
泥まみれの死闘、男子エリートXCOはアジアチャンプ沢田時が昨年の雪辱果たす|CJ菖蒲谷

せいちゃん
- 2025年04月14日
マウンテンバイク(MTB)の国内シリーズ戦「Coupe du Japon(クップ・ドゥ・ジャポン)」開幕戦となる菖蒲谷クロスカントリーは4月13日(日)、兵庫県たつの市の菖蒲谷森林公園で最終日となる二日目を迎えた。朝からの雨で極上のマッドコンディションとなった中、メインレースの男子エリートXCO(クロスカントリーオリンピック)は、アジアチャンピオンの沢田時(宇都宮ブリッツェン)が制し、前日のXCC(クロスカントリーショートサーキット)2位の雪辱を果たした。
過酷なマッドコンディション、周回数も短縮
汗ばむ陽気だった初日から一転、最終日は朝から雨が降り続き、コースは深い泥に覆われた。このため、男子エリートXCOは当初予定されていた1周3.08kmのコース7周から6周へと短縮されて行われた。
午後1時、男子エリートと男子ジュニア(4周)が一斉にスタート。泥を巻き上げ、ブレーキ音が響き渡る過酷なレースが始まった。
沢田、冷静な走りでライバルを振り切る
スタートからアジアチャンピオンジャージを纏う沢田時(宇都宮ブリッツェン)が積極的にレースをリード。2周目には前日のXCCを制した松本一成(TEAM RIDE MASHUN)と先頭パックを形成する。後方には平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM)、竹内遼(MERIDA BIKING TEAM)らが続いた。
3周目に入るとレースは動く。竹内が一時先頭に立つも、ジュニアの全日本チャンピオン野嵜然新(RACING TORQUE)もエリート上位に食らいつき、沢田、竹内、野嵜の3名が先頭集団を形成。竹内が下りアタックを仕掛ける場面もあったが、シクロクロスでも豊富な経験を持つ沢田は慌てない。深い泥で自転車を降りて押す場面や、粘りの要る上りで冷静に差を詰め、自身のペースを維持した。
5周目、先頭争いは沢田と竹内に絞られる。ここで沢田が着実にリードを広げ、ついに単独トップに躍り出る。最終周回となる6周目も沢田のペースは衰えず、竹内との差を約90秒まで拡大。最後は力強くガッツポーズを見せ、泥まみれの死闘を制した。2位には終盤に追い上げた松本、3位には鈴木来人(アヴニールサイクリング山梨)が入った。
沢田にとって菖蒲谷は、昨年Coupe du Japonシリーズで唯一勝利を逃した(2位)因縁の場所。昨年以上の悪コンディションの中での勝利は、昨年のリベンジ達成とともに、ディフェンディングチャンピオンとして臨む2週間後のアジア選手権(中国)へ向けて大きな弾みとなる価値ある一勝となった。
沢田時コメント
「人生で一番ひどいマッドレースでしたね(笑)。雨の菖蒲谷は昨年唯一勝てなかったレースだったので、リベンジという意味でも嬉しい勝利です。路面が悪く、誰もがミスをする状況だったので、とにかく前でレースを進めることが有利だと思い、スタートで先頭を取りに行きました。何度か泥にとられましたが、常に自分のペースを刻むことができたのが良かった。(竹内選手との争いは)上りや押しでは先行できましたが、下りで追いつかれる状況でした。最後までリスクを冒さず、得意なところで勝負することを徹底しました。残り2周は独走でしたが、寒さもあってとにかく早くゴールしたい気持ちでした。2週間後のアジア選手権で勝って、またこのジャージを皆さんの前で見せられるように頑張ります」
ジュニアは野嵜が圧巻の走り
同時スタートの男子ジュニアでは、エリートの上位選手に食らいつく走りを見せた全日本チャンピオンの野嵜然新(RACING TORQUE)が、2位以下に2分以上の差をつけて圧勝。2位には地元の松山海司(Sonic Racing)、3位には中仙道侑毅(FUKAYA RACING)が入った。
リザルト
男子エリート XCO(1周3.08km x 6周)
1位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) 1h25m34s
2位 松本一成(TEAM RIDE MASHUN) +2m17s
3位 鈴木来人(アヴニールサイクリング山梨) +3m48s
4位 竹内遼(MERIDA BIKiNG TEAM) +4m25s
5位 竹之内悠(/slash – PINARELLO) +5m20s
6位 横山航太(ペダル) +6m20s
7位 平林安⾥(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM) +8m02s
8位 高橋翔(SPEED of sound) +9m17s
9位 門田基志(GIANT KOIDERU) +12m13s
10位 宮津旭(NESTO FACTORY RACING) +15m46s
男子ジュニア XCO(1周3.08km x 4周)
1位 野嵜然新(RACING TORQUE) 56m46s
2位 松山海司(Sonic Racing) +2m12s
3位 中仙道侑毅(FUKAYA RACING) +6m40s
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ編集部 文:相原晴一朗 写真:宇都宮ブリッツェン
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている