難しさと面白さが同居する 新たな挑戦の場!積丹半島のブリ【PART1】
SALT WORLD 編集部
- 2021年11月20日
ブリジギングをはじめアングラーを熱くさせる釣りものにあふれ、さらなる発展の可能性を秘めたフィールド・北海道。平松 慶にとっても新たな挑戦の場として重要な位置を占めている。そんな北海道・積丹の海で心に残る、記憶にいつまでも置いておきたい釣りが展開出来たので紹介したい。
敢えて2回続けての積丹半島ブリスペシャル
「夏場は北海道に滞在して、釣りを追求したい」。これは完全なる私の夢。現実的な話ではなく、理想と欲望が重なり唱えるだけ侘しくなるのだが、実のところ本心からそう思ってはいる。
一年を通してヒラマサが中心な生活は20 年になってきた。それまではロウニンアジ(以後GT)狙いで沖縄、海外も釣行スケジュールのもうひとつの柱になっていたが、ここ数年のスポンサー開発製品リストにGTタックルがクローズアップされておらず、同じキャスティングゲームでもGTの枠をヒラマサやマグロへと移行されてきている。海外へは、自身のチャレンジとして毎年東南アジアを中心に行くようにしてきたが、新型コロナウイルス感染対策により自粛が求められ、行くに行けないのが現状だ。
よって、その開発欲をより国内に向けており、どうやらこのスタイルはもうしばらく続きそうだな、と勝手に予想している。海外に出られない現状、またシーズンを考えても夏の時期の九州エリアはそれほどにウエイトが置かれておらず、新たなチャレンジ場として組み入れている北海道に足を運んだ。
私のスタイルは、魚が「釣れているエリアに動いて、旬の魚を見せる」のではなく、数多く足を運び、土地を知り、町に馴染み、エリアを愛し、人々から文化を学び、その環境に自分をすり合わせて重ねる。
だから、昨年はよく釣れていたけど今年はダメだから行かない、をしないし、そんな時は「なぜ釣れないのだろうか?」が足を運ぶ起爆剤となる。通うことで釣れない状況、理由、事情が見えて来て、それ自体も私が「釣る要素」として蓄えておけるのだ。釣れないフィールドに於ける、難しい状況は絶対に無駄にはならない。
しかし、簡単に行ける距離とそうでない距離がある。私はムコウミズな動きをついしてしまう、どちらかというと鉄砲玉のような行動スタイルだが、時としてそれもプラスに変わるのだ。
この項を書いているのは、今回のフィールド「北海道・積丹半島沖」がもしかしたら、本年最終かもしれない。これまでの経験をみてもそうだろう。ただ、敢えて今回は2回続けての積丹半島ブリスペシャルとして掲載させてもらった。私のなかでどうしても残していきたい釣行が今回のゲーム。釣りはたくさん行けども、心に残る記憶にいつまでも置いておきたい釣りが展開出来た。その紹介である。
好条件の揃う積丹半島 午前便・午後便の存在も嬉しい
1週間振りに新千歳空港に降り立った時は、まだ前回からの旅の疲れが抜けきらない状態であった。この日は札幌市内で宿泊し、ゆっくりする。翌朝仲間と合流後に積丹半島へと走る。ホテルまでは北見在住の佐藤典之さんが迎えに来てくれた。札幌での仕事を終え、時間を割いてくれたのだ。
この日は前から乗船したかった「メガフィッシュ」レッドドラゴン号を手配していた。積丹半島沖にて釣りをする際、必ずSNS釣果情報に目が止まり、その発信力も高い。情報公開を徹底し、離れている本州エリアの私たちでも積丹半島の情報が手に取るように分かる。その徹底した情報公開のスタイルは好感が持て、佐藤典之さんに乗船手配をお願いし実釣させてもらえることになったのだ。
札幌市内から後志自動車道(高速道路)で小樽を抜けると、あっという間に余市に入る。後志自動車道を降りて、見慣れた積丹岬への海沿いを走ると、もうすぐに古平漁港へ到着する。
我々が乗船するのは午後船。朝6時には出港し、昼12時に帰港。13時から再び午後船として出してくれるのが嬉しいスタイル。そちらを、敢えて乗船したかった。このスタイルなら札幌市内のホテルでゆっくり朝食を取り、10時前に出発しても港で午前船を待ちながらタックルを組むことが出来るのだ。これ以上にない喜び。大都市「札幌」からのアクセスの良さ、そして細かな船宿側の対応に私は好感を持ち、オフショアゲームの盛り上げをもっと強く伝えたいと感じている。
しっかりとタックルを準備し、乗船は万全となった。港には見慣れた船長さんが船整備をしている。沖でお客様を積んでいる船、整備に日を空けていた船長、それぞれが皆私に微笑みながら「また来たかい!」と声を掛けてくれた。先週末も3日乗船の予定であったが、2日しか乗れなかった。今週もどうやら明日の予報は今の段階ではアウトだと言う。
「平松さん、確率(天候)悪いねぇ。魚は確率(釣果)凄いけどねっ」と皮肉ではない褒め言葉を言ってくれる。ブリ狙いで入る積丹半島フィールドは、私はあるエリアと重ねたフィールド配置にイメージして釣りを展開する。同じ日本海側のフィールド、出雲沖・山陰エリアである。
さほど大きくない船をドテラで流し、シーアンカー流しと潮や海況により使い分け、そのタイミングで好適な流し方を選択し釣りをさせてもらえるからだ。半島沿いの50〜60ⅿを境に、深いポイント、浅いポイントと探り分けながらのゲーム展開。出雲沖のヒラマサ狙いで学んだのは、徹底した潮の流れとジグを引く角度、魚が向く方向、タックルバランスからのアクションや操作展開の判断。そういったいくつもの頭の切り返しがカギとなるテンポの速さが釣果に比例することだ。
水深がないから、空からの圧(気圧)を常時気にして、風で表水温の変化も意識しなくてはならない。風が吹けば、船の流れは変わるし、濁りもすぐに出る。気圧がダイレクトに影響するから潮回り時間帯でのベイトフィーディングタイムも考えなくてはならないし、追われるベイトと空から狙う水鳥の関係性も察していく。そういったいくつもある「釣るための(魚を見つけ出すための)必要な要素を察知し適応していく」ことの難しさと面白さがこの積丹半島沖狙いのボートゲームでの重要さ、なのだ。
島根県沖、出雲大社沖を中心とした山陰エリアや福井、石川エリアでも過去の経験を思い出せば、そのフィールドで青物を狙っているアングラーなら私が積丹半島沖を紹介しなくても、まあフィールドを組み上げやすいのではないだろうか。
「北海道、積丹半島だから遠いし、あまり行かないだろうし……」と本州アングラーは思うだろうが、積丹半島エリアを想像する際、日本海側の半島沿い続くシャローエリアと擦り合わせてフィールド想像をしてもらえたら嬉しいな、と思う。
▲古平漁港へは札幌の市街地から後志自動車道(高速道路)で小樽を抜ければあっという間に着く。アクセスが良く、午後便を利用すれば余裕を持って楽しむことが可能だ。
▲以前から乗船したいと思っていた「メガフィッシュ」レッドドラゴン号。岡田船長が舵を握る人気船だ。
【この記事は2020年11月現在の情報です】
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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