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タデイ・ポガチャルが激坂「ユイの壁」征服 2年ぶり優勝!|ラ・フレーシュ・ワロンヌ

アルデンヌクラシックのひとつ、ラ・フレーシュ・ワロンヌが開催国ベルギー時間の4月23日に行われ、激坂「ユイの壁」での勝負でタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)が他を圧倒。2年ぶり2度目の優勝を果たした。

最大勾配26% ユイの壁決戦

第89回のラ・フレーシュ・ワロンヌは、ベルギー南部の街・シネイを出発し205.1kmを走行。中盤以降はユイの街を基点とする周回コースをめぐるルートがとられた。

その周回では、コート・デレッフ(登坂距離2.1km、平均勾配5%)、コート・ド・シュラーヴ(1.3km、8.1%)を上り、締めに「ユイの壁」ことミュール・ド・ユイを駆け上がる。これを3回繰り返すこととなる。ミュール・ド・ユイは1.3kmの上りで、平均勾配は9.6%。最初の500mこそ5%程度の勾配が続くが、中腹から急激に変化。公式の最大勾配は26%だが、部分的に29%を数えるポイントもあると言われ、ロードシーン有数の高難度。3回目の登坂では頂上にフィニッシュラインが設けられ、実質ユイの壁一発勝負の趣きとなる。

© A.S.O./Billy Ceusters

最後の500mで10秒差をつけるポガチャルの完勝

5人の逃げから始まったレースは、早い段階で雨が降り出してロードコンディションはウェットに。この状況から断続的に数人がメイン集団を飛び出して、先頭グループへの合流を目指す。フィニッシュまで100kmを残した段階で先頭には8選手が位置することとなり、1~2分の差でメイン集団が続く形勢となった。

© A.S.O./Billy Ceusters

ユイの周回コースに入ると、タイム差は1分ほどに。1回目のユイの壁登坂を終えると、少しずつ集団内の慌ただしさが増していく。2回目のユイの壁登坂を前にした残り41kmでは、5選手が絡むクラッシュが発生。3日前のアムステル・ゴールドレースを制し、このレースでも注目度が高かったマティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)が巻き込まれ、一度は走り直したものののちにリタイアしている。

© A.S.O./Billy Ceusters

フィニッシュまで38.5km、2回目のユイの壁登坂で先頭と集団とのタイム差は約10秒まで縮まる。逃げ残りのトビアス・フォス(イネオス・グレナディアーズ)、フレドリク・ドゥヴァーシュネスとアンドレアス・レックネスンのウノエックスモビリティ勢2人。いずれもノルウェー人ライダーで協調態勢が崩れぬまま先頭で粘るが、メイン集団もユイの壁の上りでポガチャルやレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)ら優勝候補が前方へ顔をのぞかせ、自然とペースが上がる。最終周回に入っていったんタイム差をコントロールしたメイン集団は、残り20kmを切ったあたりから再びペースを上げて最終局面を見据えた動きへと移っていった。

© A.S.O./Billy Ceusters

雨が強まり、どの選手も慎重にコーナーや下りをこなしていくが、先頭3人のペースも乱れて集団に捕まるのは時間の問題に。そしてフィニッシュまで約5km、3回目のコート・ド・シュラーヴで集団は逃げメンバーをキャッチ。タイミングを同じくしてUAEチームエミレーツXRGがスピードを上げ、集団内のいたるところで中切れが発生するなど、その状況は一層ハードになっていく。頂上からの下りではポガチャルやレムコがみずからペースアップを図り、一瞬ばかり5人ほどが先行する場面も。再びUAE勢が牽引に戻って、ハイペースを保ちながらクライマックスとなる3回目のユイの壁を迎えた。

ヤン・クリステン(UAEチームエミレーツXRG、スイス)の牽きからチャンスをうかがうポガチャル。残り500m、最大勾配ポイントの「クロード・クリケリオンコーナー」に達したところでベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)が腰を上げる。これに呼応したのはポガチャル。ヒーリーに合わせた動きと思いきや、あっという間に他の選手との差を広げ、一瞬にして独走状態に。

激坂でその脚は最後まで衰えることはなく、最後の500mだけで後続に10秒以上の差をつけてしまう。フィニッシュ前の数十メートルで優勝を確信すると、両手を広げてのウイニングセレブレーション。2年ぶり2回目となるラ・フレーシュ・ワロンヌ優勝を決めた。

© A.S.O./Billy Ceusters

シーズン前半戦の集大成・リエージュへ

春まではワンデーレースに注力すると宣言し、有言実行の活躍を見せているポガチャル。3日前のアムステル・ゴールドレースでは独走実らず2位に終わったが、パワー勝負のユイの壁は他を寄せ付けず制圧。好調キープをアピールした。

次は、4月27日のリエージュ~バストーニュ~リエージュ。ポガチャルにとっては、シーズン前半戦の集大成となるレース。クラシック後はツール・ド・フランスに向け調整に入るため、並々ならぬ意気込みをもって臨むことだろう。勝てば2連覇となる。

歓喜のポガチャルから10秒後、2番手でやってきたのはケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)。昨年のツールでステージ優勝を挙げ、今季も快調に上位進出を続ける23歳が殊勲の走り。3位にはトーマス・ピドコック(Q36.5プロサイクリングチーム、イギリス)が入り、9位に終わっていたアムステルからの修正に成功している。

© A.S.O./Billy Ceusters

アルデンヌクラシックは、27日のリエージュ~バストーニュ~リエージュで締めくくり。同時に、今季の春のクラシック戦線が終わりを迎えることとなる。

ラ・フレーシュ・ワロンヌ優勝 タデイ・ポガチャル コメント

© A.S.O./Billy Ceusters

「このレースで再び勝てたことがとてもうれしい。美しい坂だけど、サイクリストにとっては地獄のような上り。今日は天気が悪く、本当にタフなレースになった。そうした中で勝てたことはとても価値がある。

最後の数キロは今までのキャリアの中でも特に過酷だった。寒さを感じていたが、チームとしてこのレースにフォーカスしていたから、どうしても勝ちたかった。みんなの働きに報いることができて満足している。

ブランドン・マクナルティとヤン・クリステンが素晴らしいリードアウトをしてくれた。ベン・ヒーリーが左側からペースを上げたときにスピードを合わせたら、彼以外のライダーが誰もついてきていなかった。そこから思い切って加速したら、後ろには誰もいなかったのであとは頂上まで全力で走るだけだった。この調子なら、ほぼ同じメンバーで戦う日曜(リエージュ~バストーニュ~リエージュ)も良い走りができると思うし、優勝も狙えそうだ」

ラ・フレーシュ・ワロンヌ2025 結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)4:50:15
2 ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)+0’10”
3 トーマス・ピドコック(Q36.5プロサイクリングチーム、イギリス)+0’12”
4 レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)+0’13”
5 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)ST
6 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)+0’16”
7 ロマン・グレゴワール(グルパマ・エフデジ、フランス)ST
8 ティボー・ネイス(リドル・トレック、ベルギー)ST
9 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)ST
10 マウロ・シュミッド(チーム ジェイコ・アルウラー、スイス)+0’19”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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