プロのスタートラインに立った若き獅子 西本健三郎【El PROTAGONISTA】
管洋介
- 2021年03月24日
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2 / 3トレーニングの方法も考えるようになると、いても立ってもいられなくなった。「親に頼んでいたら買うのが遅くなってしまう」と、ためていた小遣いで中古の固定ローラーを購入、ママチャリのカゴに縛って持ち帰った。見よう見まねのトレーニングは、1年後のウィンターロードレースで先頭集団を走るまでに彼を成長させた。
部活の枠を越えてしまった自転車競技への情熱。「競技志向の強い高校に入りたい!」との思いで、高校のスポーツ推薦を得るために中学3年で転校を決意した。レース活動はピアチェーレヤマに所属し、Jエリートツアー那須クリテリウムE3クラスでデビュー。
「大集団で走る本格的なレースに鳥肌が立ちました。クリテリウムは先頭集団に残り14位でゴール。翌日のロードレースでは最終周で単独アタックをしていました」
強くなりたい一心で打ち込んだ練習は彼の才能を開花させた。スピードと体力に自信をつけた西本は、2018年、八王子桑志高校へ進学し運命のライバルと出会うこととなる。
最大のライバルは同じ学校にいた
「都会育ちの僕がここまでこられたのは、高校の同学年に留目夕陽、宇田川塁がいたからなんです」
とくに留目は奇遇にも同じ杉並区出身で、家も近かった。「不思議なもので学校の友達としてはとても仲がいいんですが、自転車のこととなるとライバル心が強すぎるのか、いっしょに練習することはほとんどないんです」
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