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ブエルタ・ア・エスパーニャ開幕、短距離個人TTはログリッチが五輪王者の貫録見せる

シーズン最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが現地814日に開幕。スペインを一周する3週間の戦いがスタートを切った。大会初日は7.1kmの個人タイムトライアルを実施し、個人総合3連覇を狙うプリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)がステージ優勝。東京五輪・個人TTで金メダルを獲得した力をここでも発揮。日本勢唯一の参戦となる新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は151位で走り終えている。

ログリッチは昨年に続く第1ステージ制覇、マイヨロホを守り抜く姿勢

今年のブエルタは、スペイン北部の街・ブルゴスが開幕地。3週間をかけておおよそスペイン本土を1周する。大会前半へ南部へと向かい、その後少しずつ北上。最後は北西部・ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラへとフィニッシュする。今回はキリスト教色強い大会となっていて、第1ステージは建立から800年を迎えるブルゴス大聖堂が発着点に。また、サンティアゴ・デ・コンポステーラはカトリック巡礼道の終着地。途中ではブエルタ特有の急峻な山岳にも多数待ち受けている。全21ステージで、総距離は3417kmとなる。

1ステージのコースは、序盤2.5kmが上り。頂上には今大会最初のカテゴリー山岳となる3級のポイントが置かれ、この区間を一番速く上った選手に山岳賞ジャージが渡る。その後1.5kmほど下って、そこからはフィニッシュまで平坦基調。下り区間からブルゴス旧市街を抜ける終盤にかけて、テクニカルなコーナーがいくつかあり、選手たちのハンドルさばきも見ものだ。

この日は早めのスタートを選択する総合系ライダーが出て、アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)が852秒、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)が911秒で走り切る。そんな中、ディラン・ファンバール(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)の843秒がターゲットタイムになった。

©︎ Luis Angel Gomez / Photogomezsport

ファンバールのタイムを更新したのが、アレクサンデル・アランブル(アスタナ・プレミアテック、スペイン)。まず3級山岳の上りをまずまずのタイムでクリアすると、中盤から後半にかけて一気にペースアップ。838秒で走り抜いて、ホットシートに就いた。

©︎ Luis Angel Gomez / Photogomezsport

それからはアランブルを脅かす選手が表れず。セップ・クス(チーム ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)が3級の上りで一番時計を記録し、その後の区間でも勢いづくかに思われたが、フィニッシュではアランブルから9秒遅れ。ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)が2秒差、ヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク・クイックステップ、チェコ)が4秒差でわずかにトップには届かず。

アランブルがトップのまま、最終走者ログリッチが登場。歓声を受けて飛び出すと、序盤の上りこそ抑え気味だったが、下りから一気の攻め。ギリギリのライン取りで下り区間を終えると、その後の平坦区間もしっかり踏み続け、終わってみれば6秒更新してトップへ。これでログリッチのステージ優勝が決定。アランブルは最後の1人まで待ち続けたが、土壇場でホットシートを譲る結果になった。

これにより、ログリッチが個人総合首位となって、マイヨロホに袖を通した。昨年も第1ステージから勝利を挙げたが、その再現となる快勝。先の東京五輪では個人タイムトライアルで金メダルを獲得したが、このステージでは記念としてゴールドのバイクとヘルメットで出走。五輪王者にふさわしい強さを披露して、個人総合3連覇へ幸先の良いスタートを切った。

©︎ Luis Angel Gomez / Photogomezsport

総合系ライダーでは、アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)が14秒差の10位、ロマン・バルデ(チームDSM、フランス)が17秒差の14位。ログリッチの最大のライバルと目されるエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)は27秒差の46位。ここから巻き返していけるか。

また、3級山岳ポイントまでの最速はクスとなり、第2ステージは山岳賞ジャージを着用することが決まった。

なお、新城はログリッチからちょうど1分差の151位で完了。スペインでの長い戦いに向け、まずは一歩前進した。

翌15日は、カレルエガ.サント・ドミンゴ・デ・グスマン修道院からブルゴス市内のガモナルまでの166.7km。カテゴリー山岳がなく、終始平坦基調。スプリンターが主役と見られるが、風が強い地域とあってセオリー通りにレースが進まないことも想定される。

ステージ優勝、マイヨロホ、プントス プリモシュ・ログリッチ コメント

©︎ Luis Angel Gomez / Photogomezsport

「これはクレイジーだ。今日の結果には満足している。7kmを走っている間は常に苦しかった。すべてを出し切って、フィニッシュラインを通過してからは何も残っていなかった。何がきっかけで勝利できたかも分かっていない。それでも、上りでペースを上げて、コーナーを攻めたつもりだ。

マイヨロホについてはどれくらいの期間保持できるか見極めていきたい。昨年と同様に美しいスタートが切れたと思っている。この状況を楽しんでいるし、うまくいけば今後数日の間にチームメートとブエルタをリードできるかもしれない。ただ、私はそれがどれほど難しいことかを理解しているつもりだ」

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第1ステージ 結果

ステージ結果

1 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)0:08’32”
2 アレクサンデル・アランブル(アスタナ・プレミアテック、スペイン)+0’06”
3 ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)+0’08”
4 トム・スクーリー(EFエデュケーション・NIPPO、ニュージーランド)+0’10”
5 ヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク・クイックステップ、チェコ)ST
6 ディラン・ファンバーレ(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)+0’11”
7 アンドレア・バジオーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イタリア)+0’12”
8 ローソン・クラドック(EFエデュケーション・NIPPO、アメリカ)+0’13”
9 マイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ、オーストラリア)+0’14”
10 アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)ST
151 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+1’00”

個人総合(マイヨロホ)

1 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)0:08’32”
2 アレクサンデル・アランブル(アスタナ・プレミアテック、スペイン)+0’06”
3 ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)+0’08”
4 トム・スクーリー(EFエデュケーション・NIPPO、ニュージーランド)+0’10”
5 ヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク・クイックステップ、チェコ)ST
6 ディラン・ファンバーレ(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)+0’11”
7 アンドレア・バジオーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イタリア)+0’12”
8 ローソン・クラドック(EFエデュケーション・NIPPO、アメリカ)+0’13”
9 マイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ、オーストラリア)+0’14”
10 アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)ST
151 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+1’00”

ポイント賞(プントス)

プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)

山岳賞(モンターニャ)

セップ・クス(チーム ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)

新人賞(マイヨブランコ)

アンドレア・バジオーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イタリア)

チーム総合成績

チーム ユンボ・ヴィスマ

 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビューはこちら↓
【保存版】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビュー

【保存版】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビュー

2021年08月13日

 

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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