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マティアス・スケルモースが世界王者ポガチャル、レムコとの三つ巴を制する|アムステル・ゴールドレース

ロードレースシーンは春のクラシック後半戦、アルデンヌへ。オランダの丘陵地帯で競ったアムステル・ゴールドレースが現地4月20日に行われ、3選手による優勝争いをマティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)が制した。最後はタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)とのスプリントに勝利。プロトン最強の2人に勝つ価値あるタイトル獲得となった。

「1000のコーナー」が待つアルデンヌ開幕戦

59回目を迎えたアムステル・ゴールドレースは、オランダ南部の街・マーストリヒトを出発し、255kmのレース距離によって争われた。最大の特徴は、リンブルフ州の丘陵地帯を走る間に34カ所の急坂区間を上る点。また、かねがね「1000のコーナー」と言われるほどの連続するコーナーも選手たちの行く手に現れる。いかに良いポジションをキープし、終盤まで脚を残すことができるか。ハイライトとなるのは、3回上る急坂区間「カウベルフ」。9年ぶりに最終登坂として用いられることとなり、3回目の上りをこなすと約1.5km先にフィニッシュラインが敷かれる。

ポガチャルの独走を阻止、三つ巴のスプリントはスケルモースに軍配

しばしの出入りを経て、最初の40kmで5人が先行を開始。やがて3人が合流し、最大8選手による先頭グループが形成された。見送ったメイン集団は4分差まで容認し、そこからはUAEチームエミレーツ・XRGやスーダル・クイックステップ、Q36.5サイクリングチームなどがアシスト選手を出しあってペーシングを図った。

メイン集団は労せず先頭とのタイム差を1分ほどまで縮めるが、フィニッシュまで100km以上残したタイミングでレムコ、ワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)、ティボー・ネイス(リドル・トレック、ベルギー)らが落車。すぐに復帰し集団へと戻ったが、少しずつ集団内が慌ただしさを感じさせるようになる。

この直後にはディラン・ファンバーレ(ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)ら4人がカウンターアタック。これをきっかけにさらに集団のペースが上がると、長く先行していた8選手も1回目のカウベルフ登坂を迎えた残り80km地点で崩壊。のちにミシェル・ヘスマン(モビスター チーム、ドイツ)だけが逃げ残る形になり、しばらく粘ったが残り69kmとなったところでメイン集団がキャッチした。

UAEが主導権をとって集団のペースを上げていくと、ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)らの攻勢をすべて食い止めて、上りのたびに人数を絞り込んでいく。そんななかレースが動いたのは残り48km。グルペルベルグの上りでジュリアン・アラフィリップ(チューダープロサイクリングチーム、フランス)がアタック。これにポガチャルが反応し、新旧世界王者があっという間に集団を引き離した。

このまま2人で行くかに思われたが、5kmほど進んだところでアラフィリップが付き切れ。ひとりになったポガチャルはペースをキープして独走することを選択。その30秒後ろでは、スーダル・クイックステップやリドル・トレックが牽くメイン集団が続く。

こうした流れから、まずスケルモースが単独で追走を開始。メイン集団に対し数秒差がついたところで、レムコもアタック。すぐにスケルモースに追いつくと、そのまま前に出てポガチャルめがけての猛追を開始。フィニッシュまで25kmを残して30秒だったタイム差は少しずつ縮まり始め、2回目のカウベルフを上り切って残り20kmとなったところで17秒。その後も着実にギャップは減って、最後の10kmを迎えた段階で差は10秒を切った。

© Getty Images

独走を続けてきたポガチャルだったが、残り8kmでひとり逃げを諦め、追走2人を待つ選択。さらにレムコは追いつくやいなやアタック。これを読んでいたスケルモースがすぐに続き、一瞬反応が遅れたポガチャルも追いついて状勢を整える。3選手の後方ではワウトらのグループが続くが、タイム差は1分近く開き、優勝争いは前を行く選手たちで確定的に。フィニッシュが近づくとポガチャルとスケルモースがレムコを前へ押し出すような形をとり、最終局面に備えた。

© Getty Images

最後のカウベルフではアタックがかからず、牽制状態のまま上り切ると、レムコを先頭に最後の1kmへ。態勢は変わらず数百メートル進むと、ポガチャルがプレッシャーをかけながら加速のタイミングを計る。そして始まったスプリント。懸命に前を守るレムコだが、勢いはポガチャルが上回る。さらにその脇からスケルモースが伸びてくる。最後の50mでポガチャルに並ぶと、フィニッシュラインではわずかの差で前へ。写真判定にもつれた戦いは、スケルモースの優勝で確定した。

© Getty Images

ツールまで続く3選手の力関係

レムコと同じ2000年生まれのスケルモースは、2021年のプロデビュー以来コンスタントに結果を残し、グランツールでも昨年はブエルタ・ア・エスパーニャで5位フィニッシュ。1週間程度のステージレースでも力を発揮し、2年前にはツール・ド・スイスを制したが、今度はワンデーレースで大きな成果を挙げた。23日にはフレーシュ・ワロンヌにも出場予定だが、2023年には2位に入っており得意とするレース。アルデンヌクラシックはもちろん、その先のツールでも上位戦線の顔となる可能性が高まってきた。

初出場で2位となったパリ~ルーベから1週間、予定通りアルデンヌクラシックへシフトしたポガチャルがわずかに優勝へ届かず。フィニッシュ直後には悔しそうな表情を見せたが、すぐにやってくるフレーシュ・ワロンヌ、リエージュ~バストーニュ~リエージュへ、当然切り替えて臨むはず。オフシーズンの事故でシーズンインが遅れたレムコも、18日のブラバンツ・ペイルで復帰即優勝の離れ業を演じ、このレースでも3位と殊勲の走り。

今大会で表彰台を占めた3人が、残るアルデンヌクラシック2戦でも覇権を争うことになるだろうか。

アムステル・ゴールドレース優勝 マティアス・スケルモース コメント

「レムコには何度か前へ出るよう言われていたけど、脚にきていて後ろについているのが精いっぱいだった。表彰台でも十分だと思っていたし、少しでも上位にと思ってスプリントをしたけど、まさか勝つとは思わなかった。

スプリントではレムコもタデイも右側を確保していて、私は風が当たる左側しか走れるラインがなかった。2人をパスできたなんて信じられないし、何かが間違っているのではないかと思った。今年は不運続きで、メンタル的にも苦しかった。1カ月前には祖父を亡くしていて、良い報告をしたいと思っていた。この勝利は彼に捧げるつもりだ」

アムステル・ゴールドレース2025 結果

1 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)5:49:58
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)ST
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)ST
4 ワウト・ファンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)+0’34”
5 マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)ST
6 ルイ・バレ(アンテルマルシェ・ワンティ、フランス)ST
7 ロマン・グレゴワール(グルパマ・エフデジ、フランス)ST
8 ティシュ・ベノート(チーム ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)ST
9 トーマス・ピドコック(Q36.5プロサイクリングチーム、イギリス)ST
10 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)ST

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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