バイシクルクラブの誌⾯からひも解くキャノンデール
今坂純也
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エポックメイキングなバイク&パーツの開発で知られるキャノンデールが、創業して昨年で50周年を迎えた。そして、その20年後の1991年10⽉にキャノンデール・ジャパンを設⽴。前回の記事ではキャノンデール50周年を過去の写真などをもとに解説したが、今回はバイシクルクラブの誌⾯とともに同ブランドを解説していこう。
▼キャノンデール50年の歴史についての記事はこちら。
バイシクルクラブの表紙を全15回飾るブランド
こちらの表紙写真は、左上から右下に向かって古い誌⾯から配置したもの。キャノンデール・ジャパン設立から約3年後の1994年3⽉号が表紙初登場号で、モデルとなったのは当時ニューバランス・キャノンデールジャパンのメンバーで“MTB界のアイドル”だったウインク・ジミック。以降、ボルボ・キャノンデールの鍋島健⼀、アリソン・サイダー、マイルズ・ロックウェル、そしてスーツ姿のセドリック・グラシアと、バイシクルクラブ⾃体もマウンテンバイク⾊の濃い時代。
さらに、⽇本⼈トップライダーでは⼭本和弘(2度登場)・幸平兄弟が2007、2009、そして2021年に登場する。ロード選⼿では、2009年に⽇本⼈初のツール・ド・フランス完⾛者(同レースでは新城幸也も完⾛)となった別府史之が2度登場している。
1986年3⽉号で“キャノンデール”が初登場!
チェーンリングに代表されるハイエンドな⾃転⾞パーツを製作するSUGINO(株式会社スギノエンジニアリング)。当時、その前⾝であるスギノテクノの創業者かつ社⻑の杉野 安(すぎのやすし)さんがレポートした、アメリカ・ロサンゼルスのロングビーチで⾏われたバイシクル・ディーラー・ショーの記事中にその写真はあった。
この年のショーには、軽量化のためにアルミやカーボンを使ったフレームが多く⾒られ、キャノンデールのお家芸であるアルミのロードフレームを初めて紹介。バッグ製造から始まったキャノンデール社がアルミフレームに着⼿し、「みるみるうちに年産4万台近くまで伸びてきた」という記述が、当時のキャノンデールの勢いを感じさせる。
初めてのバイシクルクラブの広告コピーは
「⽇本の皆様、遅くなってエライすんまへん」
そして英語のキャッチコピーは「IF YOU CANʼT GO FAST ON THESE 1992 BICYCLES.GIVE UP!」。「この1992 年モデルで速く⾛れないならあきらめろ!」というもの。掲載されたモデルは前後にサスペンションをもつマウンテンバイクDELTA V 1000、前後にサスペンションのないリジッドのM2000、ロードモデルのR900だった。設立当時は⼤阪府河内⻑野市にあったキャノンデール・ジャパンの社屋はその後3度場所を変え、現在では吹⽥市に社屋を移転している。
1992年3⽉号の記事では、設立当時からの「社員全員が同社製⾃転⾞に乗って⾛ることで、その良さを⾝をもって感じること」という企業スタイルを知ることができる。これが、現在もまったく変わっていないことはよく知られている事実だ。
マウンテンバイク界で⼀世を⾵靡した
“ミサイル”ミッシー・ジオーヴィー
“強烈なキャラクター”だったミッシー・ジオーヴィーは、同社の広告にも多く登場。しかも、奇抜かつファッショナブルだった彼⼥は、アパレル広告にも起⽤された。
1996年6⽉号では、中央アジアの移動式折り畳み家屋である“ユルト”を模して作られた彼⼥のプライベートスペースでインタビューを敢⾏。⿐ピアス、タトゥー、ネックレスがわりのピラニアの剥製、そして⾃⾝がレズビアンであることなども誌⾯に掲載され、⽇本のマウンテンバイクファンにそれまで以上の強烈なインパクトを与えることになったのだった。
バイクブランドでありながら、
先進のサスペンションを次々と開発
フレームヘッドに可動部をもつ“HEADSHOK”、まるでオートバイのようなルックスの倒⽴式ダブルクラウンフォーク“MOTO”、そして左側にのみサスペンションをもつ“LEFTY”。
これらエピックメイキングな製品群は、強いインパクトとメッセージ性の強い広告ビジュアルとなって登場した。
さらに、⽚持ち式フォーク“LEFTY”は2009年12月号で電⼦制御サスペンションとしてプロトタイプが誌⾯を飾り、90年代後半に登場した他社のK2スマートショックに続く進化型電⼦制御サスペンションとして注⽬を集めた。
お家芸のアルミバイクでグランツール初制覇!
