鎮魂と復興、8年目の東北を走る! 「ツール・ド・東北」レポート

ずっと気になってはいたが、なかなか参加する機会のなかったツール・ド・東北。今、被災地はどうなっていて、そこでのイベントはどのようなものなのか。さまざまな思いを胸に、『BiCYCLE CLUB』編集長の岩田が100kmコースを駆け抜けた。

「うちの孫2人もここで流された」

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「このあたりは全部、家があったんだ。それが全部流されてしまった」

旧大川小学校。東日本大震災で多くの命が失われたこの建物は、震災遺構として保存されている。コースの途中にあったこの場所を見下ろす橋のたもとで写真を撮っていた俺に、ボランティアでコース誘導をしていた地元のおじいさんが話しかけてきた。

言われなければ、ただの原っぱに見えますよね。ここに町があったなんて信じられませんね。そう言う俺に、にこやかに笑いながらあれこれ教えてくれるおじいさん。もう被災地に、それほど悲壮感はないんだな。でもやはり被害にあった人と、そうでない人は違うんだろう。そんなことを考えていたら、最後におじいさんは言った。

「うちの孫2人もここで流された」

思わずおじいさんの顔を見返してしまった。ツール・ド・東北はずっと気になっていたが、なかなか走る機会に恵まれなかった。というか、行く気になれなかった。震災や復興という問題から逃げていたと言ってもいい。今さら被災地を見て、どんな感想を抱けというのだ。

さまざまな意味で日本一のロングライドイベント

今回は石巻から100kmを走る北上フォンドというコースに参加した。驚いたのはボランティアの多さや、大会のコンテンツの豊富さ、ゲストの多彩さ、そして全体の完成度の高さだ。さまざまな意味で日本一のロングライドイベントだろう。

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(上写真)大漁旗がたなびく応援にびっくり

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(上写真)カレーを作るおばちゃんたち。みんな楽しそうだ。とにかくエイドのフードがすごかった

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(上写真)ゴールのアトラクションで踊ったかわいいチアガールたちが、参加者とハイタッチ

復興を見続ける。「こんな道、去年はなかった」

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上り坂の途中で写真を撮っている参加者がいた。「ここは撮影スポットですか?」と話しかけると、「去年もここから写真を撮ったんですけど、こんなに建物はなかったなあって。どんどん風景が変わっていきますね」

こんな道、去年はなかった。このあたりもキレイになった。そんな声を、走りながら何人もの人に聞いた。変わりゆく景色とともに、復興を見つめ続ける。そんな意義がこのイベントにはある。堅苦しく考える必要はないのかもしれない。来年からでも遅くはない。今の被災地を見て、このイベントを走って何を感じるか、それを確かめに来てほしい。俺もまた来年、あのおじいさんに会いにいこう。

【DATA】
ツール・ド・東北 2018
開催日:9月15日(土)~16日(日)
開催地:宮城県仙台市・石巻市・気仙沼市・東松島市・多賀城市・塩竈市・女川町・南三陸町 
主催者:株式会社河北新報社、ヤフー株式会社

(出典:『BiCYCLE CLUB 2018年12月号 No.404』
(エイサイト編集部/千葉泰江)

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