
新城幸也所属チームが総合1位、個人総合ではサルビーが2冠達成|ツアー・オブ・タイランド2024最終ステージ

せいちゃん
- 2025年03月30日
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3月29日(土)、6日間にわたる熱戦が繰り広げられたツアー・オブ・タイランド(UCIアジアツアー2.1)は最終日となる第6ステージを迎えた。ワッタナーナコーンからアランヤプラテートまでの144.4kmで争われたレースは、集団スプリントとなり、ニコラス・ケルグズー(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)が混戦を制してステージ優勝を飾った。個人総合優勝には、前日にイエロージャージを獲得したアレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク)が輝き、ポイント賞との個人2冠を達成した。また、新城幸也が総合4位となり、所属するソリューションテック・ヴィーニファンティーニが見事チーム総合優勝を果たした。
最終日もアタック合戦、モンクら3名が逃げ形成
6日間のステージレースもいよいよ最終日。ワッタナーナコーンをスタートし、アランヤプラテートを目指す144.4kmのコースは、平坦基調であり、総合リーダージャージを守りたいリーニン・スターと、最後のステージ優勝を狙うスプリンターチームによるコントロールが予想された。
2.5kmのローリングスタートを経てレースが本格的にスタートすると、最終日も序盤からアタックが活発にかかる。レース開始早々、タイランドコンチネンタルやKSPOプロフェッショナルの選手を含む8名ほどの逃げ集団が形成される場面もあったが、メイン集団はこれを容認せず、すぐに吸収。決定的な逃げには至らない。
その後、改めてアタックが試みられ、サイラス・モンク(FNIX・SCOM・ハンシャン、オーストラリア)、アストゥナン・マウラナ(ヌサンタラ・BYC、インドネシア)、クアン・ヴァン・クオン(ベトナムナショナルチーム)の3名が抜け出しに成功。メイン集団は、個人総合首位のアレクサンダー・サルビーを擁するリーニン・スターがコントロールを開始し、逃げ集団とのタイム差を管理する展開となった。
逃げる3名は協調してローテーションを回し、37km地点に設定された最初の中間スプリントポイントへ。ここではスプリント勝負となり、ベトナムのクアンが先着。続く79.2km地点の第2中間スプリントポイントもクアンが制し、ポイントを獲得した。
モンク粘りの単独走行も、勝負は集団スプリントへ
中間スプリントポイント通過後、逃げ集団からモンクが単独でアタック。オーストラリア出身のモンクは力強いペーシングで後続を引き離しにかかり、メイン集団とのタイム差を一時は1分半以上にまで広げる粘りの走りを見せる。
しかし、最終ステージでのスプリント勝利を狙うチームがメイン集団の牽引に加わり始めると、状況は一変。集団のペースは上がり、逃げるモンクとのタイム差は徐々に縮小していく。残り距離が10kmを切ったところで、長時間にわたって独走を続けたモンクもついにメイン集団に吸収された。
勝負の行方は、集団スプリントへと委ねられる。フィニッシュライン手前約500mには踏切が設置されているという、ややトリッキーなレイアウト。各チームはエーススプリンターを有利な位置へ送り込むため、最終盤に向けて激しい位置取り争いを繰り広げた。
ケルグズーが混戦制しステージ優勝、地元タイのポナータンが2位
最終ストレート、各チームのスプリンターが一斉に加速を開始する。混戦模様となったスプリント勝負の中から、ニコラス・ケルグズー(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)がハンドル投げの接戦を制し、フィニッシュラインをトップで通過。見事なステージ優勝を飾った。
僅差の2位には、パトンポブ・ポナータン(ルージャイ・インシュランス、タイ)が入り、地元タイのファンの期待に応える走りを見せた。3位にはロイ・エーフティング(FNIX・SCOM・ハンシャン、オランダ)が入った。
ステージ優勝したケルグズーはニュージーランド出身の28歳。ロードレースでは、昨年の同大会最終ステージに続く勝利で、UCIレース3勝目となった。ケルグズーはトラック競技の選手としても国際的に活躍しており、チームパーシュート種目ではニュージーランド代表の主力選手として、世界選手権やワールドカップ、ネイションズカップで数々のメダル獲得に貢献している実力者だ。
サルビーが総合優勝、ポイント賞と合わせ個人2冠
個人総合優勝争いは、前日の第5ステージで首位に立ったアレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク)が、最終日も集団内で安定した走りを見せ、リーダージャージを守り切った。サルビーはこの日ステージ5位に入り、タイム差を失うことなくフィニッシュ。ステージ3勝という圧倒的なスプリント力に加え、総合リーダージャージも獲得し、ポイント賞との個人2冠を達成した。総合2位にはチームメイトのシモン・ペロー(リーニン・スター、スイス)が入り、リーニン・スターが総合ワンツーフィニッシュを飾った。
ベストアセアンライダー賞は、タイナショナルチャンピオンジャージを着るサラウット・シリロンナチャイ(タイナショナルチーム)が獲得。第4ステージでの4位入賞など、6日間を通して安定した成績を残し、見事にパープルジャージを守り抜いた。