1997年のジロ・ディ・イタリア。Saeco Cannondaleに所属する⾃転⾞競技伝統の地ベルガモ出⾝のヒルクライマー、イヴァン・ゴッティが同社製アルミバイクを駆り、ライバルだったパヴェル・トンコフ、リュック・ルブランを抑えてジロ初勝利。
その後もアルミフレームは進化を遂げ、2011年5⽉号の広告では「驚異のアルミバイクCAAD10」「カーボンバイクを⼀蹴する強さと賢さ」のコピーとともに、イギリスのバイシクルバイヤー誌、フランスのル・サイクルマガジン誌、アメリカのプロトン誌から、「価格が2倍するカーボンバイクを凌ぐ」「どんなカーボンフレームにもひけをとらない」等の、各誌から絶賛を浴びている多くのコメントを掲載した。
また、ゴッティがジロを初制覇した1997年。4⽉号で掲載された⾒開き広告には、ゴッティやフランチェスコ・カーサグランデ、マリオ・チポッリーニらが登場。
イタリアの伊達男たちが一面を飾った広告を見て「ポスターにしたら絶対売れる!」とはバイシクルクラブ編集部内で漏れ聞こえてきた意⾒……。
キャノンデール本社にバイシクルクラブスタッフが訪問
1998年5⽉号ではキャノンデール本社にバイシクルクラブのスタッフが訪問。
創業者で会⻑だったジョー・モンゴメリーは、HEADSHOK発案のきっかけとなった“1本のアームで⾞輪を⽀えている”⾃家⽤ジェット機で登場。
業界屈指のオリジナリティあふれる製品は、「徹底した⾃社開発と⾃社⽣産によってなされた結果」という記述が⾒てとれる。
同号ではravenの広告も登場。こちらは、アルミの⾻格をカーボンシェルで包み込んだフレームをもつマウンテンバイク。カーボン柄をそのまま⽣かし、艶のある漆⿊の⾒た⽬からraven(カラス)と名付けられたのだ。
超軽量のハイブリッドフレーム登場!
2004年6⽉号の広告ではジルベルト・シモーニが登場。
カーボンとアルミによるハイブリッドフレーム“シックスサーティーン”があまりに軽過ぎて、UCIがツール・ド・フランスで使⽤を禁⽌しようとしたほどであったことを、ウィットに富んだビジュアルで表現。
あまりにも軽いため、「トップチューブ上に鉛のオモリを載せていた」という話も聞かれたほどだった。
その後、ハイブリッドフレームは“システムシックス”へと進化。
2006年7⽉号の記事中では、フルカーボンフレームを作らない理由として「アルミで作ったほうが軽くて強いものができるパーツ(ボトムブラケット、チェーンステー、シートステー等)がある」「売らんがためのバイク(フルカーボン)ではなく、最⾼の性能をもつバイクを作ること」を挙げている。
⾃転⾞芸⼈として知られる安⽥⼤サーカスの団⻑は2007年8⽉号で初登場。登場時に彼が乗っていたのも前述のシステムシックスだった。
フレーム重量695g!
量産型フレームで世界最軽量のスーパーシックスエボ登場!
この頃のフレームデザインは「⼤⼝径化するフレームと軽量化のバランスをどうするか?」を考えて進化してきた。
その問いに、キャノンデールが出した答えが「⼤⼝径化せず、シンプルなデザインのまま軽量化を実現。しかも⾼剛性」という、これまでのトレンドに真っ向から⽴ち向かうものだった。
2011年9⽉号では、フレーム重量695g、量産型フレームでは世界最軽量を達成し、しかも重量に対する剛性(重量剛性⽐)も世界⼀を誇るスーパーシックスエボが、2011ツール・ド・フランス機材解説ページの先頭を飾った。
2013年1・2⽉合併号では、このスーパーシックスエボが世界中のレースで勝利を収め、ツール・ド・フランスとツアー・オブ・カリフォルニアでスプリントジャージ獲得、2年連続で“ユーロバイクアワード⾦賞”を受賞したことなどを掲載。
スーパーシックスエボ ハイモッド ディスクが
⽇本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020受賞!
⽇本バイシクル・オブ・ザ・イヤーのノミネートバイクは全10台。
そして2019年1⽉号から12⽉号までのバイシクルクラブに掲載された2020年モデルのロードバイクのなかで、フルモデルチェンジしたモデルとブランニューモデルをリストアップし、全9⼈の審査員がそれぞれのモデルに投票するもの。
審査員にはエディターやジャーナリストのほか、各誌でインプレッションライダーも務めるトップレーサーもおり、各⼈の採点はかなりシビア。
しかし、スーパーシックスエボ ハイモッド ディスクだけがすべての審査員の評点を集めて最⾼点を獲得。これはまさに“万⼈が認めるロードバイク”の証と⾔える。
そして、主要パーツを⾃社ブランドでかため、その⽬指す⽬標に向けてトータルインテグレーションを進めた結果でもあると⾔えるだろう。
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Cannondale(キャノンデール)公式サイト
https://www.cannondale.com
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
-
TEXT:今坂純也/DIRT SKIP PHOTO:⼭中基嘉
取材協⼒:キャノンデール・ジャパン
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