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青山雄一のアンバウンドグラベル2025(レース編)|Unbound Gravel 2025

5月31日、アメリカのカンザス州エンポーリアの街で開催された「アンバウンドグラベル」。世界で最もグラベルライダーから知られているレースイベントで、日本からの参加者のここ数年は20名ほどを数えている。今年の参加者もエントリーリストを目視で数えたところ22名が日本からの参加者と記載があった。

先日終了した2025年の同イベントにて、200マイルレースに参加した青山雄一さんと久保信人さんの参加レポートが届いている。今回は青山さんのレポートを紹介しよう。

準備編レポートはこちら
青山雄一のアンバウンドグラベル2025(準備編)|Unbound Gravel 2025

青山雄一のアンバウンドグラベル2025(準備編)|Unbound Gravel 2025

2025年05月31日

出国からのスケジュール

全体の日程はこんな感じでした。

  • 29日(木)移動&チェックイン
  • 30日(金)試走&受付
  • 31日(土)レース
  • 1日(日)チェックアウト&空港近くのホテルへ移動
  • 2日(月)移動
  • 3日(火)日本着

今回で4回目の参加になりますが、しがない会社員の自分はギリギリの日程に圧縮しています。

今回は会場となるEmporia の街にある大学の、「Emporia State University」学生寮を予約しているのですが(本イベントの際は宿泊施設として開放される)、用意されているのがマットレスのみで、シーツや毛布はウォルマートで購入しました。

部屋は同行の久保さんとの相部屋で54190円/人。本来的には水曜日から泊まれるので、4泊5日トータル7食付いてこの値段は激安です。しかもスタート地点まで1.5kmぐらいで便利なことこの上ないです!ただし予約は熾烈で、オンラインでの受付開始から1~2時間で埋まるらしいので予約希望の人はお早めに。今回我々は、不参加となったRoppongi Expressの高岡さんに部屋を譲っていただきました。高岡さんありがとうございました!

自分たちが到着する29日のチェックインの受付時刻は20時まで。
それに対してカンザスシティ国際空港に着くのが17時。

そこから予約したレンタカーを借りるのですが、受付が結構並んでいて結局出発したのが18時ごろ。カンザスシティ国際空港からEmporia State Universityまではナビ上で1時間54分と出ていてかなりギリギリでした(笑)。

荷物運搬も考え、毎回ピックアップトラックを借りている

まあ、予め遅くなることは連絡済みで、その際には別の場所で鍵を受け取る様に言われているので安全運転でEmporiaを目指します。結局19時50分ごろに到着して、ギリギリ通常通りのチェックインを済ませられました。

受付の女性に「車が入って来るのが見えて、きっとあなた達だと思ったわ。ギリギリだったわね~」と談笑しつつチェックインを済ませました。

寮の部屋にて。自転車ももちろん持ち込める

レース前日

レース前日にあたる30日の金曜日にXL以外のカテゴリは受付が有るのですが、そこではゼッケンと共に参加賞のTシャツを始め色々なノベルティが貰えます。

そしてこの日はShakeout Rideも各種開催されるのですが、貰ったものが邪魔になるので受付より先にShakeout Rideに行こうという話になりました。

そこで受付前に始まる一番早い時間のshamor butt’rのShakeout Rideに参加しました。
30分前に集合場所らしき場所に行くと、30人程度の人が集まっていてノベルティが配られていました。ところがこの後どんどんと参加者が増えていき、スタート時には恐らく500人ぐらい居たのではないかと思います

シェイクアウトライドに久保さん(左)とともに移る日の丸ウェアの青山さん(中)

それだけの人数が集まるのが見こされていたのか、パトカー2台の先導が付くという贅沢ぶり!
走り出してみると自分の後ろに延々と自転車の列が続いていました。コースは知らずに参加したのですが、走ってみるとスタート区間とゴール区間をそれぞれ10kmづつつないだ感じでした。

またこの時は日の丸と「JAPAN」という文字が入ったジャージを着ていたのですが、それの所為かいろいろな人に声をかけられました。その中には「お前MAVERIC乗っているのかよ、マジかよ! 俺、LAに住んでいてMAVERICKの店主 Kevinを知ってるぜ! 彼きっと喜ぶよ!」と声をかけてくれて、一緒に写真を撮る嬉しい一幕もありました。

レース当日!

