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「自転車でカッコよく健康に」いばらき自転車活用シンポジウム

最近流行のスポーツ自転車だが、どうやって利用すれば健康増進に効果的なのだろうか。無理なく日々の生活にスポーツ自転車を取り入れるにはどうすればいいか。そんな「自転車のある健康生活」を考えるためのシンポジウムが、自転車を活用した県民の健康増進を進める茨城県主催により、筑波大学で行われた。その模様をレポートしよう。

開催日●2019年7月6日(土)13:00~15:30
開催地●茨城県つくば市・筑波大学5C棟
主催●茨城県 政策企画部 地域振興課 交流プロジェクト推進室
共催●筑波大学芸術系 渡和由准教授研究室/原忠信准教授研究室

いばらき自転車活用シンポジウム

シンポジウムには自転車活用による健康増進の可能性を学ぼうと、多くの参加者が県内外から集まった。

開会のあいさつは、茨城県政策企画部地域振興課 の松田慧吾課長。茨城県を中心に進めているつくば霞ヶ浦りんりんロードの利用動向や、土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」にできた「りんりんスクエア土浦」の取り組みなどを説明。

シンポジウム前半の最初はトークセッション。進行役はフリーアナウンサー 木村さおりさんが務めた。先日自転車による「ポタリング」デビューしようとしたが、天候不良で挫折したという経験あり。いまはそのリベンジのため、自転車のことに興味津々だという。

ゲストはモデルの日向涼子さん。雑誌やCMで活躍するファッションモデルでありながら、ロードバイクにはまってしまい、いまや坂を駆け上がる「ヒルクライムレース」での優勝経験もある「本気の」サイクリストに。国内のみならず、海外のレースにまで出場するほどの入れ込みようだ。

トークセッションのテーマは「スポーツ自転車との出合いと現在までの取り組み」。日向さんがどんなきっかけで自転車に乗り始め、その後取り組んできたかを、木村さんがテンポよく聞き出していく。
日向さんは、ひさしぶりに会ったヘアメイクさんが自転車に乗ってやせたという話を聞いて自転車に興味をもったという。

 

木村「女性は自転車で道路を走るのが怖い人も多いと思います」

日向「私も東京に住んでいたときは、ロードバイクで道路を走るのが怖かったんです。でもそのころから、りんりんロードに練習に来ていました。茨城はすごく走りやすい道路がいっぱいありますね。それをぜひ活用してほしいと思います」

木村「自転車に乗るようになって、変わったことはありますか?」

日向「意外かもしれませんが、精神面の変化が大きかったですね。以前は仕事でオーディションに落ちると悩みすぎて悪循環になることもあったのですが、自転車に乗るようになってから、走ると何かスイッチが入ったようになって(笑)、小さなことでクヨクヨしなくなりました。健康面もそうですが、メンタル面でも自転車にあえてよかったと思います。以前は10万円の自転車を高いと思っていました。でも将来的な医療費や、エステ代だと思えば安いものですよ! まずはレンタサイクルからでも大丈夫。仲間を増やして、楽しんでください」

続いては事例発表。自転車と健康増進をテーマに、2人の登壇者を迎えた。

まずは株式会社フジクラ CHO補佐の浅野健一郎さん。テーマは「始めよう! 健康経営と自転車通勤」。

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行っており、光ファイバーなどのケーブルやワイヤーの製造メーカー、フジクラもそのひとつ。フジクラが選定された2018年は26社が銘柄指定を受けている。

「健康経営というのは、わかりやすく言うと、それまで法律上でされていた働く環境の改善を、企業が経営上でしていくということです。機械の性能を上げるということではなく、人間の働く環境をよくして能率を上げていく。いわば作業能力への投資です」

そのためには行動改善、健康度アップ、活性度アップ、組織の生産性アップ、これらを回しながら計測していくことが大切だという。社内調査では、身体的な活動性低下が、生産性低下に直結することがわかった。同時に自転車通勤により、活性度(やる気)がアップすることもわかったという。

「自転車通勤は継続しやすく効果の高い健康行動です。取り入れることによりメタボ対象者が減り、コレステロール、血圧、肝機能値、すべてが下がっていきます。こうして社員が健康になり、熱意とやりがいをもって仕事に取り組めば、業績が落ちるわけがありませんよね!」

続いての事例発表は、株式会社シマノ バイシクルコンポーネンツ事業部 企画部 文化推進室 課長の阿部竜士さん。阿部さんは自転車と健康をテーマに、自転車の運動効果のデータ収集やメディア制作などに従事。自転車の新たな価値提案、普及活動などに取り組んでいる。

テーマは「自転車を活用した健康増進」。シマノは自転車関連企業ということもあり、自転車通勤への手厚い待遇で知られる。大阪府堺市にある本社勤務者1299人のうち、435人が自転車通勤をしているという。汗を流すための入浴施設が完備されているほか、ヘルメットを着用する自転車通勤者には、2400円の手当がプラスされるなどの制度もある。

「自転車には3つの健康価値があります。まずは体力増強など身体的な健康、そしてストレス解消など精神的な健康、さらに地域とのつながりなど社会的な健康です。とくに強調したいのは、精神、つまりココロに効くという点。自転車に乗ると安定的に脳のパフォーマンスや認知機能がアップすることが、社内調査でわかりました。みなさんも毎日のコンディショニングを、ぜひ自転車で!」

そして3番目の事例発表に登壇したのは、茨城県政策企画部 地域振興課 交流プロジェクト推進室の広原敏明副参事。テーマは「茨城県での自転車活用推進に向けた取り組み」。茨城県が今年3月に策定した「いばらき自転車活用推進計画」などを説明。

「県では4つの施策目標を定めました。①サイクルツーリズムの推進による地域の活性化。②自転車交通の役割拡大に向けた自転車の通行空間の整備。③自転車事故のない、安全で安心な環境の促進。④自転車を利用した県民の健康促進。この4番目の県民の健康増進が、今日のシンポジウムのメインテーマであり、私どもの施策の大きな柱のひとつです。これらの目標にもとづき、オール県庁で自転車活用の推進を図り,地域の活性化等につなげるとともに,市町村における自転車活用推進計画の支援を行っていきます」

またこの推進計画の一環として位置付けられる、いばらき自転車ネットワーク計画にふれ、広域のサイクリングモデルルートを説明した。

■奥久慈里山ヒルクライムルート
■つくば霞ケ浦りんりんルート
■大洗・ひたち海浜シーサイドルート
■鬼怒・小貝リバーサイドルート

この4つを中心に、さらに各ルートから枝わかれする支線ルートを拡大していく予定だという。

茨城県地域振興課「いばらき自転車活用推進計画」:http://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/chikei/keikaku/cycling/jitensyakatuyou.html

休憩をはさんで、次はパネルディスカッションが行われた。テーマは「健康増進に向けた自転車活用」。

パネリストとして、トークショーに出演した日向涼子さん、講演を行った阿部竜士さんが登壇。そしてここから新たに茨城県政策企画部地域振興課交流プロジェクト推進室の中村浩室長、筑波大学芸術系准教授の原忠信さんが加わり、ライフクリエーションスペースOVEの室谷恵美さんが進行を務めた。

テーマは①「自転車が普段の生活にどう組み込まれているのか」 ②「もっともっと,自転車を生活の中に組み入れていくにはどうしたらいいか」の2点。

筑波大学芸術系准教授の原忠信さんは、ヨーロッパでのユニークな自転車活用の事例をあげ、参加者の興味を誘った。「サイクリング・ウィズアウト:エイジというムーブメントがあって、これは専用自転車の前に老人を乗せて走るというものです。このように社会全体で自転車を活用して楽しみながら意識を高めているのがいいですよね。ヨーロッパでは『自転車が楽しい町は素晴らしい町だ』と言われています」

茨城県政策企画部の中村浩室長は、「県民が、より自転車に乗りやすい環境を作るのが私たちの仕事。そのために邁進していきます。今は県内では土浦市が一歩リードして自転車通勤施策を進めているが、県庁でももっと自転車通勤を奨励していけるようにしたい。それにより、県庁が変わっていくことにもつながるのだと思う」と語る。

