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グラベルタイヤ試乗レビュー タイヤを選ぶ楽しみは無限大!

シーンの盛り上がりに伴って各タイヤメーカーが参入し、群雄割拠となっているグラベルタイヤ市場。グラベルロードが登場した当初は、タイヤサイズは30C強が主流だったが、現在では40Cが当たり前という状態になり、素材や設計、トレッドパターンも目まぐるしく進化している。そんなグラベルタイヤシーンを正しく理解するために、パナレーサー、iRC、ピレリ、マキシスという4社の注目モデルに試乗し、評価を下すと共に「グラベルタイヤの今」を考えた。

注目のグラベルタイヤ4種

iRC・ボウケンダブルクロス

iRC・ボウケンダブルクロス、グラベルでしなやかで上品な乗り味

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パナレーサー・グラベルキングX1

パナレーサー・グラベルキングX1、安定した走りの万能タイヤ

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ピレリ・チントゥラートオールロード

ピレリ・チントゥラートオールロード、舗装路をメインに走るロングラン向け

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マキシス・リーヴァー

グラベルレースで勝てる、オールラウンドタイヤ|マキシス・リーヴァー

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多種多様なグラベルタイヤ

グラベルロードというジャンルが誕生してから10年と少し。スポーツバイクの性格と方向性はギヤ比とタイヤで決まるようなものだから、グラベルロードという新しい乗り物が誕生したその瞬間から、グラベル用タイヤも試行錯誤を繰り返し、猛然と進化を続けてきた。

しかし、ロードバイク用タイヤのように「重量は軽く、転がり抵抗は低く、グリップは高いタイヤがだいたい正解」というわけではないから難しい。ロード用タイヤは「舗装路を速く走る」ことに特化していいのだが、グラベル用タイヤが想定するシーンはバラエティーに富む。舗装路をメインに走る人や通勤で使う人から、川沿いの砂利道やMTBもかくやという悪路を楽しむ人までカバーすべきシチュエーションは幅広く、タイヤのスペックも28Cのスリックから40Cオーバーのブロックタイヤまでと多種多様だ。

そんな多彩なグラベルロード用タイヤの試乗記事をお届けする。パナレーサー、iRC、ピレリ、マキシスという4社の最新グラベルタイヤをピックアップして試乗、各タイヤの印象を交えながら、グラベル用タイヤの最新事情について掘り下げる。また、グラベル用タイヤの評価法、選び方、セッティングの要まで、包括的にグラベルタイヤを理解できる内容にしたつもりだ。

指南&試乗をお願いしたのは、かつてブリヂストンサイクルに所属し、MTBクロスカントリーとシクロクロスのトップ選手として活躍、シクロクロスとトライアルでは世界選手権に出場した経験も持つ、ショップ「ライズライド」店長の鈴木祐一さん。オフロードのスペシャリストである。

サブの試乗担当・執筆担当は、グラベル歴3年にして最近3台目のオフロード系バイクを購入してしまったほどグラベルにどっぷりはまっているライターの安井行生が務める。

鈴木祐一

MTB、シクロクロス、トライアルなど、あらゆるオフロード競技で活躍したトップ選手の一人。現在は神奈川県の相模原でショップ「ライズライド」を経営、「自転車で走る楽しみ」を一人でも多くの人に伝えている。今回はメリダ・サイレックス400で試乗を行った。

安井行生

大学時代に本格的にスポーツバイクに乗り始め、ツーリングとレースに明け暮れる。メッセンジャー生活を経て、26歳のときに自転車メディアの世界に飛び込み、現在はさまざまな媒体で執筆を行うジャーナリスト。これまでロードバイク一筋だったが、数年前に突如グラベルの魅力に目覚めた。試乗に用いたバイクは3Tのエクスプローロレースマックス。

グラベルタイヤの試乗は難しい

安井:試乗の前に、グラベル用タイヤの評価についてお聞きしたいと思います。冒頭の文にも書きましたが、ロード用タイヤは、軽さ重視や耐久性重視など方向性の多少の違いはあれど、「舗装路でよくグリップし、効率よく転がること」が正解です。だから評価は簡単とも言えます。でもグラベルロード用タイヤは幅が非常に広い。ロード用タイヤの終わりからMTB用タイヤの始まりまでカバーしないといけない。

