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マチュー・ファンデルプールが独走で3連覇 ポガチャルはクラッシュに泣き2位|パリ~ルーベ

北フランスの石畳路を駆ける伝統の一戦、パリ~ルーベが現地4月13日に開催され、新旧世界王者による一騎打ちでマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)がフィニッシュまでの38kmを独走。3連覇を決め、ルーベのヴェロドローム(自転車競技場)で高らかにバイクを掲げた。初出場で初優勝を目指したタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG、スロベニア)は、再三のアタックも要所での落車に泣き、2位で終えた。

第122回目の“北の地獄”

122回目のパリ~ルーベは、パリ郊外の街・コンピエーニュから北上し、ルーベへと達する259.2kmで争われた。スタートからしばらくは平坦路を行き、95.8km地点から“地獄”のパヴェ(石畳)区間へ。その後は短いスパンで断続的にパヴェをクリアしていくことになり、そのセクション数は30にものぼる。パヴェ区間の総距離は55.3kmで、それぞれ難易度に応じて1~5個の星が充てられる。

最高難易度の5つ星に指定されているのは、163.9km地点・セクター19「トゥルエ・ダランベール」、210.6km地点・セクター11「モンス・アン・ペヴェル」、242.1km地点・セクター4「カルフール・ド・ラルブル」の3カ所。いずれも区間距離が2~3kmあり、握りこぶし大で尖っている石が選手たちの心と体を激しく揺らす。なお、セクション番号はカウントダウン式で、30から1へと下がっていく。

前日の女子レース後に降った雨は、男子レース当日朝に上がったものの、コース上のところどころがウェットなコンディション。それでもレース展開に直接的な影響を及ぼすとの見方は薄く、本格的な力勝負となることが期待された中でスタートが切られた。

© A.S.O./Pauline Ballet

ポガチャルはアタック直後にトラブル、マチュー独走へ

リアルスタートから数十キロにかけて、UAEチームエミレーツXRGとヴィスマ・リースアバイクがプロトンの主導権を握り、逃げ狙いの動きを選別。しばらく出入りが続いたが、30km地点を過ぎたところで8人のリードが容認される。最初の1時間は51kmの超ハイペース。先頭グループとメイン集団とのタイム差がおおよそ3分まで開いたのを機に、アルペシン・ドゥクーニンクがコントロールを開始。UAE勢やイネオス・グレナディアーズも後ろにつけた。

© A.S.O./Pauline Ballet

パヴェ区間が近づくにつれ、慌ただしくなる集団。各所でトラブルが発生し、残り172km地点ではワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)やマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)らがクラッシュに巻き込まれる。ワウトはすぐにリカバリーしたが、パヴェを迎えてからも有力視された選手たちのトラブルが後を絶たず。ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)は落車、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)はパンク。どちらも集団復帰までに時間を要した。

© A.S.O./Pauline Ballet

実質1回目の大きな動きは154.5km地点、第20セクター・アヴルイ~ワレーでのこと。この4つ星パヴェでマッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)が仕掛けると、ポガチャルやマチューがチェック。この勢いのまま次のセクションである5つ星のトゥルエ・ダランベールへ。

ここで早くもポガチャルやマチューがさらなる加速を試みると、すぐに逃げメンバーをキャッチ。一連の動きでワウトらが追随できぬ一方で、残り90kmを切ったタイミングでマチューがアタック。先頭の人数が一気に絞られて、最前線にはマチューのほかフィリプセン、ポガチャル、ピーダスン、シュテファン・ビッセガー(デカトロン・AG2Rラモンディアール、スイス)の5人だけが残る状況となった。

世界チャンプポガチャルと3連覇がかかるマチューの一騎打ち

© A.S.O./Pauline Ballet

ワウトらが含まれる第2集団との差を着々と広げる先頭5人。セクター15・ティヨワ~サール=エ=ロジエールに入ると、ポガチャルがアタック。すぐにチェックに動いたのはピーダスンだったが、まさかのパンク。これで後退を余儀なくされると、替わってマチューが続き、フィリプセンも合流。フィニッシュまで70kmを残す段階で、先頭は3人となった。

