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国内リーグでも発進! 自転車ロードレースにおける「チームカー」の役割とは?

本格的なロードレースでは、選手の集団の後方を各チームのチームカーが伴走しているということをご存じでしょうか? チームカーにはチームの監督が乗車し、レース内でさまざまな選手サポートを行います。国内ロードレースリーグでも、今年から徐々にチームカーの導入が始まっています。今回はチームカーがレース内で果たす役割について紹介します。

レース中の選手をさまざまにサポート

チームカーは一般にステーションワゴンの自動車が使われ、ルーフキャリアには予備のバイクを満載に、車内にも各種機材を大量に載せて走ります。監督が運転してメカニックが後部座席に同乗するパターンが多いです。

レース中のチームカーの主な役割としては3つ。機材トラブルの対応、飲食料の補給、作戦の指示、といったものがあります。

チームカーは2人乗車体制の場合が多い。写真のチームカーは、すぐに取り出せるよう後席のメカニックの横にスペアホイールが積まれている

(1)機材トラブルの対応

選手の自転車にトラブルが発生した場合、チームカーに積載した予備の機材に交換するサポートを行います。チームカーには予備ホイールと、予備の自転車が大量に積載されています。

チームカーが随行しないレースでは、ニュートラルサポートと呼ばれる共通機材車から機材サポートを受ける仕組みになっていますが、残念ながら共通機材車のみの場合「必要な時に機材サポートがすぐには来ない」「交換ホイールの種類が合わない場合がある」「交換機材の性能が良いとは限らない」「自転車本体が壊れた場合の予備バイクは一時しのぎにしかならない(チームピットで再度の交換が前提)」といったデメリットが多く、チームカーが伴走せずに選手に機材トラブルが発生した選手は、大きなタイムロスを強いられ、実質的にそこでレースが終わってしまう場合も少なくありませんでした。

その点チームカーはメイン集団直後(あるいは先頭集団直後)に位置しているので、機材トラブルに比較的素早く対応が可能です。自チームの機材を積んでいるので、予備ホイールの相性や性能の問題もありません。選手ごとのスペアバイクを用意してあれば、不調時にはバイクごと交換も可能です。機材交換の対応は手慣れたメカニックが行うので、作業も迅速です。タイムロスや予備機材のハンデをほぼ負うことなく、レースに復帰することができるのです。

ちなみにチームカーが伴走するレースでもニュートラルサポートは走っており、集団が分かれたりするなどチームカーが対応できない選手には、ニュートラルサポートによる対応が行われます。

逃げ集団が形成された場合は、逃げに選手を送り込んだチームがメイン集団より前に上がり、逃げの選手のサポートをすることができる

(2)飲食料の補給

長距離・長時間に及ぶ自転車ロードレースは、選手がスタート時に持った飲食料のみで完走することはほぼ不可能です。このためレース中には「補給」と呼ばれる、選手への飲食物の受け渡しが幾度も行われます。

コース上には地上からの補給所も設けられますが、周回コースではないラインレースの場合や、周回コースでも1周の距離が長い場合は、補給の機会がとても限られてしまいます。これを解消するために、チームカーが伴走する場合はチームカーからの補給も行います。このためチームカーには、ボトルなどを入れた大きなクーラーボックスも積まれています。

たいていの場合、チームカーから補給のボトルを受け取る選手は数本(場合によっては十本程度)余計にボトルを受け取って、チームの他の選手にもボトルを配ります。チームカーから補給を受けられるのは集団の後ろと決められているので、全員が各自ボトルを受け取りに下がるのは貴重な体力を無駄に消耗するからです。原則としてアシスト選手が下がってボトルを受け取り、集団の好位置で力を溜めるエースの選手や、先頭で集団けん引に加わっているチームメートにボトルを渡します。

チームカーに下がってボトルを受け取った選手が、集団けん引に加わっているチームメートに補給を手渡す

(3)作戦の指示

そして、チームカーに監督が乗る最も大きな理由(仕事)として、作戦の指示があります。チームでの協調や戦略性が重要になるロードレースにおいて、監督からの指示と情報提供は重要な役割を果たします。

チームカーが伴走せずに監督が地上固定になっている場合、選手と監督がコミュニケーションできる機会がとても少なくなってしまいますし、監督自身もレースの状況を掴みづらく、適切な指示を出しにくくなってしまいます。チームカーが伴走していれば、監督は後方から集団の様子を肉眼で確認できますし、ラジオツール(競技無線)で展開の情報を逐一知ることができます。

ラジオツールや選手との無線通信はチームカーに乗っていなくても聞くことはできますが、やはり距離が離れてしまうと途切れてしまいます。監督からの迅速な作戦指示はチームカーの伴走が前提といえるでしょう。ちなみに選手間の無線がない時代は、選手がチームカーまで下がって直接監督と会話をしていました。今でも込み入った内容の相談をする場合は、直接チームカーで会話する姿を見ることができます。これもやはりチームカーで監督が伴走しているからこそできることです。

チームカーがロードレースを高度にする

以上のように、チームカーはロードレースにおける各チームの「移動基地」として、さまざまな役割を果たします。選手のテクニックとして「チームカーをいかに上手く使うか」ということも必要になってきます。

これまで国内のレースでは、UCI公認の国際レースのみチームカーが入り、国内リーグのレースでチームカーが伴走することはほとんどありませんでした。これはロードレースとしては「重要な要素が1つ欠けた状態」だったとも言えるでしょう。チームカーがレースに加わることで、ロードレースとしては完全な状態になり、より高度なチーム戦を展開できるようになるのです。

レースでは選手の集団ばかりでなく、チームカーの動きやチームカーを使う選手の動きも注目してみるのも面白いでしょう。

動画で見るJCL 秋吉カルストロードでのサポートカーの様子

三菱地所JCLロードレースツアー公式チャンネルより

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PROFILE

米山一輝

米山一輝

1973年生まれ。国内トップカテゴリーで15年ほどロードレースに出続け、チームの運営にも携わる。ここ10年ほどは自転車関連メディアの執筆や運営を仕事にしている。

米山一輝の記事一覧

1973年生まれ。国内トップカテゴリーで15年ほどロードレースに出続け、チームの運営にも携わる。ここ10年ほどは自転車関連メディアの執筆や運営を仕事にしている。

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