鈴木:乗る人によっても正解は変わりますからね。舗装路メインで走る人なのか、凹凸の激しいオフロードをフィールドにする人なのか。一言で「グラベル」といっても、砂利なのか土なのか泥なのか根っ子地獄なのかで変わってきますし。カバーしなければいけない幅が広いだけに、ロード用タイヤとかMTBタイヤより評価が難しいかもしれない。

安井:そうなんです。なので、まず「どう評価するのか」ということについてお聞きしておきたいと思います。グラベルタイヤの評価項目としては、まず舗装路での走りの軽さが一つ。重量からくる加速・俊敏性も重要ですね。

鈴木:あとは当然オフロード性能。未舗装路でのグリップやトラクション、快適性、走りの軽さ、安定感。こういうチョイ乗りインプレでは測れませんが、耐パンク性や耐久性も非常に大切です。

安井:でもオフロードでのグリップって評価が難しくないですか? どういう路面か、どんなコンディションか、もっと言うとコーナリング中のラインの上にどんな大きさの砂利があったかで変わってしまう。

鈴木:そうなんです。グラベルは路面の要素がかなり大きい。

安井:なので、今回は舗装路、土&泥セクション、砂利セクション、そしてトレイルっぽい悪路まで、できるだけバラエティに富むコースを走り、総合的に評価を行いました。

見た目から判断するグリップ力

鈴木:評価が難しいということは選び方が難しいということでもありますが、タイヤの見た目と質感から、オフロードのグリップをある程度は判断できます。

安井:そうなんですか。

鈴木:要素は3つ。1つはノブの形と高さですね。ノブが大きくて高いほうが路面に食い込んでくれるのでグリップが高くなる傾向にあります。次はタイヤがどう潰れるか。これがすごく大事です。

安井:タイヤの潰れ方ですか。

鈴木:タイヤを指で押したときに、しなやかに指を包んでくれるようなタイヤと、硬質で反発が強いタイヤに分かれます。もちろん潰れ方は空気圧によって変化しますが、同じ空気圧でもモデルによって差があります。反発が強いタイヤは、小石の上に乗ったときに石をパンッと弾いてしまうから、タイヤの挙動が不安定になりやすい。一方、しなやかに石を包んでくれるタイヤだと、石を動かさずに安定したまま通過できます。タイヤが石の上にいるのはコンマゼロ数秒という短い時間ですが、オフロードではそれがずーっと続きます。だから「砂利を弾かない性能」が重要なんです。

安井:なるほど。確かに、同じ空気圧でもケーシングの剛性、コンパウンドの性質、トレッドの形状によって、「砂利を弾くか、包み込むか」は変わるでしょうね。しかもロード用タイヤとは違って低圧で変形が大きいので、潰れ方の影響がなおさら大きくなる。

鈴木:そう。最後はコンパウンド。ゴムの性質ですね。硬めなのかソフトなのか。それによっても当然変わります。この3つの要素が複合してタイヤの性能ができているわけです。例えばオフロードでのグリップやトラクションがもっと欲しいなら、ノブが小さいものより大きいもの、潰れ方が硬質なものよりしなやかなもの、コンパウンドが硬いものより柔らかいもの、というように3つの要素を考えてみてください。

空気圧とサイズの選び方

安井:次に、グラベルタイヤの基本について簡単に。グラベルタイヤは空気圧が重要です。今回集めた40C前後というサイズにおいて、空気圧の目安は?

鈴木:走るフィールド、体重、技術、路面のコンディション、スピード域、好みなどによって変わるので難しいところですが、例えば体重を65kgとすると、オフロードだとどんなに空気圧を高くしても2気圧前後ですね。もちろん指定空気圧の範囲内であることが条件ですが、1気圧後半~2気圧前半で目的と状況に合った好みのセッティングを探してください。

安井:ロードからグラベルに入る人も多いと思いますが、好みの空気圧を決める際の注意点は。

鈴木:一昔前だったら、ロードタイヤの空気圧は6~7気圧くらいでしたよね。そのときは0.3とか0.5気圧ほどの幅で調整していたはずです。調整幅は空気圧の5~10%くらい。グラベルタイヤの2気圧前後で5%というと、0.1気圧ほどになります。だからグラベルタイヤはそれくらいの範囲で調整してください。ロード用タイヤの感覚で調整すると、変化幅が大きすぎます。

安井:確かに。では、タイヤ幅の選び方は?