レース当日は3時45分に起床、4時に開く食堂の時間に合わせました。朝食は特に変わったものを食べるのではなく、ただ炭水化物を多目に食べました。また、過去のレースでは中盤以降、アキレス腱が痛くなることが多かったので、予めテーピングを施しておきました。

食事ではこれでもかと炭水化物が並ぶ。レースだからなのか、国柄なのか

用意も完了し、6時ごろにスタート地点に行くと既に多くの人が整列を始めている状態でした。
このレースのスタートはちょっと変わっていて、目標タイムの看板が2時間ごとに掲げられていて、そこへ思い思いに並んでいくスタイルです。自分は14時間の看板の付近に、久保さんは12時間の付近を選択しました。

スタート前の青山さん(左)と久保さん(右)。レース開始時刻はまだ暗い

スタートはゆっくり、号砲を聞いてから計測ポイントに達するまで約1分かかりました。

スタート~Water Oasis1

当然出だしは集団走行になります。例年、14時間目標の辺りだと少しでも前に行こうとかなりカオスになるのですが、今年は比較的穏やかでした。

序盤はこのように集団走行が続く @Aaron Davis

走り出して数kmで郊外に達し、グラベルに突入していきます。集団で走っているのと路面がスムーズなので、グラベルにも関わらず35~40km/hで巡行していきます。完全にオーバーペースであることは理解しているのですが、速度の割には楽できるのでそのまま付いていきます。

65km地点のWater Oasis1まで集団を乗り換えつつ、そのままのペースで進みます。集団で走っていると前方の路面が確認できず、結構怖い思いをします。

(ウォーターオアシスとは給水兼簡易休憩ポイントのこと。200マイル≒320kmコースでは、外部から補給をうけとれるチェックポイント2か所に加えて、このウォーターオアシスも2か所ある。過酷なレースのため、水や食料のマネジメントをこういったポイントに併せて管理することが重要になる※編集部サカモトより去年の自身の反省も込めて追記)
人生初の300km超。編集サカモトのアンバウンドグラベル(レース編)|UNBOUND GRAVEL

人生初の300km超。編集サカモトのアンバウンドグラベル(レース編)|UNBOUND GRAVEL

2024年08月23日

なので自分は前走者に対してほんのちょっと(タイヤ幅2本分ぐらい)ズラして、視界と緊急時に前走者を避けられるスペースを確保します。そのうえで2,3人ぐらい前の人の動きを視界の端に入れておくと、路面の穴や石を踏まずに済みます。本当はピッタリ真後ろに付けてエアロ効果を稼いで楽をしたいですが、アクシデントに巻き込まれパンクや落車するよりかはずっとマシだと考えています。

さて、Water Oasis1までは予定していたタイム(=去年出した自己ベスト)よりも20分も早く着いてしまいました。計算するとここまで12時間切りでフィニッシュするペースであることに驚くとともに、やっちまったのではないかと幾ばくかの不安を覚えます・・・。

Water Oasis1~Check Point1

水は潤沢に有ったので、Water Oasis1では補給せず素通りします。かなり脚を削られた所為もあって、ここからは意図的にペースダウンしてここで集団とはお別れ。

途中かなりぬかるんでいる箇所を通過します。右側は泥に覆われた路面、左側は泥水の水たまり。トレイン状態で泥路面を進んでいきますが、みんな滑る路面に悪戦苦闘している様子。
脚を着きそうなぐらい低速で進んでいたので、しびれを切らして左側の水たまりを突き進んで抜いていきます。

その代償としてチェーンの油がかなり落ちて、軽いギヤ(=チェーンテンションが高い)だとゴリゴリと音を立てる様に・・・。まあ精神的にイヤなだけで、実質的な不都合は生じないのでそのまま進んでいきます。

この区間の後半から気温と向かい風に苦しめられました。
レースの数日前までは大雨に見舞われ車がスタックするような状況で有ることが伝わってきていました。ところが蓋を開けてみれば前日からピーカンで、当日に至っては30℃を超える高温!そこに加えて昼前から西風(=向かい風)で、西進するライダーを痛めつけます。
そんな環境に苦しめられながらもCheck Point1に到着。結局、目標に対して20分あったアドバンテージはこの区間で使い果たしてしまいました・・・。

さて、本大会では補給やサポートを受けられる場所が2か所のCheck Pointのみと決まっています。しかもサポートクルーは基本的に自分で用意しないといけません。ですが、全ての参加者が自分で用意できる恵まれたライダーではありません。そこでオフィシャルサービスとして、Crew for Hireというシステムが用意されています。

これはある慈善団体に”Donation(献金)”することによって、ボランティアがサポートしてくれるというシステムです。我々の様に海外や遠方から参加する選手にとっては非常に有り難い。Crew for Hireでは前日に預けておいた自分のバッグを受け取れると同時に、スポンサーであるGUのジェルやワッフル等の製品を取り放題になります。

自分は預けておいたバッグから補給食とドリンクミックスを受け取り、水の補給をスタッフにお願いしました。またゴリゴリ言っていたチェーンに、持参したオイルを注します。結局これらの作業をこなしてCheck Point1には9分滞在していました。

Check Point1~Water Oasis2

Check Point1を出てからは、引き続き西進して向かい風と格闘する時間が続きます。

この区間はずっとアップダウンが続くイメージで、徐々に脚とメンタルが削られていきます。丘を登っては下り、また登るというのをくりかえします。丘を登ると視界が開け地平線が広がり、その雄大さに心を打たれます。が、さらに先の丘へのアップダウンが延々と続く風景には心が折れます(笑)。

心がポキポキと折れながら走っていると、心配していたアキレス腱に徐々に痛みが出てきます。ただ意識すると痛いかな、程度なのでそのままWater Oasis2まで進む事にします。

この区間の後半になると30℃近い気温になると共に、強烈な日差しにより体力を消耗しました。この時は向かい風も強く時速15km/hなんてザラ、急な登りが加われば10km/h程度に落ちることも有りました。

何とかWater Oasis2に到着して水分の補給をします。

レース全体を通してザックのハイドレーションに自作デュアルソース飲料を1L、ロングボトル2本に水を入れていました。ハイドレーションは密集した集団での補給のしやすさを考えて、ボトル2本はかけ水と怪我をした際の洗浄用として用意していました。

Water Oasis2到着時にはハイドレーションにはまだドリンクが有ったのでそのまま。ボトルの水は補給と同時に頭からかぶりました。気になっていたアキレス腱の若干の痛みに対して、持参したロキソニンを投入。そして、Go Proのバッテリーを交換してすこし横になります。その後ピットアウト、結局Water Oasis2には12分滞在していました。

Water Oasis2~Check Point2

予報ではここから北風が吹き南下していくコースと相まって、楽な区間が続くと思っていましたが、引き続き西風が強く厳しい時間が続きます。

気にしていなかったのですが、ロキソニンが効いていたのか気が付けばアキレス腱の痛みは霧散していました。ただ序盤に飛ばしていたダメージがこの区間で爆発し、平均速度がみるみるうちに落ちていきます何とか踏もうとするものの疲労と高温から、思うようにパワーが出ません。後から思い返すと軽い熱中症だったのかも知れません。

途中、小川を渡るセクションが有ったのですが、降りて自転車を担いで渡る人、自転車を置いて水浴びをしている人(笑)と様々です。自分は比較的浅いと思ったので、乗車のまま渡りました。

相変わらず繰り返す丘の登りと下りをこなし、何とかCheck Point2に到着します。ここでも熱中症防止の為に水を何度か被りました。ボトルとハイドレーションに給水して、預けていた補給食を受け取ります。

ただ補給食は高温にさらされてもかまわない様に、シリアルバー等の固形物を中心にしていたのですが、疲労からこれを食べる気になりません。Crew for Hireで用意されていたバナナとピクルスを無理やり押し込みます。どうやらピクルスは日本人の梅干しに相当する様で、塩分と酸味(≒クエン酸?)を補給するために常に用意されています。現地の人は漬けてあるつけ汁まで飲み干しています!

