サイズの異なる二つのサンマパターン―日立沖×徳永兼三―【フィールド解説&メモリアル】
SALT WORLD 編集部
- 2021年11月12日
ソルトゲームの創成期からキハダを狙ってきた徳永兼三氏は、久米島、相模湾、常磐など様々なフィールドでルアーを投げてきた。そのなかでソルトワールド的に印象的な出来事といえば、日立沖のサンマパターン。マッチザベイトの威力をまざまざと見せつけてくれた。
トビウオ、イワシ、サンマ。エリアによって異なるベイト
私のキハダ釣りは久米島から始まっています。久米島は当時からポッパーの釣りが盛んで、いまのようなダイビングペンシルが開拓される前からポッパーで狙っていました。
ただベイトは基本的に少ないため特定のパターンはなく、魚のレンジも深かかったので、潮目に沿ってジギングもやりながらポッパーでも狙うというスタイル。キハダは深いところから一気に突き上げてくるため、アタックの勢いでポッパーをくわえたまま空中に2~3m跳び出すこともありました。
最近は相模湾に行くことが多いのですが、相模湾はキハダが湾内に入る前と入ってからとで、だいぶ状況が違います。湾の外にいるときは小トビ(小さなトビウオ)やワカシ、サバなど大きめのベイトを食っていて、ルアーは60g から90g のダイビングペンシルやポッパーが活躍します。相模湾としては大きなルアーですが、ナブラにはなりにくいため潮目を流したり、単発で見える跳ねや鳥の動きを見てルアーを撃っていくというやり方になります。
その後キハダが湾内に入り、イワシボールに着くとおなじみのパターンになりますが、基本的にイワシのベイトボールができるには、カツオがいることが条件。マグロ単体だとイワシを追いかけ回してしまうのですが、カツオはうまく追い込んで集めてくれる。サメ着きというパターンもありますが、あれもカツオが集めたベイトボールにサメが着くことでできるようです。
いずれにしてもこのイワシがベイトボールを形成し始めたら、フォールバイトを意識した沈下系のプラグの使用頻度が高くなってきます。
印象的だった晩秋の日立沖サンマパターン
そんななかで印象的だったのは、2017年に日立沖で大型のキハダを釣ったときのことです。このときのベイトはサンマで、シーズンも晩秋から初冬にかけてとほかの釣り場とはまったく違うパターン。しかもサンマは大きさに幅があって、大型のサンマがベイトの時は240㎜から270㎜のルアーで攻めますが、「鉛筆サンマ」と呼ばれる小型の時はそれでは食わせられません。
2017年は最初の釣行で大型サンマのパターンにハマり65.6㎏をキャッチしましたが、2回目の釣行では鉛筆サンマのパターンに対応できず船中ノーキャッチという結果。3回目はそのパターンを想定してガンマの60をボックスに忍ばせておき、64.5㎏を仕留めることができました。
ルアーフィッシングの基本はその時のベイトサイズに合わせること。特にマグロ類は眼が良いので、サイズ感は重視しています。キハダはクロマグロほどシビアではないですが、外房のようにクロマグロも交じる釣り場では、幅広いベイトパターンを想定したルアーとタックルを持っていないとゲームが成立しません。
その際に難しいのはタックルのパワーです。とくにクロマグロの場合は、マグロに合わせて強いタックルを組めばルアーが飛ばないし、ルアーに合わせてラインを細くすると瞬殺されてしまうということで、毎回ジレンマを感じています。ちなみに日立で60㎏オーバーのキハダを釣った時はオッズポートの8号を使っていたのですが、これはド級のクロマグロが交じる可能性があったため。そんな時は太いラインを入れておくと安心です。
キハダに限って考えれば、近海で釣れるサイズは上限で60~70㎏強。相模湾でキハダの群れが湾内に入ってからはベイトのサイズも想定できるため、タックルは絞り込みやすいと言えます。私はPE4号をメインにシステムを組んでいますが、3号まで落とす人もいるくらいです。
タックルは以前よりだいぶライトになりましたが、これはやはり性能アップによるところが大きいですね。特にラインは実質2号分くらい強くなっているのでは? というのが実感。昔の6号といまの4号は、強度的に変わらないと思っています。
あとは全般的な傾向として、小口径のダイビングポッパーでの釣果が増えたことが印象的です。昔のポッパーは水平浮きで、ポップ音や泡を引くことで魚にアピールするものが多かったのですが、いまの小口径ダイビングタイプは短い距離で動かすためのポッパー。カップを設けることで水噛みを良くし、動き出しのロスをなくす。そのための小口径ポッパーなんです。
久米島時代にその走りとして知られていた貝田ルアーのトランペットをはじめ、最近ではキクチ工房のバブルスイマーが私のお気に入り。ある年は相模湾で12本キャッチしたうちの9本がこのルアーでした。
現在は各社が小口径のポッパーを開発していずれも実績をあげています。小口径ポッパーの進化でキハダとの出会いが増えたことも印象に残っています。
※写真は2017年の日立沖釣行より抜粋
参考タックル(当時)
TACKLE1
ロッド:カーペンター BLC83/40
リール:ダイワ ソルティガ6500H
スプール:スタジオ オーシャンマークNO LIMITS 10ST7500VerBM
ハンドル:スタジオ オーシャンマークNO LIMITS 10ST6500/6000BM
ライン:YGKよつあみ ロンフォート オッズポート WXP1 8 8号
ショックリーダー:ガリス キャストマンT-PⅢ 150lb
ルアー:IIDA WOOD CRAFT
ビバーチェ220
フック:がまかつSPXH 5/0
TACKLE2
ロッド:カーペンター KLL74/32
リール:ダイワ ソルティガ Z-6500DH
スプール:スタジオ オーシャンマーク NO LIMITS 6300
ハンドル:スタジオ オーシャンマーク NO LIMITS 10ST6500/6000BM
ライン:YGKよつあみ ロンフォート オッズポート WXP1 8 6号
ショックリーダー:ガリス キャストマン T-PⅢ 130lb
ルアー:カーペンター γ60L
フック:がまかつSPXH 3/0
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PROFILE
SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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