
サルビー圧巻の2連勝!リーニン・スターが開幕3連勝飾る|ツアー・オブ・タイランド第3ステージ

せいちゃん
- 2025年03月27日
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3月26日(水)、ツアー・オブ・タイランド(UCIアジアツアー2.1)の第3ステージが、サケーオ県のアランヤプラテートからワンナムイェンまでの135kmで開催された。今大会初のカテゴリー4山岳ポイントが2箇所設定された丘陵ステージは、序盤から形成された逃げと、それを追うメイン集団の攻防が終盤まで繰り広げられたが、最後は集団スプリントに持ち込まれた。前日覇者のアレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク)が再び力強いスプリントで他を圧倒し、ステージ2連勝を達成。所属するリーニン・スターは開幕から無傷の3連勝を飾った。新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)はこのステージを先頭と同タイムの25位でフィニッシュしたが、総合順位を一つ落とし3位となっている。
序盤の攻防と3名の逃げグループ形成
タイ東部のサケーオ県を舞台とする第3ステージ。2.6kmのローリングスタートを経てアクチュアルスタートが切られると、序盤からアタックが活発にかかる。総合リーダージャージを擁するリーニン・スターは、クリスティアン・ライレアヌ(ルーマニア)らが集団前方でフィルター役となり、危険なメンバーを含む逃げを潰していく動きを見せる。
アタックと吸収が繰り返される中、レース開始から30kmを過ぎたあたりで、ルーク・バーンズ(セブンイレブン・クリック・ロードバイクフィリピン、オーストラリア)、キム・ジンウン(KSPOプロフェッショナル、韓国)、そして地元タイナショナルチームのトゥラトーン・ソーサラムの3名が抜け出しに成功。メイン集団はこの逃げを容認し、タイム差は一時3分以上にまで拡大した。
逃げる3名は協調してローテーションを回し、42.2km地点に設定された最初の中間スプリントポイントへ。ここではソーサラムが先着を果たした。勢いに乗るソーサラムは、続く55.2km地点の最初の山岳ポイント(カテゴリー4)も先頭で通過。山岳賞ポイントと、この日の敢闘賞獲得に向けて大きく前進した。
リーニン・スターが主導権、中間スプリントで集団は一つに
メイン集団は、総合リーダージャージ(シモン・ペロー)とポイント賞ジャージ(アレクサンダー・サルビー)を擁するリーニン・スターが完全にコントロール下に置く。途中、ウズベキスタンやマレーシアのナショナルチームなどが追走のアタックを試みる場面もあったが、リーニン・スターは冷静に対処し、集団のペースを維持しながら逃げとのタイム差を徐々に詰めていく。
92.7km地点に設定された2回目の中間スプリントポイントが近づくと、スプリントポイントとボーナスタイムを狙うチームが集団のペースを一気に引き上げる。逃げていたバーンズ、キム、ソーサラムの3名はスプリントポイント手前で吸収され、勝負は集団でのスプリント合戦へ。ソリューションテック・ヴィーニ・ファンティーニのロレンツォ・クアルトゥッチ(イタリア)が、僅差の勝負を制してポイントを獲得した。
中間スプリントからわずか3km強で迎えた2回目の山岳ポイント(カテゴリー4)では、スプリント後のカウンターアタックから抜け出したタナカン・チャイヤソムバット(タイランドコンチネンタル、タイ)が単独で先頭通過を果たした。
終盤のアタックと緊迫の追走劇
全ての中間ポイントと山岳ポイントを通過し、レースはフィニッシュに向けた最終局面へ。残り距離が30kmを切ったところで、前日も逃げたケイン・リチャーズ(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア)と、サイラス・モンク(FNIX・SCOM・ハンシャン、オーストラリア)という強力なオーストラリア人選手2名がアタックを敢行。協調してハイペースを刻み、メイン集団との差を広げにかかる。
メイン集団では、リーニン・スターが追走のペースを上げるものの、逃げる2名の勢いは衰えず、タイム差は一時30秒以上にまで開いた。スプリント勝負に持ち込みたいリーニン・スターにとっては予断を許さない状況となる。
総合リーダージャージを守りたいリーニン・スターは、エーススプリンターのサルビーを勝たせるため、そしてリーダージャージを守るために総動員体制で追走。総合リーダーのシモン・ペロー(スイス)自らも集団前方に出て牽引に加わるなど、必死の形相で前を追う。その結果、残り10kmでタイム差は20秒を切り、残り1kmを示すフラム・ルージュ手前で、ついに粘るリチャーズとモンクを吸収。勝負は集団スプリントへと持ち込まれた。
集団スプリントへ、サルビーが圧巻の連勝
最終ストレートに向けて、各チームがスプリンターを発射させるための位置取り争いを激しく繰り広げる。ソリューションテック・ヴィーニ・ファンティーニ、セントジョージコンチネンタル、そしてリーニン・スターなどがトレインを組んで集団前方を固める。
残り200m、リーニン・スターの完璧なリードアウトから発射されたアレクサンダー・サルビーが、力強くペダルを踏み込む。後続の追撃を寄せ付けない圧倒的な加速力を見せつけ、フィニッシュラインに一番乗り。前日に続くステージ2連勝を飾った。
2位にはニコラス・ケルグズー (セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)、3位にはワン・アブドゥル・ラーマン・ハムダン(トレンガヌサイクリング、マレーシア)が入った。
各賞ジャージの行方と敢闘賞
この結果、個人総合リーダージャージはシモン・ペロー(リーニン・スター、スイス)が、ポイント賞ジャージはステージ2連勝のボーナスタイムも獲得したアレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク)がそれぞれキープ。リーニン・スターが主要ジャージを独占する状況が続いている。ベストアセアンライダー賞は、ワン・アブドゥル・ラーマン・ハムダン(トレンガヌサイクリング、マレーシア)へと移動した。
この日の敢闘賞は、ステージ前半の大部分を逃げ続け、最初の中間スプリントと山岳ポイントを先頭通過したトゥラトーン・ソーサラム (タイナショナルチーム)が獲得した。
第4ステージは山岳フィニッシュへ
翌日の第4ステージは、ワンナムイェンからパンシーダー国立公園までの121.5km。フィニッシュ地点にはカテゴリー3の山岳ポイントが設定されており、これまでの平坦ステージとは異なり、登坂力が求められる。登れるスプリンターやパンチャータイプの選手に向いたコースレイアウトであり、総合争いにも動きが出る可能性がある。リーニン・スターのステージ4連覇なるか、それとも他チームが一矢報いるのか、注目が集まる。
新城幸也コメント