食べ終わっても疲労から動く気になれず、小さいコーラを飲み少し休憩を取ります。そうこうしているうちにCheck Point2には18分も滞在してしまいました。

Check Point2~Finish

日照時間が長いが、影の伸びで時間の経過を感じる

CP2を出てしばらくは一人旅。この時点で17時を過ぎており、少しづつ日が傾き影の伸びで「随分長い時間走っているんだなあ」と実感します。この時間帯には待望の追い風となる北風が吹いてきて、体力の回復と共に速度が多少上がってきます。

それでもCheck Point2からFinishまでは今大会最長の87km! まだまだ気は抜けません。途中の丘の頂上で補給食を食べると同時に、あまりの雄大な景色にレース中唯一の写真を撮りました。

全ての丘を越えた後で一人でフラット区間をひたひたと走っていると、女性1人を含む3人パックに抜かれました。この3人とはずっと抜きつ抜かれつしていて、見覚えが有りました。結構いいペースだったので、これに必死に食らいついていきます。

会話を聞いていると英語ではない言葉を話していたので、話を聞いてみるとオランダからの参加でした。このパックには時々合流する人が居たり、ちぎれて行ったりする人がいましたが、結局終盤までパックを組んでいたのは3人と自分だけになりました

全てのグラベルが終わり、Emporia State Universityの構内に戻ってきます。大学構内には最後の激坂が控えています。そこでは観客がめちゃ煽ってきます(笑)

それに応えて残る力を全て振り絞って駆け上がります!ここでオランダ人3人とは離れてしまいます。本当は一緒にゴールしてお礼を言いたかったのですが・・・。

大学の構内を出て一つコーナーを曲がるとホームストレート!

「ようやくフィニッシュできる」や「もうこの凄いレースも終わりか」と複雑な思いが去来します。最後のストレートで観客とハイタッチしながらフィニッシュ!結局14時間25分と去年から15分落ち、Race The Sunも逃す残念な結果になりました。

沿道の後押しも受けゴールへ

ですが今の自分の全ては出し切れたと思います。フィニッシュ後は選手向けに用意されたビールと軽食を取りながら放心状態でした。

ゴール後の自撮りは自分があまりにも放心状態なので、200マイルを共に戦った相棒のバイクを載せておきます(笑)

帰国時の小噺

レース翌日は表彰式等が行われるのですが、久保さん共々疲労の極みだったので、うだうだしつつ寮のチェックアウト時間ギリギリまでゆっくりしていました。

帰国は翌月曜日の早朝6時の便なので、カンザスシティ空港近くのホテルに移動しました。最後の晩御飯は「カンザスシティといえば!」ということでBBQにしました。幸い2023年にRoppong Expressの高岡さん、福田さんと一緒に行ったBBQのお店『Smokehouse Barbecue – Kansas City』が近かったので、そこでお腹一杯BBQを堪能しました。

せっかくカンザスシティーにきたのならBBQは外せない!

翌日空港で帰国のためチェックインするとまさかのトラブルが。同行の久保さんと同じ便を取っているつもりが、自分はシアトル経由、久保さんはアトランタ経由の便を取っていた事が発覚!
さらに、悪い事には自分のフライトにはスーツケース2つが、久保さんのフライトにはバイク2台が紐づけされてしまいました。

不安ではありましたが、不幸中の幸いなのか、羽田空港に到着する時間が30分差ぐらいだったので、羽田で再会できる事を願ってそれぞれの便に乗り込みます。最終的には羽田空港にお互いとお互いの荷物もそれぞれ定刻通りに到着して事なきを得ました。

今回の遠征は4回目だったのですが、一番辛いレースとなりました。それでももう一度参加したいと思わせるほど、魅力の詰まったレースだと思います。グラベルに興味の有る方はぜひ参加してみて下さい。レースだけではなく、町ぐるみお祭り状態で歓迎してくれるので、きっと虜になると思います!

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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