
ポール・エヌカンが優勝、IPTが総合連覇とワンツーを達成|ツール・ド・台湾最終ステージ

Bicycle Club編集部
- 2025年03月20日
3月20日(木)、台湾の高雄市や屏東県を舞台に、ツール・ド・台湾2025の最終ステージとなる第5ステージが行われた。ポール・エヌカン(エウスカルテル・エウスカディ、フランス)が見事な集団スプリントで優勝を飾った。総合優勝はブレイディ・ギルモア(イスラエル・プレミアテック、オーストラリア)、2位はチームメイトのモーリッツ・クレッチー(ドイツ)となり、イスラエル・プレミアテックが総合成績でワンツーフィニッシュを達成した。
客家集落を巡る新ルートで争われた最終ステージ
今年のツール・ド・台湾は3月16日から20日までの5日間、総距離628.66kmで争われた。最終日となる第5ステージは、台湾南部の高雄市や屏東県にある12の歴史的な客家集落を巡る新設ルートで実施された。美濃客家文物館をスタートし、六堆客家文化園区をゴールとする146.4kmのコースである。
レース前は、途中2カ所の中間スプリントポイントで総合上位選手がボーナスタイムを狙う展開や、最終的には大集団でのゴールスプリントが予想されていた。台湾南部への移動に伴い気温は上昇し、22度前後の好天候の中でレースが行われた。
激しい攻防の末、エヌカンが圧倒的なスプリントで勝利
現地時間10時にレースがスタートすると、最終日もスタートから激しいアタック合戦が展開された。しかし逃げ集団はなかなか形成されず、約50km進んだ地点でようやく6名による逃げグループが誕生した。
逃げグループには、ニコロ・ガリッボ(JCLチームUKYO、イタリア)、メトケル・エヨブ(トレンガヌサイクリングチーム、エリトリア)、ジャック・エイトケン(セントジョージコンチネンタル、オーストラリア)、ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン、コロンビア)、ニコル・パレハ(ヴィクトリアスポーツプロサイクリング、フィリピン)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)の6選手が名を連ねた。総合上位選手やプロチームの選手が不在だったこともあり、メイン集団はこの逃げを許容する形となった。
52km地点の最初の中間スプリントポイントは逃げ集団のエイトケンが先頭で通過。逃げの6名は最大で1分20秒ほどのリードを築いた。しかし残り22km地点でメイン集団が30秒程度まで迫ると、アコスタは集団に戻ることを選択。残り16kmで集団が逃げを完全に吸収し、残り13km地点の中間スプリントポイントはメイン集団での争いとなった。
ここでプロチームがトレインを形成して位置取り合戦を展開。ダニエル・カビア(ブルゴス・ブルペレット・BH、スペイン)が先頭で通過し、それにポール・エヌカン(エウスカルテル・エウスカディ、フランス)、ジャコモ・バッラビオ(リンコウ・アドヴァリクス、イタリア)が続いた。カビアとバッラビオは中間スプリントのボーナスタイムにより総合順位をアップさせた。
その後、集団はゴールスプリントに向けた態勢を整える。クイックプロチームやブルゴス・ブルペレット・BHが先頭でトレインを形成する中、残り1kmの最終コーナー前にイスラエル・プレミアテックが主導権を握った。イスラエルチームが先導する形でスプリントが開始されると、後方から勢いよくエヌカンが加速。圧倒的なスプリント力で先頭に立ち、そのままフィニッシュラインを駆け抜け優勝を決めた。2位にはダヴィデ・ボンボイ(ユニベット・ティテマ・ロケッツ、ベルギー)、3位にはイタマル・アインホルン(イスラエル・プレミアテック、イスラエル)が入った。
フランス若手ライダーの快挙とイスラエル・プレミアテックの連覇
優勝したポール・エヌカンはフランス・ボルドー出身の22歳。ニース・メトロポール・コート・ダジュールを経て今年エウスカルテル・エウスカディからプロデビューを果たしたばかりの新鋭ライダーである。今回の勝利はUCIレースでは5勝目となるが、プロとしては記念すべき初勝利となった。また、中間スプリントでもポイントを獲得していたことから、アインホルンを4ポイント差で逆転してポイント賞も獲得する快挙を成し遂げた。
日本チームの成績では、アンドレア・ダマート(JCLチームUKYO、イタリア)がステージ6位で最上位。日本人選手では黒枝士揮(スパークルおおいた)が8位フィニッシュで最も良い成績を残した。
総合順位は前日と変わらず、ブレイディ・ギルモア(イスラエル・プレミアテック、オーストラリア)が優勝。チームメイトのモーリッツ・クレッチー(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)が2位を確定させ、イスラエル・プレミアテックは見事な総合ワンツーを達成。チームとしても2年連続の総合優勝という快挙を成し遂げた。
ベストアジアンリーダーも変動なく、小石祐馬(JCLチームUKYO)が総合21位で2年連続の獲得となった。ベストアジアンライダー2位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン、日本)は総合23位となり、両選手ともUCIポイントを3ポイントずつ獲得した。
リザルト
第5ステージ
1位 ポール・エヌカン(エウスカルテル・エウスカディ、フランス) 2h33m53s
2位 ダヴィデ・ボンボイ(ユニベット・ティテマ・ロケッツ、ベルギー)
3位 イタマル・アインホルン(イスラエル・プレミアテック、イスラエル)
4位 ダニエル・カビア(ブルゴス・ブルペレット・BH、スペイン)
5位 フィリッポ・フォルティン(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
6位 アンドレア・ダマート(JCLチームUKYO、イタリア)
7位 ロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)
8位 黒枝士揮(スパークルおおいた)
9位 アレッサンドロ・ペラッキオーネ(ノボ・ノルディスク、イタリア)
10位 ダビド・マルティン(ブルゴス・ブルペレット・BH、スペイン)
個人総合成績
1位 ブレイディ・ギルモア(イスラエル・プレミアテック、オーストラリア) 13h44m43s
2位 モーリッツ・クレッチー(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)
3位 ジョルディ・ロペス(エウスカルテル・エウスカディ、スペイン) +06s
4位 ジャコモ・バッラビオ(リンコウ・アドヴァリクス、イタリア)
5位 ロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)
6位 ステファン・デボッド(トレンガヌサイクリングチーム、南アフリカ) +11s
7位 ダニエル・カビア(ブルゴス・ブルペレット・BH、スペイン) +12s
8位 シモーネ・ラッカーニ(JCLチームUKYO、イタリア)
9位 シャビエル・イササ(エウスカルテル・エウスカディ、スペイン) +17s
10位 ウィリアム・ヘファナン(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア)
ベストアジアンライダー賞
小石祐馬(JCLチームUKYO)
ポイント賞
ポール・エヌカン(エウスカルテル・エウスカディ、フランス)
山岳賞
ランデル・ロークス(ユニベット・ティテマ・ロケッツ、ベルギー)
チーム総合優勝
エウスカルテル・エウスカディ
SHARE
PROFILE

Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。