
シモン・ペローが新城幸也との接戦を制し総合首位に|ツアー・オブ・タイランド第1ステージ

せいちゃん
- 2025年03月25日
3月24日(月)、UCIアジアツアー2.1クラスのステージレース「ツアー・オブ・タイランド」の第1ステージが開催された。シモン・ペロー(リーニン・スター、スイス)が、新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)とのマッチスプリントを制して優勝し、総合リーダーの座を獲得した。
日本人選手にもゆかりの深いツアー・オブ・タイランド
ツアー・オブ・タイランドは、3月24日から29日までの6日間にわたって開催されるUCIアジアツアー2.1クラスの大会である。このレースは日本の選手にとっても馴染み深く、2014年と2015年には中島康晴(当時愛三工業レーシングチーム)が総合連覇を達成。近年では2022年と2023年に小石祐馬(JCLチームUKYO)が総合表彰台を獲得するなど、日本人選手の活躍が目立つ大会となっている。
今年の大会には日本チームの参加はなかったものの、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニから新城幸也が初出場。長年タイでトレーニングキャンプを行ってきた新城の走りに注目が集まった。
激しいアタック合戦から生まれた決定的な逃げ
第1ステージはサケーオ県アランヤプラテートをスタート・フィニッシュとする121.5kmのコースで実施された。平坦なコースながらも、序盤からアタック合戦が繰り広げられる白熱したレース展開となった。
レース序盤から、タイナショナルチームをはじめとする各国ナショナルチームの選手たちが積極的に攻撃を仕掛けるも、決定的な逃げグループは形成されなかった。中盤に設定された2つのスプリントポイントでは、トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)とクリスティアン・ライレアヌ(リーニン・スター、ルーマニア)がそれぞれ先頭通過し、ポイントとボーナスタイムを獲得した。
レースが大きく動いたのは残り50kmを切ってからだった。新城とシモン・ペロー(リーニン・スター、スイス)の2人が抜け出しに成功し、追走集団およびメイン集団との差を徐々に広げていった。タイランドコンチネンタルやルージャイ・インシュランスなどが追走集団を形成するも、先頭2名との差はなかなか縮まらない状況が続いた。メイン集団もスプリンターを擁するチームが中心となって追走を開始したが、逃げとの差は40秒前後で推移した。
残り2kmを過ぎても、先頭2名は依然としてリードを保持。最終コーナーを立ち上がり、最後はスプリント勝負となった。激しい競り合いの末、ペローが先着して見事ステージ優勝を飾った。2位には新城、3位には集団スプリントを制したセクストンが入った。
ベテラン・ペローにとって意義深い勝利
優勝したシモン・ペローは33歳のルーラー。過去にはIAMサイクリングやアンドローニジョカトリ、トレック・セガフレード、チューダープロサイクリングにも在籍したベテランで、今年より新たな活躍の場を求めてリーニン・スターに加入、グラベルレースにも参戦している。今回の勝利はUCIレースでの通算8勝目となった。
レース後のインタビューでペローは「非常に暑く、タフなレースだった。一緒に逃げた新城との協力体制がうまくいき、彼にも感謝したい。この勝利は、自分にとって非常にエモーショナルで、大きな意味を持つ」と喜びを語った。
先頭の2人が逃げ切った一方、集団では最終コーナーで大規模な落車が発生し、多くの選手が巻き込まれる波乱の幕切れとなった。
第1ステージを終え、総合リーダーにはペローが立った。翌日に行われる第2ステージは、サケーオ県ソクコックトムからコーククラーンまでの148.5kmで争われる予定だ。
新城幸也のコメント

「第1ステージから激しいアタック合戦となった。総合が秒差争いになるであろう、今大会を意識して、全チームが2回のボーナススプリントを狙っていた。
チームはフィニッシュにフィリッポを温存して、他のメンバーで逃げを選別した。なかなかアタック合戦が終わり見えなかったので、チームとして集団牽引をしたくなかったので、2回目のスプリントポイントをが終わったら、アタックしようと思っていた。皆が必死にボーナスポイントを狙っていたので、ポイントが終われば、集団は落ち着くと思った。
予定通り、アタックして抜け出すことに成功したのだが、1人になってなってしまった。いずれ、誰か追いついて来るだろと1人旅を始めた。
しばらくして、1人追い付いて来たのが、知り合いの選手だったので、「行くぞー!」と励ましあいながら逃げ始めた。
最初は集団に游がされている感じだったが、1分離せば、追い付くのにも苦戦するだろうから、出来るだけ、直ぐタイム差を広げる努力した。自分が逃げ続けることで、チームメイトは仕事をしなくて済むので、他のチームを消耗させるべく、逃げていた。
今となってみれば、この時に気温も暑くボトルの水もなかった状態で身体を追い込んだツケが最後に来たんだと思う。残り15kmでもメイン集団とは40秒差だったので、とにかく自分たちのペースを落とさないように走った。
残り7kmで34秒ぐらいまでメイト集団も迫ってきていて、前半から動いていたツケでペースを上げることができず、ここまで来たら今日のステージよりも逃げ切って、タイム差を稼いぎ、総合を狙った方が良いと思い、出来るだけタイム差をつけて逃げ切ることに切り替えた。
思惑通りに逃げ切りに成功。ステージは取れなかったが、明日に繋がる結果にとなった。久し振りに集団との駆け引きや、優勝争いが出来て楽しかった。
総合争いで少し先行したので、1ステージ1ステージを大事に走りたいと思う。2位を守るのではなく、もちろんどこかでボーナスタイムを稼いで、総合優勝目指します。」
リザルト
第1ステージ
1位 シモン・ペロー(リーニン・スター、スイス) 2h27m06s
2位 新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
3位 トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド) +15s
4位 アレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク)
5位 ロイ・エーフティング(Fnix・SCOM・ハンシャン、オランダ)
6位 ニック・ケルグズー(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)
7位 ワン・アブドゥル・ラーマン・ハムダン(トレンガヌサイクリングチーム、マレーシア)
8位 ニキータ・ツヴェトコフ(ウズベキスタンナショナルチーム)
9位 ディラン・ホプキンス(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア)
10位 エフゲニー・ギディッチ(チャイナグローリー・メンテック、カザフスタン)
個人総合成績
1位 シモン・ペロー(リーニン・スター、スイス) 2h26m56s
2位 新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) +04s
3位 トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド) +18s
4位 クリスティアン・ライレアヌ(リーニン・スター、ルーマニア) +22s
5位 キム・ユロ(LXサイクリングチーム、韓国) +23s
6位 サラウット・シリロンナチャイ(タイナショナルチーム)
7位 テン・ゲン(チャイナグローリー・メンテック、中国) +24s
8位 タナワット・セーンタ(ルージャイ・インシュランス、タイ)
9位 アレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク) +25s
10位 ロイ・エーフティング(Fnix・SCOM・ハンシャン、オランダ)
ポイント賞首位
トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)
ベストアセアンライダー賞
サラウット・シリロンナチャイ(タイナショナルチーム)
チーム総合成績首位
リーニン・スター
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- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ編集部 文:相原晴一朗 写真:Tour of Thailand、Thailand cycling Association
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている