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オンラインサイクリングで世界に挑戦! 徳島県の19歳大学生がドイツプロチームに好アピール

サイクルロードレース界において、バーチャル空間を使ったレースで世界選手権が行われるようになったほか、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大をきっかけにその価値が高まっているeスポーツ。今ではオンラインレース専門のプロチームが生まれたり、ロードレースのトップライダーも参戦してのオンラインレースイベントが開催されたりと活況だが、現在、ドイツに拠点を置くロードレースチーム「SARIS ROUVY SAUERLAND(サリス・ルービー・ザウアーラント)」がバーチャルスポーツアプリ「ROUVY(ルービー)」を使ったセレクションを実施している。その中で、徳島県の大学生が好走を連発し、一躍チーム関係者の注目を集める存在となっている。

その素性は競技歴数カ月の大学1年生

その大学生の名は、吉田晴登(よしだ・はると)。日頃は徳島大学理工学部で学ぶ、大阪府堺市出身の19歳。現在は徳島県の実業団チーム「徳島サイクルレーシング」に所属するが、高校までは市民レースに出場する程度で、実業団クラスのレースに参戦するのは2021年シーズンが初めてだったという。

実質競技歴1年足らずのライダーが、このオンラインセレクションでアジア人ライダーとしては群を抜く走りを見せている。

セレクションは、1月29日を皮切りに全4戦行われている。ドイツの若手有望株が多く所属するサリス・ルービー・ザウアーラントの選手たちも毎レース参戦しており、実際にプロライダーと勝負できる点でも大きな意義を持つ。使われるコースは、過去のブエルタ・ア・エスパーニャから抽出され、世界の名だたるライダーが走ったルートの一部をバーチャルで再現している。

第1戦は全体14位。17〜29歳による年代別では9位と好スタート(赤囲いが吉田選手のリザルト。画像はROUVY公式ウェブサイトより)

吉田選手はブエルタ2021第20ステージが舞台となった第1戦を14位(年代別[17~29歳]9位)で終えると、2月5日に行われた第2戦(ブエルタ2020第6ステージが舞台)を13位(同6位)でフィニッシュ。そのタフさにレースごとにギブアップする参加者も現れる中、吉田選手はオンラインのライバルを相手に臆することなく戦ってみせた。

第2戦は前回より順位を上げて全体13位。年代別では6位と健闘(赤囲いが吉田選手のリザルト。画像はROUVY公式ウェブサイトより)

3戦連続で年代別トップ10入り

2月12日、迎えた第3戦。ブエルタ2021第11ステージの最終42kmを再現したコースで争われた。数日前まで大学のテスト期間だったことから、トレーニングが不足。それを補うために、この日を含めた直近の何日間かはタイトなトレーニングスケジュールを組んでいたという。実際に、第3戦の前には山岳を走ってきたといい、レースのための調整はほとんど行っていない状態だった。

所属する徳島サイクルレーシング・宮本泰典監督が見守るなかレースを進める吉田選手 ©︎ Syunsuke FUKUMITSU

チーム関係者が見守る中でスタートしたレースは、序盤から先頭パックで展開。前の2戦でも上位争いを繰り広げていた選手たちが今回も飛ばす中、懸命に食らいついた。中盤戦を前に起伏に富んだ区間に入ると、先頭パックからはポジションを下げたものの、同程度の実力者と協力しながら進行。前線から脱落する選手を1人、また1人とキャッチしながら、順位を上げていった。

オンラインとはいえ世界中の猛者が参戦。モニター越しにライバルとの戦いに集中する ©︎ Syunsuke FUKUMITSU

周囲の応援を背に見せた懸命の力走の結果、この日は12位で完走。年代別では10位と、3戦連続でトップ10入り。前2戦と比較してコース難易度が高かったこともあり、今回の上位フィニッシュは吉田選手自身も手ごたえをつかんだよう。

レース中は、徳島サイクルレーシング・宮本泰典監督が細かくペース配分や力の出しどころをアドバイス。競技歴が浅いことから、レースに向けた調整方法などを走るたびに身につけていってほしいとの思いが、指示する言葉に込められている。このレース後には、「調整方法が違っていればもっと良い走りができたはず」と指摘。学業との両立が求められる大学生ライダーならではの悩みとはいえ、トレーニング方法をもっと工夫すべきであることを吉田選手に説いていた。

レース後には詳細データがモニタリングされる。その内容はチーム関係者にも共有されている ©︎ Syunsuke FUKUMITSU

チームは日本との縁が豊富

オンラインセレクションを主催するサリス・ルービー・ザウアーラントは、2016年に設立されたUCIコンチネンタルチーム。ドイツ中西部のノルトライン=ヴェストファーレン州に位置する地域「ザウアーラント」を拠点としている。日本にもゆかりがあり、2016年から2019年にかけてツール・ド・おきなわに出場。2019年にはツアー・オブ・ジャパンにも出場しており、そのときには第3ステージ(いなべ)で2位フィニッシュを果たしている。当時のチーム名「チーム ザワーランド」といえば、思い出される方も多いのではないだろうか。

チームは早い段階でのUCIプロチーム(第2カテゴリー)昇格を目指しており、設立時の目標でもある若手選手の育成と並行して強化を急いでいる。1月には所属選手が寝食できる新しいチームハウスが完成。12選手が所属する今シーズンは、地元ドイツ人ライダーに加えてカナダとベルギーの有望株を採用している。国際色豊かなチームという将来像を掲げており、自転車競技者保険を専門とするSVLスポーツ社とタッグを組んだグローバルな業務展開はドイツのサイクルメディアで大きく取り上げられている。

今季初戦のツアー・オブ・アンタルヤを戦うサリス・ルービー・ザウアーラントの選手たち ©︎ SARIS ROUVY SAUERLAND

レースを通じた日本とのつながりや、首脳陣がそろって親日であること、そしてチーム関係者に日本人がいることもプラスとなり、吉田選手のチャレンジは大きな歓迎をもって着目されているのだとか。ゼネラルマネージャーのヨーク・シェーフ氏は、「まずは地力を見せてほしい」とエールを送る。

サリス・ルービー・ザウアーラントの首脳陣。ゼネラルマネージャーのヨーク・シェーフ(左)は吉田選手の走りに期待をかけている ©︎ SARIS ROUVY SAUERLAND

オンラインセレクションは残り1戦、チーム首脳陣の評価はいかに

吉田選手にとって「努力したことがそのまま結果に反映されることに魅力を感じている」というロードレース。走れば走るほど成果が出る喜びは大きく、「将来は自転車にかかわる仕事がしたい。できることならプロ選手になって、セカンドキャリアも自転車業界で」と夢が膨らんでいる。

オンラインで海外の猛者と勝負した3レースを振り返り、「しっかり戦えている実感があるし、今後の競技へのモチベーションにもつながっている」と自己分析。

そこで、「もしチームから招待されて入団することになったらどうする?」と問いかけると、「もちろんