Panaracer(パナレーサー)の レーシングタイヤ開発の現場をBC編集部が密着取材!
Bicycle Club編集部
- 2016年10月03日
本誌が取材したのは1月下旬の宇都宮。チームはシーズンに向けトレーニングを開始していた。そのチームキャンプで密かにパナレーサーのプロトタイプタイヤがテストされていた。ここではパナレーサーと宇都宮ブリッツェンによる、タイヤ開発の現場をレポートする。
宇都宮ブリッツェンのチームキャンプに、パナレーサーが製品化に向けて開発中のプロトタイプのチューブラータイヤが持ち込まれていた。
この日タイヤテストを担当していたのはチームのエース増田成幸選手、そしてキャプテン鈴木真理選手、そして、安定感のある鈴木譲選手だ。3種類のタイヤを3選手が交換しながら試していく。
テストするタイヤのコードネームは「TEAM Edition zero(チームエディションゼロ)」。そのネーミングからも特別なモデルであることがうかがえる。「エネルギーロスの低減を目的として部材や構造を見直しています」と開発を担当しているパナレーサー坂本さんは語った。その結果、軽量化も実現しているという。スペック詳細は非公開だが、テストする選手からの評価はこうだ。「自分の好みはダイレクトにエネルギーが伝わるレスポンスのいいタイヤです。乗り心地が硬くてもかまわない。
トレーニングキャンプでサンプルをテスト
この日、プロトタイプのチューブラータイヤ3モデルを3選手が交換しながらテスト、坂本さんがヒヤリングしていた。「ヒルクライムでもクリテリウムでも、エネルギーロスが少ないことは有利」とサンプルの好感触を伝える増田選手
(右)宇都宮ブリッツェン 増田成幸
ワールドツアーチームで走るなど経験も豊富で、2014年ツール・ド・おきなわでは優勝を果たした。テストライダーとしての鋭い視線を持つ
(左)パナレーサー 坂本裕規
パナレーサーのマーケティング部門に所属。MTBクロスカントリーのエリート選手として活躍した経験を生かし、現在はチームサポートも担当している
今回のテストサンプルは3モデル。それぞれに「TEAM Editionzero」の文字が入る。右が基準となるスリックタイプ、中央はサイド部の耐カットパンク性能を向上させたモデル「D」、左はトレッドをミックスパターンにしたもの
チームメカニックの針谷氏。
タイヤの着脱など、辛口の意見を坂本氏に伝えていた
「とにかく軽いのがいいですね」というのが増田選手のコメント。好みのタイヤに仕上がっているという。一方で「硬すぎて荒れた路面では突き上げが大きい」と両鈴木選手。また鈴木真理選手からはミックスパターンモデルの接地感への指摘もあった。ヒヤリングしている坂本さんの顔が険しくなる。開発側の狙う性能に対して反作用のほうが目立ったようだ。「まだ開発の余地があるということです」と坂本さん。タイヤの開発にはこうしたプロセスが生かされている。一筋縄にはいかないのだ。
開発スタッフとチームとの一体感が不可能を可能にする
鈴木真理選手(左)、鈴木譲選手(右)は耐パンク性を高めたモデル「D」の硬さについてコメント。選手たちのコメントをもとに製品化に向けて開発を進める
パナレーサーは宇都宮ブリッツェンの設立時からタイヤをサポートしている。これまでも多くのタイヤ開発をともにしてきた。「去年のツール・ド・熊野でトラブルあったとき、現場に足を運んで対応してくれたのが坂本さんでした。その後は何種類ものプロトタイプが用意されて、対応するのが大変なくらい(笑)」とメカニックの針谷隆之さん。以来、より密な関係になった。こうした連携により生まれたタイヤを使い、勝利を生む。「チームエディションゼロ」がレースで活躍する日が楽しみだ。
3月20日に宇都宮でJプロツアー開幕
宇都宮ブリッツェンに注目
3月20日にはJプロツアーの開幕戦、宇都宮クリテリウムが開催となる。ホストチームである宇都宮ブリッツェンとしては負けられないレースだ。このレースでさっそくこのニュータイヤが実戦投入される可能性も高い
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