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小林海が劇的2連覇&引退表明!有終の美を飾る 山本元喜2位、金子3位|全日本選手権ロードレース

2025年6月22日(日)、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで開催された「第93回 全日本自転車競技選手権大会 ロードレース」は最終日を迎え、男子エリートで小林海(JCLチーム右京)が最終周回に独走に持ち込み、圧巻の2連覇を達成した。レース後、小林はこのレースをもって現役を引退することを表明し、会場は驚きに包まれた。2位には山本元喜(キナンレーシングチーム)、3位には金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が入った。

灼熱と強風、サバイバルレースの舞台

3年連続で全日本選手権の舞台となった伊豆。1周8kmのコースを男子エリートは20周する160km獲得標高5,000mという世界屈指のタフなレースで争われた。昨年とは打って変わり、今年は快晴に恵まれたものの、気温は30℃に達し、5m近い南西からの強風が選手たちを苦しめる、まさにサバイバルレースとなった。

「今日で引退」覚悟の走り、小林海が魅せた王者の魂

124名の選手がスタート

124名の精鋭がスタートラインに並んだ男子エリート。レース前のインタビューで、前回王者として臨む小林は「多少緊張していますぐらいです(笑)。金子(宗平)だけっす(笑)」と冗談めかしつつも、「チームの中から誰か優勝者が出るのが一番大事」とチーム一丸での勝利を誓っていた。しかし、その胸の内には大きな決意が秘められていた。

レース序盤はアタック合戦。富士ヒルとニセコチャンピオンの石井雄悟(VC VELOCE)が飛び出す場面も
2周目には石橋学(JCLチーム右京)が飛び出し、それに加藤辰之介(愛三工業レーシングチーム)と小山貴大(群馬グリフィンレーシングチーム)、武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)が合流
3周目に飛び出した鎌田晃輝(JCLチーム右京)
集団をコントロールする石橋学(JCLチーム右京)
逃げの鎌田晃輝(JCLチーム右京)に阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)と吉岡直哉(チームユーラシア・iRCタイヤ)、小島快斗(セブンイレブン・クリック・ロードバイクフィリピン)が合流
逃げの4名
集団は引き続き石橋学や小石祐馬(ともにJCLチーム右京)がコントロールする
逃げの4名から下りで小島快斗(セブンイレブン・クリック・ロードバイクフィリピン)が遅れる
阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)を先頭に進む逃げの3名
鎖骨骨折からの復帰戦となった花田聖誠(宇都宮ブリッツェン)が集団の先頭に立つ
吉岡直哉(チームユーラシア・iRCタイヤ)も遅れ、先頭は2名に
厳しい表情で集団を牽引する花田聖誠(宇都宮ブリッツェン)
逃げ続ける鎌田晃輝(JCLチーム右京)に阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)
11周目、武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)のペースアップで新城雄大(JCLチーム右京)、増田成幸(JCLチーム右京)の3名が集団から飛び出す
鎌田晃輝(JCLチーム右京)のペースアップにより阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)も脱落、単独先頭に

レースは序盤から激しいアタック合戦が繰り広げられた。3周目には一昨年のU23王者・鎌田晃輝(JCLチーム右京)が単独で飛び出し、一時は2分半以上のリードを奪う積極的な走りを見せる。メイン集団はJCLチーム右京がコントロールしながらも、中盤以降は各チームのエース格が次々と仕掛け、緊迫した展開が続いた。

比較的涼しい表情で登りを駆け上がる山本元喜(キナンレーシングチーム)
先頭は一時、4名に絞り込まれる
孫崎大樹(ヴィクトワール広島)が6名の先頭集団を引っ張る

勝負が大きく動いたのは終盤。18周目、内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム)のアタックをきっかけに集団が絞られると、そこからディフェンディングチャンピオンの小林が満を持してアタック。谷順成(宇都宮ブリッツェン)、山本元喜が反応し、さらに金子宗平らが追いつき先頭は6名に。19周目には一時9名まで膨らんだ先頭集団だったが、登りで小林が淡々とペースを刻むと、金子、谷、山本元喜との4名に絞り込まれた。

4名で最終周回に
独走で2連覇を飾った小林海(JCLチーム右京)

そして最終周回、小林が再び登りでアタック。まず金子と谷が遅れ、食らいついた山本元喜も振り切り独走態勢を築くと、厳しい表情ながらも力強いペダリングで後続を寄せ付けず、この日のベストラップタイムでフィニッシュ。1998年、1999年の藤野智一氏以来26年ぶりとなる全日本選手権ロードレース連覇という偉業を成し遂げた。

「もうこんなキツい思いしなくていい」涙と笑顔の引退宣言

優勝した小林海(JCLチーム右京)

ゴール後、小林の口から衝撃の言葉が語られた。「嬉しいですね。ホッとしてますね。僕、今日で引退するんですよ。だからラストのレースだったんで嬉しいです」。この日のために全てを懸けてきた小林は、時折言葉を詰まらせながらも、その胸中を明かした。

