GIANT・TCR ADVANCED SERIES【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】

ジャイアント・TCR アドバンスド シリーズ


1 /上1-1/4、下1-1/2インチ径の異径ベアリングを採用し、ヘッドチューブ剛性を高める独自規格「オーバードライブ2」テーパードヘッドチューブは前作も今作も採用 2 /ヘッドチューブまわりの形状を改良することで剛性を高めた2016モデル 3 /左右からベアリングを圧入するシェル幅86㎜の「パワーコア」BBを継続採用

COMPARISON
新旧モデル徹底比較
軽量化よりも重視するライドフィール
ディスクブレーキ専用フレームの誕生

TCRシリーズが誕生したのは1997年。20年以上にわたり世界のレースシーンで戦い続けるピュアレーシングバイク。
現行モデルのベースとなった前作と最新のディスクブレーキモデルを徹底比較する。

現行の最新モデルがフルモデルチェンジを果たしたタイミングは2016モデルであり、それ以前は2012モデルに遡る。当時、チームラボバンクの活躍もあり、オレンジとブルーであしらったチームモデルを記憶している人も多いはず。2012モデルでは、大幅な軽量化を実現。さらに、独自の「オーバードライブ」ヘッドチューブが「オーバードライブ2」へと進化したタイミングも2012モデルからであった。

そして、現行モデルのベースとなる2016モデルでは、さらに13%の軽量化を実現しつつ、フレーム細部のアップデートによって剛性重量比は史上最高レベルに到達。

その後、2017モデルではTCR初となるディスクブレーキ専用フレームが登場。さらに、独自開発のパワーメーター「パワープロ」の標準装備などトータルレースバイクとしての完成度は年々高まってきている。

このほか、2019モデルからは、「ビジュアルテクノロジー」という特別カラーグラフィックを各モデルに展開する。深みのある豊かな色調を表現した複数のカラーラインナップを用意し、いずれも上品で目を引く仕上がりになっている。今回のTCRアドバンスドSL1ディスクにも採用され、ラグジュアリーな世界観を演出している。

SECOND GRADE IMPRESSION
レベルの高いレーシング性能

優れた剛性重量比を実現したアドバンスドグレードフレームと最新のディスクブレーキを融合。
新型TCRにラインナップされるハイコストパフォーマンスモデルをインプレッションする。

IMPRESSION

ライバルと比較の余地を与えない
抜群の守備範囲を約束するレースバイク

ユーザーフレンドリーなディスクブレーキモデル

過去にもアドバンスドカーボングレードのTCRを試乗する機会はあり、今回そのフィーリング自体は確認の意味合いが大きかった。セカンドグレードのアドバンスドグレードカーボンながら、BBまわりの剛性感や安定性を引き出すヘッド剛性はハイレベルだ。

そのうえで、このモデルの魅力はコンプリートバイクとしての非の打ち所がない贅沢なスペックと言えるだろう。ディスクブレーキモデルは、ビギナーが初めて選ぶロードバイクとして魅力的である一方で、リムブレーキに対してやや値が張ることも事実。その点で、42㎜ハイトのチューブレスカーボンホイールに、アルテグラコンポでアッセンブルするアドバンスドプロ1ディスクは、同グレードの他のディスクブレーキモデルが選択肢に入らないほど圧倒的なプライスを実現している。

その走りには巡航性能や伸びのよさを感じられ、ロードレーサーならではの高速走行にも対応。ヒルクライムシーンでの踏み抜きやすい機敏な運動性能こそ上位モデルに譲るが、価格差をみれば納得でもある。パーツのグレードアップやポジションの調整幅に自由度があり、ユーザーフレンドリーである点も見逃せない。

 

INFO
ジャイアント・TCR アドバンスドプロ1 ディスク

■完成車価格:41万円(税抜)
■フレーム:アドバンスド カーボン
■フォーク:アドバンスド カーボン
■メインコンポーネント:シマノ・アルテグラ
■ホイール:ジャイアント・SLR1 42ディスクカーボン
■タイヤ:ジャイアント・ガヴィア AC1 TLR(25C)
■カラー:マットアイスシルバー
■サイズ:425(XS)、445(S)、470(M)、500(ML)
■重量:7.8㎏(サイズM・ペダルなし)

 

1 /メガドライブテクノロジーは、ねじれ剛性を高める独自のダウンチューブ形状 2/シート調整幅の広いノーマルタイプのバリアントシートポストはISP同様、空力性能に優れる 3 /ハイパフォーマンスグレードのアドバンスドカーボンを採用し、重量剛性比と乗り心地をバランス

CONCLUSION
結論
ベンチマークであり続ける
色あせないピュアレーサーの系譜

常に進化を求められる市場競争の激しい世界において20年以上にわたり生き抜いてきた
真のレースバイクとしての絶対的存在感。TCRアドバンスドの最新モデルの実力を総括する。

TCRはやはりTCRだった。2009モデルでディファイ、2014モデルでプロペルがそれぞれ誕生し、ロードラインナップを充実させてきたジャイアント。そのなかにあって、TCRは極めて高い剛性重量比から生まれるリニアな運動性能を特長としている。一瞬のアタックに反応できるパワー伝達性の高さ、高速コーナーでビシッと決まるステアリング性能。あらゆるシーンでもレースで求められるハイレベルな性能を実感できるモデルだ。さらに、最新モデルでは登坂性能がより強化されている。険しい山岳コースにも対応できるクライミングバイクとしての顔も持っている。

誕生から22年もの歳月、レースシーンで磨かれてきたTCRという原石は、つねに高い剛性を獲得しながらも、プロダクトマネージャーがフルモデルチェンジ時の発表で繰り返し強調していたバランスのよさを実現できている。そのため、BBまわりはピュアレーサーにふさわしい硬さなのだが、入力から加速までじつにスムーズなライドフィールを感じられるモデルだ。TCRは、ホンモノのレースバイクとしてその存在感が薄れることはない。

ついつい「熟成を重ねた」という言葉を使いたくなるが、TCRに関しては熟成を超越し、まるでジャイアントのレースバイクのR&Dに刻まれたDNAのような存在である。

ここ数年では、トータルバイクとしての自社ホイールの開発、パワーメーターの標準装備などジャイアントならではの開発力を遺憾なく発揮し、他ブランドの追随を許さないハイコストパフォーマンスモデルをリリースしてきた。

個人的には、ディスクブレーキ専用モデルもラインナップを拡充するいま、よりTCRの軽快な運動性能を引き出す軽量ディスクホイールの開発に期待したいところだ。ジャイアントならそれができてしまう高い開発力を持っているはずだ。

TCR ADVANCED SL DISC RED
100万円(完成車/税別)
無線式コンポーネントとして初の12速化を果たしたスラムのレッドeTAP AXSを搭載したTCRシリーズ最高峰コンプリートモデル。高級感を演出する虹色に輝くIRISデカールカラーをまとう

TCR ADVANCED SL GVA
31万円(フレームセット/税別)
リオ五輪金メダリストであるグレッグ・ファンアーフェルマート(CCCチーム)が今シーズン乗る特別色のTCRフレームセットを6月より限定発売。バリアント・インテグレーテッドシートポストを採用する

TCR ADVANCED PRO 1
35万円(完成車/税別)
フラッグシップモデルのテクノロジーを踏襲しつつ、メンテナンス性に優れるリムブレーキ仕様の中堅モデル。アルテグラコンポーネントと42mmセミディープホイールをアッセンブルして7.1kgの軽さも実現

IMPRESSION RIDER
ハシケン
ロードバイクをメインにするサイクルジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライム一般クラス優勝、UCIグランフォンド世界大会に出場経験あり。身長171㎝、体重62㎏。『ヒルクライム完全攻略』(エイMOOK)著編。

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TEXT:ハシケン PHOTO:小野口健太
問:ジャイアント www.giant.co.jp

(出典:『BiCYCLE CLUB 2019年7月号』 ハシケンのロードバイクエクスプローラー)

「ロードバイクエクスプローラー」の記事はコチラから。

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