シマノの阿部竜士さんは、花王、岡山県真庭市、和歌山県紀の川市といった企業・自治体の自転車活用の事例をあげつつ、「自転車を自分がどう使うのかを考える、どう自分の生活の中に自転車をフィットさせていくか、考えることが必要です」と問題提起。

日向涼子さんは、愛媛県今治市にある温浴施設「喜助の湯」を例に出して自転車の活用促進事例を説明。「ここにはサイクルロッカーがあって、大切な自転車を安心して預けられる。こういやってストレスをなくしていくことで、すごく利用しやすくなりますよね」

最後に参加者からの質疑応答に応え、パネルディスカッションは終了、本日のすべてのプログラムを終えた。日向さんが最後に言った言葉が印象的だった。

「きっかけは何でもいいと思います。みなさん自転車で健康になりましょう。今日のシンポジウムを通じて、自転車に乗りたくなった人がいればうれしいです。みなさん、一歩踏み出してください!」

講演の途中の休憩タイムには、「つくば霞ヶ浦りんりんロード利活用推進協議会」のサイクリスト等誘客促進事業助成金で開発したカステラとまんじゅうが振舞われた。

桜川市特産の国産小麦「ユメシホウ」を使った、「ゆめ紫峰の会」によるカステラ。油分が少なく、糖分を補給できるので、サイクリング中のおやつに最適だ。

同じく「ユメシホウ」を使った小麦まんじゅう。甘さ控えめで、いくつでも食べられる!桜川市のお土産としても最適。カステラとともに雨引観音ほかで販売中。問:桜川市商工観光課 ☎0296-55-1159

ソーシャル×散走プランづくりワークショップin筑波大学

全体のシンポジウムに先立って、自転車の活用に向けたノウハウや新たな気づきなどを得ることができる機会を提供することを目的に、ワークショップを開催。

コーディネーターは自転車パーツ製造メーカー、株式会社シマノが運営する「ライフクリエーションスペースOVE(オーブ)」マネージャーの室谷恵美さん。

今回は自転車で散歩するように地域散策を楽しむ走り方、「散走」のモデルコース作りを、参加者全員で体験した。室谷さんによれば、散走とは「α+自転車」で楽しむ走り方のこと。αとは、楽しいこと、おいしいこと、健康なこと、気持ちいいことなどを指す。キーワードとしては、文化芸術、歴史、地域、食、自然などがあげられる。これらの「地域資源」を自転車でめぐりながら、地域への理解を深めていくのが、散走のねらいだという。

散走リンクhttps://www.ove-web.com/sanso/

参加者は自分の住むエリア別に、つくば、水戸、石岡、鉾田の4グループに分かれ、それぞれの地域を散走するプランを考えた。

まず各々が茨城県内で思い浮かぶ景色や資源などを考える。そしてグループでそれを出し合い、散走のテーマを考える。いくつも出たプランをひとつに絞り、それを実際に走ることを前提にタイムスケジュールまで考える。そして具体的に完成させて発表する、というのが一連の流れだ。

ポストイットに「各自が考える地域の観光資源」を次々に書き出し、それを整理・系統分けして、おおまかな方向性を決めていく参加者たち。さまざまな意見が飛び出し、その地域に住んでいても知らなったことなど、新しい発見も多い。ワイワイガヤガヤと楽しい時間だ。

最終的にプランができたらそれを大きな紙に書き出し、発表する。鉾田市エリアを担当したグループは、日本一のメロン産地である鉾田市の魅力を知ってもらおうと、「ほこた ほっこりメロメロ散走」を提案。

筑波大学の学生を中心にしたグループは、ラーメンの食べ比べ散走を提案。なんでも筑波大学周辺には、とてもおいしいラーメン屋さんが多いのだという。それをもっと知ってほしい!と熱烈アピール。

ワークショップを終えたみなさん。散走に対する理解と、コースづくりのコツがわかってきたと、参加者は満足そうだった。このノウハウを、今後各地域で生かしていってほしい。

 

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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