鈴木:ロード用タイヤよりサイズが幅広いだけにここも難しいところですが、オフロードでは太いタイヤのほうがメリットが確実に大きい。グリップは高いし快適だしパンクもしにくくなる。反対に、細くなると重量が軽くなり舗装路での走りが軽くなります。まず、自分が求める性能とは何なのかをはっきりさせておいたほうがいいでしょう。迷うことを楽しみながら選んでほしいですね。

インプレ総括「今の主流は40C強」

安井:お疲れ様でした。4セットではありますが、チューブレスなのでタイヤ交換に手間がかかり、しかもオフロードをガンガン走ったのでそれなりに疲れましたね。では、試乗を終えての全体的な感想を。

鈴木:グラベルロード黎明期に比べると、タイヤはどんどんワイド化が進んでいます。昔はグラベルロード=32Cくらいだったのが、今は40C強が標準になりつつありますね。技術の向上によって太いタイヤでも軽く作れるようになったため、ワイド化による重量増よりも、快適性とグリップと悪路走破性の向上のほうにメリットがあると判断されたのでしょう。それによって、以前は「シクロクロスと何が違うの?」とか「エンデュランスロードでいいじゃん」と言われていたのが、現在は「グラベルロードならではの性能」が実現しています。いい方向に時代が変わってきたと感じますね。

安井:それに伴って、ヨーロッパの老舗タイヤメーカーもグラベルカテゴリに参入してきました。

鈴木:グラベルロードは、ロードバイクはもちろんMTBよりも歴史が浅い乗り物です。なんせまだ誕生から10年ほどしか経ってない。そんな新しいジャンルですが、グラベル人口の増加によって地位が確立され、ユーザーが求めるものが変化し、その需要にマッチさせるためにヨーロッパメーカーも進出しはじめたんでしょう。

今、一番熱いジャンル

安井:その結果、グラベルタイヤは個性の百花繚乱状態になってます。今回の4モデルに限らず、ロード用タイヤより幅が広くて個性があります。

鈴木:その通りですね。グラベルタイヤはメーカーやモデル間での個性が非常に強い。MTB用タイヤは使用目的に応じて性能が突き詰められ収斂しつつあります。ロードタイヤもしかり。でもグラベルタイヤは同じサイズでも、性格が多様で非常に幅広い。

安井:それは、同じ「グラベルタイヤ」であっても、自分の使い方と合っていないものを買ってしまうリスクが大きいってことでもありますね。

鈴木:そう。タイヤ選びが難しいとも言えますが、幅が広くて定まっていないからこそ、自分にとってどんなタイヤが合うのかを探すのが楽しいとも言えます。タイヤは走りを大きく左右する要素であり、かつ比較的安価。タイヤ選びを楽しまない手はないですよ。

安井:自転車に限らず乗り物はタイヤで決まりますからね。そのタイヤがここまで幅広く個性的ということは、タイヤ選び如何で自分のバイクの得意分野を調整できる余地があるということです。

鈴木:そうですね。今一番熱いジャンルですよ。ここまで方向性を変えられるアイテムはタイヤ以外にないでしょう。そもそもグラベルは乗り物として自由で多彩です。競技からフィットネス、冒険、旅まで、1台でフルカバーできてしまう。そのうえ、タイヤでここまで遊べる。

安井:同じタイヤでも空気圧でまた遊べるし。

鈴木:同じコースでも数日経てばコンディションが変わって適正空気圧が変わったりするし。

安井:そう考えるとグラベルの楽しみはほぼ無限ですね。

テストホイール紹介 シマノ・WH-RX570

試乗に使ったのは、シマノのグラベル用ホイール、WH-RX570。アルミリムで比較的低価格ながら、ワイドタイヤに対応したチューブレスリム、ストレートスポーク、左右非対称リムなどの設計を取り入れ、高い基本性能を誇る一本。リム幅は21.6mmで、推奨タイヤ幅は32C~42C。リムハイトは22mmと低く扱いやすい。700Cのほか、650Bもラインアップする。

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PROFILE

安井行生

安井行生

大学卒業後、メッセンジャー生活を経て自転車ジャーナリストに。現在はさまざまな媒体で試乗記事、技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半を自転車につぎ込んできた。

安井行生の記事一覧

大学卒業後、メッセンジャー生活を経て自転車ジャーナリストに。現在はさまざまな媒体で試乗記事、技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半を自転車につぎ込んできた。

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