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釣り道具としての自転車!? 瀬戸内自転車エギング旅

エギングファンにはいてもたってもいられない、秋のエギングシーズン到来! この時期、広範囲に散らばるイカを釣るための秘策としてSALT WORLDが提案したいのが、「ライド&フィッシュ」だ。

聞き慣れない言葉だが、要は自転車で釣りに行く、という誰もが幼少期に経験のあるだろう遊び方だ。これが現在、熱心な自転車ファンの間で密かなブームなのだとか。兄弟メディアの自転車雑誌「バイシクルクラブ」ではこのライド&フィッシュの連載もあり、ただオカッパリで釣るだけよりもずっといい釣果を引き寄せているのだという。

そう、自転車があることで釣果が上がる釣りがあるのだ。そして今回白羽の矢が立ったのが秋のエギング。ラン&ガンならぬライド&フィッシュで、効率よくイカを狙う。

2人の釣りの名手、自転車に乗る

今回ご登場いただくのは、エギングスペシャリストでシマノのインストラクター湯川マサタカさんと広島大学の海野徹也教授。説明不要のエギング名人である湯川さんと、アオリイカのみならずチヌなど海洋生物学の研究者でもある海野教授は、もう知り合って10年近くなるという気心知れた仲。その二人が、なんだかカッコいい自転車に乗っている。

「こんな自転車乗ったことがない」と二人は目を丸くするが、一度漕ぎ出してしまうと「なにコレ? 楽しい!」と釣りよりも自転車に心を奪われている様子。実はこのバイクは電動アシスト付き。今風に言うと、「Eバイク」というスポーツタイプのもので、荷物を積んでいても軽快に走ることができるのだ。

港や防波堤、磯場に行き当たる度にイカはいないかと目を凝らす二人の後ろを、自転車が何台も通り過ぎていく。老若男女どころか、外国人のサイクリストも多い。

ここは瀬戸内、しまなみ海道。世界に名だたる自転車道でもある。釣り人より、自転車乗りに有名なエリアなのだ。

湯川マサタカさん:シマノフィッシングインストラクター。イカ釣りのメッカ和歌山県に拠点を置くエギングのエキスパートでありながら、各種ルアーフィッシングからアユの友釣りまで幅広いジャンルを楽しむマルチアングラー。水中の状況を瞬時に読み、攻めのルアーチョイスで魚にたどり着く
海野徹也さん:広島大学大学院統合生命科学研究科教授。幼い頃から釣りが好きで魚類の研究者になったという生粋のアングラー。クロダイの研究を中心に、アオリイカの生態についても探求している。取材当日も、いつのまにか遠くのポイントまで一人行っているフットワークの軽さを見せた

クルマでラン&ガンしにくいエリア

瀬戸内海に浮かぶしまなみ海道の島々のうち、尾道をスタートして最初の3島、向島・因島・生口島を釣り場として設定。いずれも広島県に属する3島だ。数々の離島をつなぐこのエリアは、どこをとっても釣りのポイントでもある。しかし、駐車スペースの問題もあってクルマでは意外とラン&ガンしにくいエリアでもある。

初日は、最も本州側に近い向島を中心に攻めることに。海沿いのルートは絶景で、世界中のサイクリストが憧れるというが、

「道に墨跡あるね」(ニヤリ)、

と2人の釣り人は自転車に乗っていても見ているところがちょっと違う。確かに目を凝らしてみると、そこかしこに墨の後が残っている。地元の釣り人が入っているようで、海沿いならどこにでも墨跡があるといった具合。イカはたくさんいるようだ。

「この時期ならどこでも釣れますよ」

と海野教授は余裕たっぷり。確かに先ほどから、エギを追いかけてきては引き返していく可愛い新子の姿がたくさんある。そして教授はもののしないうちに1杯釣り上げてみせた。

一方で湯川さんは新子がメインとなるこの時期に、どう大型を釣り分けるかを模索していた。絶対数が多くない大物を狙うには、一箇所で粘るよりも効率よく好ポイントを撃っていく方が良さそうだ。このアングラーはすでに、Eバイクの機動性を好釣果を得るためのツールとして捉えている。

初日は海野教授が新子をいくつか釣ったところで終了。海況やイカのコンディション、Eバイクをどう活用して釣果につなげるかを考えつつ島の夜は更けていった。

生口島をライド&フィッシュ!

