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そのときレースは動いた! JCL増田成幸勝利の瞬間|映像でわかるロードレース

3月末に開幕したジャパンサイクルリーグ(JCL)。「三菱地所JCLロードレースツアー2021」の初戦として行われたカンセキ真岡芳賀ロードレースは、6人の先頭集団から単独アタックを決めた増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が、そのままゴールまで逃げ切って、記念すべきJCL初戦の勝者となった。勝負を決めたアタックはどのような目論見で打たれ、そして成功したのか。レースのキーポイントを深掘りして解説する。

強力な6人の先頭集団

1周7.6kmの周回コースを20周、152kmで行われたカンセキ真岡芳賀ロードレース。レース前半は4周目に決まった3人の逃げがレースをリードしたが、後半になってタイム差を徐々に詰めたメイン集団は、13周目の終わりに一気にペースを上げて逃げの3人を飲み込んだ。そのまま次の先行を争うアタック合戦が集団先頭で繰り広げられた。

15周目に入って形成された6人の新しい逃げ集団は、次のとおりのメンバー。

増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
西村大輝(宇都宮ブリッツェン)
小石祐馬(チーム右京 相模原)
石原悠希(チーム右京 相模原)
鈴木龍(レバンテフジ静岡)
トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)

東京五輪代表が内定している増田はもとより、各チームともこのレースで勝負を争うエース級の選手がそろった。乗り遅れたチームは、この有力な集団を逃すわけにはいかない。先頭の6人はまずは協調してメイン集団を引き離しにかかる。一方メイン集団内では追走の動きと、先頭に選手を送ったチームによる抑えの動きがせめぎ合う。

結局、前後集団のシーソーゲームは、逃げ集団に軍配が上がる。メイン集団に約50秒のリードを持って最終周回に突入。逃げ切りは決定的となり、優勝争いは先頭6人に絞られた。

先頭にトマを送り出したキナンサイクリングチームだが、トマ1人では不利と考え新城雄大らがブリッジをかけ、一時はトマに待たせる判断をした

勝利への方程式

先頭集団でスプリントになった場合、もっとも有利と見られていた鈴木龍

メイン集団の追走を振り切るために、ここまでほぼ協調体制だった先頭の6人。ここからは6人の中でいかに勝利するかを考えることになる。それぞれの勝ちパターンを考えてみよう。

まず6人がそのままゴールに到達してスプリント勝負になった場合、最も有利と思われるのが鈴木だ。大きな集団でのスプリントゴールも取れるスプリント力がある鈴木にとって、このまま集団を崩さずゴールまで行くのが、最も勝利の可能性が高くなる。逆に他の選手にとっては、いかにして鈴木を振り落とすか、あるいはスプリントまでに鈴木の脚を削るかがカギとなる。

クライマーのルバは地力は高いものの、このコースでは決め手が無く、単騎では勝ちきるのは難しい状態だ。勝つとしたら単騎アタックを決めての逃げ切りだが、いちかばちかのリスクを犯さず表彰台(3位以内)を狙った方がいいかも知れない。

チーム右京 相模原の2人は、スプリント力のある石原をどう生かすかがカギだ。けん引力のある小石が最終局面で石原を良いポジションから発射できれば、鈴木を打ち負かすことが可能かも知れない。

宇都宮ブリッツェンの2人は、スプリント力に優る西村をゴール勝負に残しつつ、逃げ切り勝ちの力もある増田が、いかに他の選手を苦しめて力を削ぐかがポイントだ。鈴木らライバルを消耗させれば、西村がスプリントで勝てる可能性が高まる。

完璧なアタックでワン・ツーを演出

攻撃の口火を切ったのは増田だった。ライバルのペースをただ乱すだけでなく、自身の勝利も意識したタイミングは残り5km。スピードを維持したまま、ゴールまで単独で走りきれる距離を測って飛び出した。

このアタックが絶妙だったのは、鈴木が集団先頭に出て脚を緩めるタイミングで加速したこと。この瞬間鈴木は集団内でほんのわずかに失速状態にあり、さらに視界の外から加速した増田に対して、鈴木は二重の意味で反応が遅れてしまう。仮に増田のアタックが捕らえられたとしても、追いかける際により多くのダメージを鈴木に与えられる計算だ。増田が鈴木の後ろに位置取りしていたのも、この動きを狙ってのものだ。

増田が仕掛けた決定的な瞬間 JCL Facebookより

鈴木龍が先頭交代を促すようにヒジを出したとき、すでに後方から増田は加速していた

じつは増田自身は「一発で決まるとは思わなかった」という。しかし結果としてこのアタックが、勝負を決めることになった。後続は鈴木、ルバ、小石が先頭交代しながら追走し、増田のチームメイトの西村、スプリントに向け温存された石原は前を引かない。

3対1、とはいえ、追いついてからの展開も考える必要がある後続と、ただひたすら全力でゴールを目指す増田では、増田の勢いが優った。逃げる6人とメイン集団の攻防が長く続き、各選手の余力が大きくは残っていなかったことも、地力のある増田には有利に働いた。

増田はそのまま独走で優勝。一方でスプリントに備えた西村が、後続集団の先頭を取って、宇都宮ブリッツェンがワン・ツーフィニッシュを達成した。増田のアタックが鈴木らライバルの力を削ぎ、後続のゴール争いにも勝利したのだ。二重の意味で「成功した」見事なアタックだったといえるだろう。

後続集団で追いかける必要がなく、2位集団のトップでフィニッシュした西村

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JCLロードレースツアー2021公式ホームページ
https://www.jcleague.jp/

JCLロードレースツアー2021公式YouTubeチャンネル
https://youtu.be/tQKtKWoVfBI

 

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PROFILE

米山一輝

米山一輝

1973年生まれ。国内トップカテゴリーで15年ほどロードレースに出続け、チームの運営にも携わる。ここ10年ほどは自転車関連メディアの執筆や運営を仕事にしている。

米山一輝の記事一覧

1973年生まれ。国内トップカテゴリーで15年ほどロードレースに出続け、チームの運営にも携わる。ここ10年ほどは自転車関連メディアの執筆や運営を仕事にしている。

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