FACTOR・OSTRO VAM【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2021年03月14日
走れるスポーツバイクジャーナリスト、ハシケンによる100kmインプレッション連載。
気になる最新のトップモデル1台を徹底的に掘り下げて紹介。
今月は、ファクターから新たに登場したオストロヴァムの全貌を明らかにする。
実力派新興ブランドが生み出す超軽量エアロレーサー
2021シーズン、イスラエル・スタートアップネイションに移籍したクリス・フルームは、イギリス生まれのファクターバイクス(以下ファクター)が発表した注目の新型モデル「オストロヴァム」に乗る。ちなみに、フルームの国籍も同じイギリスだ。
2007年に誕生したファクターの歴史はわずか13年だが、2017年からはワールドチームのアージェードゥーゼル・ラモンディアールにバイク供給を開始し、国内ではチームUKYOをサポート、またたく間に高性能レーシングバイクとして存在感を増してきた。
その成功は世界屈指の高い技術力にある。フェラーリ、アストンマーチン、ランボルギーニなど世界の名だたる自動車の電子系統を手掛けるエンジニア集団「bf1システムズ」によって生み出された「001」(2009年に発表した処女作)に始まった自転車プロダクツ。
2009年にはbf1システムズから独立した元トッププロ選手のバーデン・クックとカーボン成形エンジニアのロブ・ギティスの両名によってファクターはスポーツ自転車の世界に本格参入を開始。代表作ワンのツインダウンチューブなど常識にとらわれない独創的かつ先進的なバイクづくりを特徴とする。
その新鋭ブランドが新たに開発したオストロヴァム。地中海のコートダジュールに吹く南風に由来する名前を持つ新型モデルは、エアロダイナミクス性能をまといながらフレーム重量780g(54サイズ・塗装ずみ)を実現。なお、ヴァム(VAM)とは、ファクターが展開するバイクのなかでも特別な軽さを実現した超軽量モデルに冠される。
ファクター渾身の最新作オストロ。今月は、フルーム、ダニエル・マーティンなどの実力者たちによって、ファクターの歴史に新たな1ページを刻むことが期待される注目モデルを、一足先にインプレッションする。
TECHNOLOGY
ファクターらしい独自の空力テクノロジーを採用しつつ、
フレーム重量780gの軽さやパリ〜ルーベなどの走破を想定し、
快適性も追求して開発されたオストロ。
この最新モデルに宿るテクノロジーに迫る。
オストロは、かつてサーヴェロなどでチーフエンジニアを務めてきたグラハム・シュライブを迎え、ゼロから開発された。超軽量モデルO2ヴァムにも採用される、最先端カーボン素材のテキストリームをベースにカーボンレイアップを最適化し、シートチューブにはしなりが特徴のボロン素材を採用する。台湾の製造工場を自社で所有する強みを生かし、徹底したR&Dを繰り返して誕生した。
SHARE