
若き才能、欧州ロードレースへ挑戦 RTAが遠征費用クラウドファンディング開始

Bicycle Club編集部
- 2025年06月05日
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ツール・ド・フランスなど世界最高峰の自転車ロードレースで活躍できる選手の育成を目指すプロジェクト「ロード・トゥ・ラヴニール(RTA)」を主宰するシクリズムジャポンは6月1日、2025年夏に若手有望選手を欧州のUCI(国際自転車競技連合)公認レースなどに派遣するためのクラウドファンディングを開始したと発表した。本場の厳しい環境で実践経験を積み、将来のトッププロ輩出を目指す。
日本ロードレース界の現状と課題
同社によると、2025年6月現在、日本のロードレース界の世界的地位は「中の下」クラス。世界最高峰チーム「UCIワールドチーム」に所属する日本人選手は過去10年来1~2名にとどまり、「世界サッカー界に例えるなら、ワールドカップ出場権獲得も程遠い状態」と厳しい現状認識を示す。この状況を打開するには、成長著しいU23(23歳未満)世代が、年間1万レース以上が開催されるロードレース本場の欧州で、世界のトップクラス選手と継続的に競い合う経験が不可欠だ。
しかし、海外遠征には多額の費用が必要で、特に近年の航空券価格や欧州の物価高騰は若手選手にとって大きな壁となっている。日本国内でのレース開催数は年間約100レース程度で、U23選手の年間UCIレース走行距離は約1,000km。一方、欧州で活動する同世代の選手は約4,000~6,000kmに達し、経験値に大きな差が生じているのが実情だ。
欧州遠征で世界への扉をこじ開ける
RTAプロジェクトは、こうした状況を打破すべく、2025年7月下旬から9月上旬にかけて、主にフランスでU23男子選手を対象としたレース遠征を実施する。過去の遠征(2024年夏、2025年春)では、欧州のプロ予備軍を相手に優勝や入賞を果たしており、継続的な挑戦による更なる飛躍が期待される。
今回の遠征では、プロへの登竜門となるアマチュア最高峰「エリートナショナル」カテゴリーのレースを中心に、U19(19歳未満)のUCI公認レースなど、ベルギーを含む約20レースへの参戦を計画。これらのレースで好成績を収めることは、欧州のプロチームや育成チームへの足掛かりとなる。
「地に足の着いた育成」目指すRTA
RTAプロジェクトを率いるのは、東京五輪などで自転車ロード競技ヘッドコーチを務め、日本人初のツール・ド・フランス完走者である新城幸也選手が所属した「エキップアサダ」元監督の浅田顕氏。浅田氏は「世界のトッププロロード競技界では”勢い”や”運”はほぼ通用せず、着実に培った実力を持つ選手のみに長い活躍のチャンスが与えられる。我々は効率よく、地に足を付けながら、強くて長く活躍できる選手を育て上げることを目指している」と語る。プロジェクトには経験豊富なプロのメカニック、マッサーなども帯同し、万全の体制で若手選手をサポートする。
クラウドファンディングで支援を募集
遠征に必要な総費用は約1186万円。うち約605万円は自己資金で賄い、残る約581万円をクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で募集する。集まった資金は、選手・スタッフの渡航費、滞在費、レースエントリー費などに充当される。
シクリズムジャポンは「日本の有望な若手選手たちを本場欧州のロードレース界に合流させ、世界への道を切り開きたい。皆様の温かいご支援をお願いしたい」と呼びかけている。
問:シクリズムジャポン(RTAプロジェクト主宰) https://www.rta-cycling.jp/
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