深い水深のマグロを呼び出す力は素晴らしいものがあります。
菊池工房・ジャークペンシルHi
波気だった海面でもしっかりと動き、強い水押しと機敏なアクションでアピール力が高い。
カーペンター・ガンマ
ダイビングペンシルというジャンルそのものを開発したカーペンター「γ」ガンマ。今現在も進化し続け、マグロ専用のL、スーパーL、舞姫なども良い。
萬葉・バブルダーター
ポッピングでのアピールだけではなく、カップの下部の出っ張りによりミノーのようなスイミングアクションを演出する。
菊池工房・バブルスイマー
徳永氏が最もキハダを釣り上げているルアー。ポッパーというよりは、小口径のカップを持ったダイビングペンシルといった動きでアピールする。
ダイワ・SALTIGAポップ★スター
その実績は折り紙付き。深い水深のマグロを呼び出す力は素晴らしい。ショートポッピング、ロングポッピングと、どちらもしっかりと演出。
CB ONE・バズー
細身のボディで圧倒的な飛距離が特徴。独特のカップ形状が、ワンアクション目から、しっかりと水を噛み、ポップサウンドで広範囲の魚を寄せる。
状況に合わせ、瞬時にルアーを選ぶ!「徳永兼三流相模湾エリアでのキハダ攻略ルアーセレクト」【後編】はこちら>>>
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写真と文/徳永兼三
編集協力/バスメイト
http://www.bassmate.co.jp/
TEL : 03-3735-0200
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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