チーム総合成績では、新城幸也、ロレンツォ・クアルトゥッチ(イタリア)らが所属するソリューションテック・ヴィーニファンティーニが、リーニン・スターを抑えて首位の座を守り抜き、見事チーム総合優勝を果たした。
新城幸也「走りがいがあった」チーム総合Vに貢献、自身は総合4位

最終日をステージ9位、個人総合4位で終えた新城幸也は、レース後に安堵の表情を見せた。
「無事に最終ステージを終えられて、本当に良かった~!の一言に限ります。ロレンツォ(クアルトゥッチ)と僕の総合順位(最終的に3位と4位)を落とさないのと、チーム総合をキープすることが今日の目標でスタートした」と、最終日の目標を振り返った。
レース展開については、「終わってみれば、今年のツアー・オブ・タイランドで一番簡単なステージになった。スタート後、直ぐに3人の逃げが出来て、リーダーチームがコントロール。チームとしてはゴールスプリントに集中するだけとなった」とコメント。
総合順位逆転の可能性もあったスプリントについては、「フィニッシュの3位以内のボーナスタイムを稼げれば、総合順位を上げることが出来るのだが。その願いは叶わなかった」としながらも、台湾からのアジア遠征全体を振り返り、「チームに合流して初めてのレースだったが、皆が僕たちを信頼して、頼ってくれて走りがいがあった。3月のアジア遠征は成功だったと思う。シーズンは始まったばかり、これからヨーロッパに戻ってからも好調を維持して行きたいと思う」と、充実感と今後の意気込みを語った。
大会総括:リーニン・スターの強さとアジア勢の健闘光る
6日間にわたる熱戦が繰り広げられた「ツアー・オブ・タイランド2024」男子レースは、リーニン・スターの圧倒的な強さが際立つ大会となった。同チームは全6ステージ中4ステージで勝利を挙げ、個人総合でも1位、2位を独占。その組織力と個々の選手の能力の高さを見せつけた。
一方で、第4ステージではソリューションテック・ヴィーニファンティーニのロレンツォ・クアルトゥッチが劇的なプロ初勝利を飾り、最終ステージではセントジョージコンチネンタルのニコラス・ケルグズーが優勝するなど、他チームも存在感を示した。
また、地元タイ勢も健闘し、サラウット・シリロンナチャイがベストアセアンライダー賞を獲得、パトンポブ・ポナータンが最終ステージで2位に入るなど、大会を大いに盛り上げた。新城幸也が総合4位、チーム総合優勝に貢献するなどの活躍も光った大会となった。
第6ステージ リザルト
1位 ニコラス・ケルグズー(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド) 3h11m41s
2位 パトンポブ・ポナータン(ルージャイ・インシュランス、タイ)
3位 ロイ・エーフティング(FNIX・SCOM・ハンシャン、オランダ)
4位 モハマド・ハリフ・サレー(トレンガヌサイクリング、マレーシア)
5位 アレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク)
6位 ワン・アブドゥル・ラーマン・ハムダン(トレンガヌサイクリング、マレーシア)
7位 エフゲニー・ギディッチ(チャイナグローリー・メンテック、カザフスタン)
8位 ロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)
9位 新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
10位 トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)
個人総合成績
1位 アレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク) 17h19m52s
2位 シモン・ペロー(リーニン・スター、スイス) +05s
3位 ロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア) +12s
4位 新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
5位 ディラン・ホプキンス(ルージャイ・インシュランス) +23s
6位 エフゲニー・ギディッチ(チャイナグローリー・メンテック、カザフスタン) +24s
7位 トム・セクストン(セントジョージコンチネンタル、ニュージーランド)
8位 ニキータ・ツヴェトコフ (ウズベキスタンナショナルチーム) +29s
9位 クリスティアン・ライレアヌ(リーニン・スター、ルーマニア)
10位 マーリス・ボグダノヴィチス(FNIX・SCOM・ハンシャン、ラトビア) +31s
ポイント賞
アレクサンダー・サルビー(リーニン・スター、デンマーク)
ベストアセアンライダー賞
サラウット・シリロンナチャイ(タイナショナルチーム)
第6ステージ敢闘賞
サイラス・モンク(FNIX・SCOM・ハンシャン、オーストラリア)
チーム総合優勝
ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ
- CATEGORY :
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ編集部 文:相原晴一朗 写真:Tour of Thailand、Thailand cycling Association、新城美和
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている