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ロード選手が投げるボトルは「ゴミ?宝物?」UCIのルール変更について選手たちの声

3月下旬、UCI(国際自転車競技連合)がレース中、選手が水分補給に使う各チームのボトル等をレース中に廃棄するのを禁止することを発表し、当初はこの決定によりレース中に選手たちはボトル等を路上に捨てることが禁止された。

これにより、選手たちは沿道にいるファンにボトルを投げるとことができなくなり、実際にベルギーで開催されたレース、ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・ド・フランドル)では、慣習通り観客にボトル投げた選手が、レースを除外される事態も発生した。しかし、その後、4月中旬にUCIはこの「ボトル廃棄」の規定を変更する。その結果「沿道に人がいるところでのみ、ボトルなどの廃棄を認める」ことになった。
今回のボトル問題に対し、渦中の選手たちはどのように感じているのだろうか。スペイン人の自転車関係者に、思うところをインタビューしてみた。

一時はUCIがレース中のボトル廃棄を禁止

UCIが環境保全のために、自転車レース中のボトルを始めとする様々なものの選手による廃棄を禁止する方針を発表したのは、今年の3月のこと。今後は選手が何か廃棄すると170 ~ 900ユーロの罰金が課されることになった 。
この廃棄物の中には、選手たちが水分補給のために使うボトルの他にも、補給食等を包んでいた紙やサコッシュ、そして選手のキャップやサングラスなども含まれる。
伝統的に自転車ロードレースの世界では、選手が投げ捨てたボトルやキャップなどは沿道で応援するファンが持ち帰る。そのため、多くのプロ選手はボトルなどを捨てる際に、観客の多くいるところに捨てることが多かった。
しかし、こうしたボトルなどの多くはプラスチック製で、捨てられたあと、自然の中に戻るまでに長い時間が必要となる。そのため、UCIは自然環境を守るためという目的で、ボトルなどの廃棄の禁止に踏み切ったのである。同時に、UCIにはボトルを求めて選手に近づくファンの安全を確保する狙いもあった。
そしてこの「ボトル規制」のルールは、かなり厳密な形で、レースの場で運用された。今年のツール・ド・フランドルに出走していたアージェードゥーゼール・シトロエン チームのミヒャエル・シェアー選手が、沿道の観客に自分が使ったボトルを投げたところ、それを見ていた審判がその場でシェアー選手をレースから除外する事態が発生した。

その後ルールが変更。「沿道に人がいるところであれば、ボトル廃棄はOK」

この3月の「ボトル規制」に対し、選手側からの多くの意見が表明された。

例えば、クリストファー・フルーム(イスラエル・スタートアップ、イギリス)は自身のツイッターで、はっきり「馬鹿げている(Ridiculous)」という強い言葉で、UCIの決定を非難した 。
その後、サイクリストやチーム関係者、そしてUCIの3者が協議した結果、この規定は変更され、「人(観客)のいるところであれば、ボトルなどの廃棄も可能」という事になった。
そして、この新たなボトル規定を違反した選手に与えられる制裁も、レースの種類に応じて、以下のとおりに決定された 。

• 1DAYレースの場合

違反初回・・・罰金
2回目・・・UCIポイントの減点とレース除外

• ステージレースの場合

違反初回・・・罰金とUCIポイントの減点
2回目・・・1分間のタイム・ペナルティ
3回目・・・レース除外

現役選手や元プロの意見は?

写真撮影: 對馬由佳理

この「ボトル規制」の渦中の選手たちはどのように考えているのだろうか。ここでは選手、元選手たちにコメントを聞いてみた。UCIがルールを厳格に適応した3月、その後ルールが緩和された4月にそれぞれ話を紹介する。

アンヘル・マドラソ(ブルゴスBH)「ルールが緩和されてよかった」

昨年のブエルタ・エスパーニャでのマドラソ(写真左)。写真撮影:對馬由佳理

まず、最初のボトル廃棄を完全に禁止するUCIの決定に対し、はっきり「NO」の意思表示をしていたのがアンヘル・マドラソ(ブルゴスBH)である。
「多分ほとんどのプロ選手もそうだと思うけど、僕は今回のUCIの決定は間違っていると思うし、すぐにでもこの規定を変える必要があると思っています。自転車レースのファンって、僕らサイクリストを応援するために、本当に何時間も前から沿道で待ってくれているんです。そんなファンの人達に、各チームがたくさん持っているボトルの一つもプレゼントできないなんて、個人的にはちょっと納得できません。
もちろん、僕も地球環境については理解しています。だから、レース中に補給食を食べたあとの袋などを選手各自が管理することに関しては、環境のことを考えたら当然だと思います。また、もしも選手がボトルを人のいない場所に投げて、その結果として何らかの制裁を受たというのなら、それはそれとして受け入れることができます。
でも、ボトルを沿道でレースを見ているファンのところにも投げることが許されない今回のUCIの決定は、明らかにやりすぎだと思っています」
ルールが厳格に適応された3月にはこのように話していたマドラソ選手。その後UCIが「ボトル規制」に関するルールを緩めたことに関し、再度彼に話を聞いたところ、
「個人的には、ルールが変更されてよかったと思っています。沿道で応援してくださるファンの方が少しでも楽しんでいただける方向にルールが変更されて、僕も嬉しいです。
ただ、沿道に観客がいるところにしかボトルを捨てられないとなると、選手のレース中の動きがかなり変わってきますよね。ボトルを捨てるポイントと給水ポイントを考えながら走る必要が出てきますから。
何も考えないで走っていると、勝負どころの山で空のボトル2本を自転車につけたまま、水も補給できずに上ることにもなりかねません(笑)。そのため事前にチームは、沿道に観客がいる場所をを把握しておく必要があるでしょうね」
何よりも自転車ファンのために、今回の規定が変わったことを喜ぶマドラソ選手のコメントとなった。

ルーベン・フェルナンデス(コフィディス)「環境への配慮という一面は理解できる」

レース前にヘスス・エラダ(写真右)と談笑するルーベン・フェルナンデス(写真中央)。写真撮影: 對馬由佳理

一方、「今回のUCIの決定は、ある一面では理解できることではあるんですよね」と語るのは、ルーベン・フェルナンデス(コフィディス)である。
「地球は一つしかないので、環境問題を考慮しながら自転車レースを開催する必要があることは、僕も理解しています。
ただ、僕自身が自転車レースを始めた子供の頃にプロの選手からボトルやキャップをもらった時って、本当にすごく嬉しかったんですね。もちろん、もらったボトルは大事な「宝物」でしたし。そんな体験を、今の子供達ができなくなるとしたら、それはとても残念なことだと思います。
あと、プロの選手として言うと、ボトルを自由に捨てることができなくなると、レース中の動きがかなり不自由になりますね。水分補給するたびにチームカーに空のボトルを渡しに行くことになるでしょうから」

元選手フラン・ベントソ「1レース1チームで500本ものボトルを回収するのは不可能」

今年からカメラマンが乗るバイクのドライバーとしてレースを追う、フラン・ベントソ。写真撮影: 對馬由佳理

そして、別の視点からこの「ボトル問題」について語ったのは、昨シーズンで17年間のプロ生活を終えた、フラン・ベントソ(スペイン)である。彼は長年のレース経験から、この問題ついて次のように話した。
「夏のレースでは、1回のレースで(1チームあたり)500本以上の給水ボトルが使われるんです。各チームがその500本を全部回収するなんて、まず不可能ですよね。だから観客へボトルを投げることを認めたUCIの決定は、とても現実的な判断だと思います」

自転車ロードレースの「伝統」と「環境問題」のせめぎあい

今回の「ボトル問題」は、観客と選手との垣根が殆どない自転車ロードレースの世界において、「伝統」と「環境問題」が正面からぶつかり合う形となった。

ほとんどの選手たちは、環境に対する配慮としては理解しているものの、当初UCIが決定したボトル廃棄の完全禁止に関しては、やりすぎであると考える選手が多かったのも事実である。
そのため、この規定が変更されたことに関しては歓迎する選手が多い。しかし、実際のレースを考えると、アシスト陣を中心とする選手たちの動きがどうなるのか不安に思っている選手やチームも存在する。
新しい規定に各チームがどのように対応していくのかが、これから注目される。

 

著者紹介

對馬由佳理
スペイン在住。当地で10年以上ファンとして自転車レースを追いかけた後、ジャーナリストへ転向。スペインで開催される男子のレースはもちろん、女子のレースやパラサイクリングも取材経験あり。
Twitter: @TsushimaYukari
Instagram:yukaritsushima1

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BiCYCLE CLUB 編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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