『昨日アレッサンドロが落車して、あまり状態は良くないので、今日は実質3人(アルノー、ロレンツォ、自分)でレースをすることになった。チームとしては、大人数の逃げには対応して、逃げ遅れないことが目標だった。
レース中にタイチームの友達から、コースにグラベル区間があることを教えてもらった。これはラッキーだった。グラベル区間の距離は1kmぐらいだったが、準備ができているのと、知らないでグラベルに突っ込むのとでは大違いだから。
そのグラベル区間では逃げと2分以上のタイム差があったのだが、アタック合戦が再開してしまい、中盤で逃げを捕まえてしまった。その最中にフィリッポがまた落車してしまう。再び集団に復帰してきたが、2日前にも落車しているから、とてもキツそうだった。
アタック合戦中に山岳ポイントがあり、そこまででリーダーチームが崩壊し始めているのを見て、山岳ポイント通過後に攻撃してみた。少し間を抜け出すことはできたが、リーダー自ら集団を牽引してきて、攻撃は不発に終わった。
フィニッシュはスプリントになったので、昨日ステージ2位になったロレンツォで今日もスプリントをすることに。アルノーもリードアウトを手伝ってくれて、3人しかいなかったけど、最高のリードアウトができたと思う。
明日のフィニッシュは1.5kmの登り。ロレンツォが得意なフィニッシュなので、明日こそはステージ優勝したい。』

第3ステージ リザルト
1位 アレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク) 3h00m25s
2位 ニコラス・ケルグズー (セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)
3位 ワン・アブドゥル・ラーマン・ハムダン(トレンガヌサイクリング、マレーシア)
4位 トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)
5位 ロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)
6位 エフゲニー・ギディッチ(チャイナグローリー・メンテック、カザフスタン)
7位 ロイ・エーフティング(FNIX・SCOM・ハンシャン、オランダ)
8位 ディラン・ホプキンス(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア)
9位 ジュリアン・アビ・マニュ(インドネシアナショナルチーム)
10位 パク・コンウ(LXサイクリング、韓国)
個人総合成績(第3ステージ終了時点)
1位 シモン・ペロー(リーニン・スター、スイス) 8h47m08s
2位 アレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク) +02s
3位 新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) +04s
4位 ロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア) +16s
5位 ニコラス・ケルグズー (セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド) +19s
6位 ワン・アブドゥル・ラーマン・ハムダン(トレンガヌサイクリング、マレーシア) +21s
7位 アレクサンドル・シャコトコ(FNIX・SCOM・ハンシャン、ロシア)
8位 エフゲニー・ギディッチ(チャイナグローリー・メンテック、カザフスタン) +22s
9位 クリスティアン・ライレアヌ(リーニン・スター、ルーマニア)
10位 ケイン・リチャーズ(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア)
各賞リーダージャージ
ポイント賞:アレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク)
ベストアセアンライダー賞:ワン・アブドゥル・ラーマン・ハムダン(トレンガヌサイクリング、マレーシア)
第3ステージ敢闘賞
トゥラトーン・ソーサラム (タイナショナルチーム)
チーム総合成績首位
リーニン・スター
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- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ編集部 文:相原晴一朗 写真:Tour of Thailand、Thailand cycling Association 新城美和
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている