入部正太朗が念願の全日本チャンピオンを獲得
FUNQ
- 2019年06月30日
6月30日(日)、最終日を迎えた「第88回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース」。最後のレースとなった男子エリートは、入部正太朗(シマノレーシング)が新城幸也(BAHRAIN MERIDA)とのスプリントを制して念願の全日本タイトルを獲得。2位には新城幸也、3位には最後の3周を入部、新城と共に逃げた横塚浩平(Team UKYO)が入った。
念願の日本チャンピオン「どうしても勝ちたかった」
大会最終日となったこの日、富士スピードウェイの麓にある御殿場市では早朝から濃い霧が立ち込め、木々を大きく揺らす強風が吹く荒れ模様。前日と同様に悪天候によるレース短縮も危ぶまれたが、会場の富士スピードウェイには霧もなく、いたって平穏な中でレース時間を迎えた。
定刻の9時にスタートした男子エリートは、1周10kmのコースを21周回する合計210kmのレース。ローリングスタートに続いてリアルスタートが切られると、いきなり先頭に躍り出た別府史之(Trek-Segafredo)が力強く集団を牽引し始める。今回の大会ではUCIワールドチームに所属する新城と別府が久々に揃って参戦。また、普段は海外チームで活動している選手達も揃い、個々の強豪選手とチーム戦を仕掛けたい国内チームとの戦いになることが予想されていた。別府のこの動きにレースは序盤から厳しい展開になり、集団後方では周回を重ねるごとに一人また一人と選手が脱落していく。一方、集団前方も活性化し、4周目には前年優勝者の山本元喜(KINAN Cycling Team)や小石祐馬(Team UKYO)らの有力選手を含む9名の集団が逃げ始める。
この逃げでメイン集団も落ち着くかと思われたが、集団前方での動きは止まらない。6周目の追走の動きによって7周目には再び集団は一つにまとまった。この激しい動きによって集団はさらに人数を減らし、出走人数のほぼ1/3となる54名にまで減っていた。
続く8周目に入ると、徳田優(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が単独で先行。集団はこの動きを容認して横に広がり始める。徳田とメイン集団との差は最大3分まで広がり、レースは淡々と周回を重ねて行った。
再びレースが動き始めたのは14周回目。ここまで約80kmを一人で走り続けた徳田と集団との差が1分を切ると、メイン集団から飛び出しを図る選手が現れ始める。ペースの上がったメイン集団に徳田が捕まった15周目から18周目にかけてはアタックの応酬とハイペースな周回が続き、集団の大きさはみるみる小さくなっていく。
決定的な動きが出たのはレースも残り3周となる19周目。コース図の右上に位置するショートサーキットからの登坂区間で新城が強烈なアタックをかけると、これに追随できたのは入部と横塚の2人のみ。ここまで190kmを走ってきた他の選手達には追走の余力も残っておらず、序盤から積極的な走りを見せていた別府も厳しい表情で追走集団から遅れていく。3名の逃げ集団は20周目に入るまでの5kmで後続集団に1分以上の差を付け、2周を残して勝負はこの3名に絞られた。
最終周回に入ると新城が登りでペースアップ。この動きで横塚が遅れる。新城と入部の2名のままで最終コーナーに続く最後の登りに入ると、再び新城が力強い踏み込みを見せる。しかし入部を突き放すことが出来ず、新城を先頭に2名がストレートに現れた。新城が先行してスプリントが始まると、背後から飛び出した入部が数mの差を付けてフィニッシュラインに飛び込んだ。
レース後に「どうしても勝ちたかった」と語った入部。念願の全日本タイトルの獲得について関係者やレース中盤まで守ってくれたチームメイトへの感謝の言葉に加え、先日亡くなった父親についても触れた。両手で天を指差すガッツポーズは先日亡くなった父親に向けてのものだったかもしれない。
<男子エリート リザルト>
1位 入部 正太朗(奈良)シマノレーシング 6:12’27
2位 新城 幸也 (JPCA) BAHRAIN MERIDA +00’00
3位 横塚 浩平(東京)Team UKYO +00’08
4位 湊 諒(青森)シマノレーシング +01’41
5位 伊藤 雅和 (鹿児島)NIPPO VINI FANTINI FAIZANE +01’49
6位 草場 啓吾 (京都)愛三工業レーシングチーム +01’49
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