明けて2日目。この日はしまなみ海道を尾道側から数えて3番目の島にあたる生口島を巡る。周囲に島が多く、潮通しの良さそうなポイントを重点的に探る作戦だ。

それにしても、湯川さんと海野教授のイカ談義は尽きることがない。昨日の釣り場でも、昨夜のささやかな宴席でも、そして今日の釣り場でも。

「そこに見えてる新子だけど、体色が黄色→黒→黄色と一瞬で変わったね」
「なんか(フィッシュイーター)おるのかもしれませんね」

常に水中の変化を見逃さない2人だ。

この日最初のヒットは、海野教授。少しサイズアップしたと思ったら、上がってきたのはモンゴウイカ。幸先のよい出だしだ。

潮通しのよいこのポイントではアオリイカの反応を得られなかったが、何かひらめいた様子の湯川さん。ジョイントミノーに結び変えてロングキャスト。流れの中を通していく。すると、

「食った! たぶんシーバス!」

と渾身のフッキングが決まった。今日はイカのサイズが小さいこと、シャクリの疲労軽減のためにロッドを軽量なソアレにしてきた湯川さん。竿は弓なりにいい曲がりをしている。しばらくのファイトの後で上がってきたのはなんとマダイ! 岸からこのサイズが釣れるとは。

エギングでイカをメインに狙いつつも、ミノーやジグといったライトルアーを楽しめるのがこの釣りの面白いところ。荷物を多くしたくない自転車での釣行とエギングは好相性といえる

釣りと自転車と旅情と

「何を釣ってるんですか〜?」

自転車を置いて釣りをしている我々を見て、地元の婦人が声をかけてきた。自転車で釣りなんて、少年ならいざ知れずいい大人がやっているのだから気になるのだろう。釣れたばかりのマダイを見せると歓声を上げた。ご婦人、なんでも近所で宿泊施設をされているとのこと。

「マダイ、要ります?」と湯川さんが伝えると、
「ええ嬉しい! ちょっと待っていてください」といって姿を消した。

そして戻って来ると、冷えた地元のレモンジュース「レモンC」を取材班一行分、差し入れてくれたのだった。なんという物々交換。朝から夢中で釣りをしていた我々は、地のもの(生口島の瀬戸田エリアはレモンで有名)で喉を潤すという僥倖にあずかったのだった。

これも自転車の旅だからこその味わい。島旅の良さでもある。

「自転車で釣る」の可能性

自転車で釣る「ライド&フィッシュ」。生粋の釣師である2人は、自転車を釣り道具として数えるこのスタイルの可能性をどう感じたのだろうか。

湯川:ラクすぎてビックリしました(笑) 登り坂が平坦と変わらない。自転車、めちゃめちゃ使えますね。一番いいのは、駐車スペースを心配しなくていいということ。それにクルマだと水辺のそこを見たいなと思っても簡単に停められない。でもこの自転車ならそれができる。細い道や狭いところも入っていきやすいしね。

海野:自転車、軽いです。僕はクロスバイクを持っているんですが、それよりも登りでは軽く感じます。すぐ無くなると思ったバッテリーもかなり持ちがいいですね。クルマでデポしてやるのもいいかもしれない。大きな移動はクルマで、釣り場に着いてからは自転車で。

 

どうやら両人とも、自転車を使った釣りの広がりをすでに描いている様子。みなさんも、自転車で釣り、始めてみませんか? 自分の足で好釣果を探る喜びを知ると、病みつきになるかも!

 

湯川さんが使ったタックルはシマノ・ソアレ エクスチューン MB S76ULSにヴァンキッシュC3000Sの組み合わせ。ラインはピットブル8+の 0.5号に、リーダーはセフィアマスターフロロリーダーの3号。ソアレシリーズはエギング専用ロッドではないが、「秋イカを狙うにはこの竿が合うかなと。2.5号〜3号のような小さいエギを軽快に動かすのに向いているんです。だからといって大きいエギが使えないわけではないですよ。魚がかかってもファイトが楽しめて、十分獲れます。」と、マダイの強烈な引きを交わしたあとで説得力のあるコメント
湯川さんがマダイを仕留めたのはシマノのアーマジョイント60S。海の魚の多くをターゲットにすることができる、ひとつはボックスに忍ばせておきたいミノーだという
今回湯川さんが乗ったEバイクは、FUJIのFARPOINT。グラベルバイクと呼ばれる自転車のSUVモデルをベース車両にしており、悪路から舗装路までスムーズに走れる。キャリアなどの拡張性も高く、荷物をたくさん積めるのもライド&フィッシュ向き
海野教授が乗ったのはBrunoのe-tool。足つきのよい小径車だから、気楽に乗ることができる。ほとんどママチャリの延長で乗れるが、その走りはスポーティ。前カゴとリアのキャリアで積載力も十分。アタッチメントに改造を施して、ここではバッカンを装着できるようにしている

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PROFILE

小俣 雄風太

小俣 雄風太

アウトドアスポーツメディアの編集長を経てフリーランスへ。その土地の風土を体感できる方法として釣りと自転車の可能性に魅せられ、現在「バイク&フィッシュ」のジャーナルメディアを製作中。@yufta

小俣 雄風太の記事一覧

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