数的優位に立ったアルペシン・ドゥクーニンクだったが、セクター11の5つ星パヴェ、モンス・アン・ペヴェルでのマチューのアタックにポガチャルが応戦すると、フィリプセンが後ろへ。完全に2人に絞られ、現在のプロトンを象徴するビッグ2のマッチアップが始まった。

レースを決定づける大きな局面は、セクター9のポン・ティボ~エンヌヴランで起こった。断続的に細かなペースアップをしていたポガチャルだったが、このパヴェでアタックを仕掛けた直後に右コーナーをオーバースピードで突っ込み、コースアウト。落車をリカバーしようとすぐにコースへと戻るが、チェーンがロックし再出発に時間を要してしまう。遅れてやってきたチームカーから新たなバイクを受け取って走り出したが、マチューとは20秒の差がついた。

猛然とペースを上げて、一時は15秒ほどまで縮まった両者のタイム差だったが、またもポガチャルにアクシデント発生。前輪がパンクし、再び新たなバイクを受け取って走り出したもののその差は広がる一方に。

投げつけられたボトルに負けず独走のマチュー

© A.S.O.

これらを待つことなく突き進むマチューは、途中のパヴェで観客からボトルを投げつけられたほか、最後の5つ星パヴェのカルフール・ド・ラルブルでパンクに見舞われたものの、巧くリカバーし勢いは衰えず。最終盤はセーフティーに努めながら、ルーベのヴェロドロームへとやってきた。

最後の38kmをひとりで走り抜いたマチューは、3連覇を誇示しながら観客の声援に応えると、フィニッシュライン上でバイクを掲げて喜びを爆発。3連覇は史上3人目の快挙となった。

© A.S.O.

マチューとポガチャルのライバル関係に新たな1ページ

前週のロンド・ファン・フラーンデレンではポガチャルらに敗れ3位に終わっていたマチューだったが、北のクラシック最高の一戦で鮮やかに勝利し復権。通算8度目となるモニュメント制覇を果たした。

歓喜のマチューから1分18秒後、ポガチャルもルーベのヴェロドロームへ。落車後の追走はかなわなかったものの、初出場で2位と上々の結果に右手を掲げてフィニッシュラインを通過。両者のライバル関係に大きな1ページが刻まれるレースでもあった。

表彰台の最後の一枠、3位争いは3人が競い、ピーダスンがスプリントでワウトとフロリアン・フェルミールス(UAEチームエミレーツXRG、ベルギー)に先着。奇しくも、順位こそ違えど前週のロンドと同じ顔ぶれが表彰台を占める結果となった。

クラシック戦線はベルギー北部とフランスでの戦いを終え、ベルギー南部とオランダへ。丘陵地を行くアルデンヌクラシックでロードレースシーン次のフェーズを迎える。

パリ~ルーベ優勝 マチュー・ファンデルプール コメント

© A.S.O.

「とても大きな意味を持つ勝利になった。厳しく、これまでのキャリアの中で最も苦しんだパリ~ルーベだった。イメージしていたより早くリードを得ることができたことは良かった。タデイ(ポガチャル)がコーナーでミスをした時、私は十分なスピードで走っていたのでトラブルを防ぐことができた。これもレースの一部だし、もしフィニッシュまでの距離が多くあったとしても全力で逃げていたと思う。パヴェでの向かい風にも苦しめられたけど、持てる力をすべて出し切った。

タデイのパフォーマンスには驚いていない。彼はとても強く、ミスがなければ一緒にヴェロドロームに到達していたと思う。個人的にはロンド・ファン・フラーンデレンのリベンジだとは考えておらず、何よりコンディションを戻せたことが勝利につながった。」

パリ~ルーベ2025 結果

1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)5:31:27
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)+1’18”
3 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)+2’11”
4 ワウト・ファンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)ST
5 フロリアン・フェルミールス(UAEチームエミレーツXRG、ベルギー)ST
6 ヨナス・ルッチ(アンテルマルシェ・ワンティ、ドイツ)+3’46”
7 シュテファン・ビッセガー(デカトロン・AG2Rラモンディアール、スイス)ST
8 マルクス・フールゴー(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)ST
9 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)+4’35”
10 ローレンス・レックス(アンテルマルシェ・ワンティ、ベルギー)+4’36”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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