「勝つために準備してましたけど、連覇というのは頭の中になくて、とにかくいい走りしたいなって思ってたんで。もうやめるって決めてたんで、ああもうこんなキツいトレーニングもう今日でやらなくていいんだって思いながら、もう雨の日に自転車乗らなくていいんだって思いながら毎日、1日1日過ごしてたんで本当に嬉しいです」と、安堵の表情を見せた。

レース展開については、「金子がすごい強いのもわかってましたし、今年はあんまりスプリントに持ち込みたくなかった。最後もホームストレートに入る前の坂でちょっとペース上げてみたり、何度も裏の登りでアタックしてたんですけど、これ俺ビビってんなと思って、アタックしないとしたらビビってアタックしないんだなと思って、それは良くないなと思って、よし!試してみようと。出せるものは全部出そうと思って踏みました」と、冷静な判断と勇気ある決断が勝利に繋がったことを語った。

30歳での引退。「散々でしたよ。苦しかったです(笑)楽しいことなんて少なかったです。苦しくて必死に僕はやって来たんで、本当に終わることができて嬉しいですね」と競技人生を振り返り、「長い間本当にありがとうございました。すごく自分が悩んでたりキツい時も…。あっ、ちょっと僕泣いちゃうんでやめておきます。ありがとうございました」とファンへの感謝を述べた。全日本チャンピオンジャージを身にまとい、有終の美を飾った小林の表情は、達成感と解放感に満ち溢れていた。

上位選手たちの激闘とそれぞれの思い

2位に入った山本元喜(キナンレーシングチーム)

2位に入った山本元喜は「2回目の優勝目指して、全力で挑戦して、全力で走って、力負けしちゃって2位だったんで、悔しいですけど悔いはないという感じです」と清々しい表情。3位の金子宗平は「1位狙って来てたのですごい悔しいです。来週のタイムトライアルは2連覇目指して頑張りたい」と雪辱を誓った。

3位の金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)
4位の谷順成(宇都宮ブリッツェン)

4位の谷順成は「チームとして終盤まで4枚残したのでチーム力をしっかり示せたのは良かったんですけども、宇都宮ブリッツェンはまだロードレースの全日本選手権のタイトルは無くて、その目標が達成できなかったのでまたしっかり反省してまた来年全員で挑みたいなと思っています」とチームの目標達成への思いを語った。

7位の新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)

7位の新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)は「今日できることは僕なりに全部できました。調子は悪く無かったのでそれはいいかなと思います。来週のタイムトライアルがあるのでそこに向けてまた準備しなおします」と次戦を見据えた。小林の引退については「自分なりの選択肢があるだろうし、人それぞれの人生ですしそれを決めたことで周りがどうこう言うことでもないし、まあお疲れ様って感じですかね」とコメントした。

100km以上逃げ続け8位に入った鎌田晃輝(JCLチーム右京)

チームメイトの優勝に貢献し8位に入った鎌田晃輝は「自分が最初逃げることによってチームの負担も減って最悪自分がそのまま勝ちきるって作戦でした。来年勝つんで応援よろしくお願いします」と力強く語った。

男子エリートは厳しいコンディションの中、34名の選手が160kmの長丁場を走り切った。

マスターズも白熱、各年代の王者が決定

午前中に行われたマスターズレースでは、各年代で熱戦が繰り広げられた。

マスターズ30〜39は木村裕己(Roppongi Express)、40〜49は松木健治(VC VELOCE)、50〜59は波片鉄平(CR3W)、60歳以上は奈良正一(天狗党)、そして女子マスターズは仲村陽子(フィッツ)がそれぞれ栄冠を手にした。

リザルト

男子エリート(160km)

1位 小林海(JCLチーム右京) 4時間47分2秒
2位 山本元喜(キナンレーシングチーム) +25秒
3位 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) +56秒
4位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +1分21秒
5位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2分33秒
6位 孫崎大樹(ヴィクトワール広島) +2分33秒
7位 新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) +2分35秒
8位 鎌田晃輝(JCLチーム右京) +2分40秒
9位 内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム) +3分25秒
10位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +5分4秒

男子マスターズ30〜39(56km)

1位 木村裕己(Roppongi Express) 1時間39分46秒
2位 佐々木遼(PHANTOM湘南)
3位 皿谷宏人(エキップティラン)

男子マスターズ40〜49(56km)

1位 松木健治(VC VELOCE) 1時間39分47秒
2位 小林亮(soleil de lest)
3位 大森慶太(BREZZA-KAMIHAGI) +11秒

男子マスターズ50〜59(32km)

1位 波片鉄平(CR3W) 58分46秒
2位 山本裕昭(BONDS静岡サイクルRT) +3秒
3位 西谷雅史(チームオーベスト) +7秒

男子マスターズ60〜(32km)

1位 奈良正一(天狗党) 1時間1分32秒
2位 奈良浩(イナーメ信濃山形) +4秒
3位 酒居良和(エキップティラン)

女子マスターズ(32km)

1位 仲村陽子(フィッツ) 1時間8分13秒
2位 山本百合恵(シクロ・アジョシ) +2分53秒
3位 米田和美(MOPS) +3分45秒

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PROFILE

せいちゃん

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稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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