
沢田時、復興の願い込められた新コースで圧巻の独走V!初代王者に輝く|CJ福島檜山高原

せいちゃん
- 2025年06月30日
2025年6月29日(日)、MTBクロスカントリーの国内シリーズ「Coupe du Japon」の第6戦が、福島県田村市の桧山高原特設コースで初開催された。地域活性化と復興推進の願いを込めて新設されたコースの柿落としとなった今大会、メインレースの男子エリートでは全日本チャンピオンの沢田時(宇都宮ブリッツェン)が2周目から独走態勢を築き、2位に1分51秒の大差をつけて圧勝した。
復興への想いが拓いた新コース、桧山高原で初開催
今大会の舞台となったのは、Coupe du Japon初開催となる福島県田村市の桧山高原。この特設コースは、地元有志らが地域活性化と東日本大震災からの復興推進を目指し、日本自転車競技連盟や県マウンテンバイク協会などに働きかけて設計されたものだという。多くの人々の想いが詰まった新コースで、記念すべき最初のビッグレースが幕を開けた。
全日本王者、序盤から他を圧倒
午後1時、32名の選手が一斉にスタートした男子エリート(1周3.7km×6周)。1周目からレースをリードしたのは、ナショナルチャンピオンジャージを身にまとう沢田だった。松本一成(TEAM RIDE MASHUN)、高橋翔(SPEED of sound)らを従え、12分6秒でコントロールラインを通過。早くも王者の貫禄を見せつける。
勝負が動いたのは2周目。沢田は1周目とほぼ変わらない12分10秒というハイペースを維持し、後続を一気に引き離しにかかる。この時点で2番手に浮上した高橋との差は29秒。沢田はここから一人旅を開始した。
その後も沢田の勢いは止まらない。3周目完了時には高橋との差を47秒、4周目には1分以上へと広げ、完全に独走態勢を築き上げた。マウンテンバイクレースでは、わずかなミスが命取りとなり、特に初めて走るコースではリスクも高まる。しかし、大きな石が敷き詰められたテクニカルなセクションや厳しい暑さの中、沢田の走りは終始冷静だった。
通常、周回を重ねるごとに疲労でタイムが落ちるものだが、沢田は5周目、6周目と再び12分20秒を切るラップタイムを記録。終盤にかけても衰えぬ力強さを見せつけ、最終的に2位の高橋に1分51秒もの大差をつけ、悠々とフィニッシュラインを駆け抜けた。
来る7月18-19日には、兵庫県たつの市で全日本選手権が開催される。ディフェンディングチャンピオンとして連覇を狙う沢田にとって、王者の強さを改めて証明する完璧なレースとなった。
優勝した沢田時のコメント
「無事、優勝することができてよかったです。今日は全日本前の最後のマウンテンバイクのレースだったので、前半の早いうちから動いて追い込めるレースにしようと思っていました。結果的に2周目から独走になり、思っていた通りに走れて内容的にもよかったと思います。
全日本選手権はライバルもさらに増え、前半はより激しい展開になると思う。個人的にはもう一段階、前半から余裕のあるようになればしっかり2連覇できる状態になるかなと。ただ、きょうの状態には満足しています。全日本までにロードレースを2戦走るので、そこでさらに調子をあげて全日本に臨めれば優勝できると思います。
きょうはたくさんレースが重なっている中で、マウンテンバイクをサポートしていただいたこと、声援を送っていただいたことに感謝しています。引き続き頑張りますのでよろしくお願いいたします」
男子エリート リザルト
1位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) 1時間13分49秒
2位 高橋翔(SPEED of sound) +1分51秒
3位 平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM) +3分20秒
4位 鈴木来人(アヴニールサイクリング山梨) +5分36秒
5位 嶋崎亮我(Olanda Base/日本大学) +6分33秒
6位 松本一成(TEAM RIDE MASHUN) +11分1秒
7位 佐藤誠示(SAGE’S STYLE) -1周
8位 門田基志(GIANT KOIDERU) -1周
9位 詫間啓耀(NESTO FACTORY RACING) -1周
10位 田邊昌宏(OLIVE) -2周
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ編集部 文:相原晴一朗 写真:宇都宮ブリッツェン
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている