【ニュース】シンガポールで車間距離を20mに! 感染拡大を受け罰則も
山口
- 2020年04月11日
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4月11日、シンガポール政府がシンガポール自転車連盟(SCF)を通じて、サイクリストに対して「複数人によるライドを防ぐために、車間距離を20m空けるように」と通知した。この違反者は罰則の対象となる厳しいものだ。その背景には急速に感染拡大する新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)への対策を急がないといけない事情がある。
反対意見もあるが、感染拡大への危機感が上回る
現地でもこの法律に対して意見が分かれている。大気で拡散するので実際にはリスクはないという意見や、とくに信号待ちでも20m間隔を開けなければいけないことに対し、否定的な意見もある。
ただ、これ以上感染拡大させてはいけないという国民の危機感。さらに規制を厳格化されることで、自転車で表を走れなくなることを危惧する声も多く、なかでも指導的な立場に置かれている自転車連盟の関係者は受け入れざるを得ない状況だ。さらに自転車利用者以外の一般市民から、自転車利用者に対する視線もある。
地元のチームalliedworld_treknology3も「我々は表を走れるだけラッキーと思う」とインスタグラムで発信している。
こうした厳しい政策の背景にはシンガポールで新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の急速な感染拡大があり、4月9日に発表した1日の新規感染者は287人となっている(4月10日は198人)。4月8日よりサーキットブレーカーと呼ばれる政策を施行しており、初日には決められたソーシャルディスタンスについての距離違反で7000人に勧告を与えている。
シンガポールの感染規模は東京に似た状況
いまシンガポールが迎えている感染拡大は、東京に似ているといえる。シンガポールの面積は720平方キロメートル、これは東京23区とほぼ同じ面積だ。人口は東京のほうが多いため一概にはいえないが、4月10日の感染者の増加を比較すると近い規模にあることがわかる。
(単位 人) | 人口 | 1日の感染者 | 感染者数(累計) | 退院者 | 死者数 |
シンガポール | 約564万 | 198 | 2108 | 492 | 7 |
東京都 | 約1395万 | 189 | 1705 | 52 | 40 |
データ出典 4月10日時点のものです。
シンガポール保健相
https://www.moh.gov.sg/
東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
3月26日時点では10人までグループライドが認められていたが、事態は急変
じつは3月26日時点で、シンガポール自転車連盟は「グループサイクリング活動を中止または延期することをお勧めします。ただ、サイクリングするなら、現在の推奨通り 10人以内のグループで行うことをお勧めします。そしてサイクリスト間の接触を最小限に抑えるために安全な距離対策を確認することをお勧めします」という緩い勧告をしていた。
そして、いままでお伝えしてきたように4月3日に発表した「サイクリストが注意すべき6つのすべきこと」では、「トレーニングパートナーを固定し、距離を取りましょう」としていたが、4月5日には「同居家族のみ」へと限定し、制限をつけていた。
それだけシンガポールの状況が刻一刻と変化しており、変えていかないといけない事態になっていることがわかる。
信号待ちでも間隔を20mという厳しいルール
シンガポール自転車連盟(SCF)のフェイスブックページより
https://www.facebook.com/singaporecyclingfederation/
ここで紹介するのはここではシンガポール自転車連盟(SCF)のフェイスブックページに掲載されたものを翻訳したものです。原文を最後に掲載する。
SCFは、シンガポールスポーツ評議会およびその他の政府機関からフィードバックを受け取りました。政府機関は、次のメッセージをサイクリングコミュニティに緊急に伝えることを要求しています。
最近制定されたCovid-19(暫定措置)(7/4/2020)規制の施行以来、サイクリストはグループで道路を走り、新しい法律を無視しているのが見られます。屋外で行われるすべてのサイクリングは、単独で、または同じ世帯の個人と一緒に行う必要があります。
サイクリストの異なる世帯単位ごとの間には、信号機であっても20mの間隔を空けてください。 (クルマ4台分の長さ
例:世帯単位
A ——- 20m——B——20m——C
この法律の違反は、罰金や懲役の対象となる違反行為です。
この特権を削除するための厳格な法律を施行する政府による議論がすでにあるので、このメッセージをすべての友達と共有してください。
これらの法律に従うだけでなく、この重要なサーキットブレーカーの期間中、法律を尊重するよう仲間のサイクリストにアドバイスするために、私たちのすべての役割を果たしましょう。
シンガポールスポーツ評議会
https://www.sportsingapore.gov.sg/
原文はこちら
SCF has received feedback from SportSG and other Gov Agencies who have requested that we URGENTLY relay the following message to the cycling community.
Since the implementation of recently enacted Covid-19 (Temporary Measures) (Control Order7/4/2020) Regulations, cyclists have still been seen riding on the roads in groups and ignoring the new laws. All cycling if done outdoors must be carried out either alone or with individuals of the same household.
Between different household units of cyclists , please leave 20m of spacing, even at traffic lights. (4 car lengths)
Eg Household units
A ——-20m——B——20m——C
Non compliance of this law is an offence that is punishable by fine and/or imprisonment.
Please share this message with all your friends as there are already discussion by the Gov to implement stricter laws to remove this privilege.
Let’s all do our part not only to follow these laws, but also to advise fellow cyclists to respect the laws during this crucial circuit breaker period.
編集部では“RideSolo”(ライドソロ)をお薦めします
世界中で「ロックアウト(都市封鎖)していない自転車に乗れる国や地域」では、社会的距離をとるために「一人で走る“#RideSolo”(ライドソロ)」が、感染拡大を防ぎつつ健康的に欠かせない運動として自転車に乗る上でキーワードとなる。
もはやいまの日本のように表を走れることは奇跡的な状況といえる。シンガポールでは間隔20mがルール化という厳しい事態にまで追い込まれているが、もちろんこうした強制は望ましい状況ではないし、避けないといけない。
この先、各国、地域ごとの事情。そして刻一刻と変化すると状況は変化する。さらにそれぞれ置かれた立場が異なるのでこの“ライドソロ”がいつまでベターな方法かはわからない。今現在(4月11日)、編集部では感染が広がりつつつある地域でできることは、集団ではなく、一人で安全に自転車に乗ることだと考えている。
ただし、これは自主的なもので、決して他人に強要したり非難するものではない。あくまでも安全で、健康的に自分たちが走り続けられる環境を維持するために、自分たちができる行動をしようというものだ。
最後に、基本は健康で安全であること。住んでいる国や地域の自治体からの要請、指示に従うことが前提であることをあらかじめ付け加えさせていただきたい。編集部でもひきつづき#RideSoloをキーワードにヒントとなる情報をアップデートしていく。
※新型コロナウイルス(COVID-19)に関する最新情報は 厚生労働省 や 首相官邸、お住まいの各自治体など公的機関の情報でお確かめください。
参照
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
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PROFILE
バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。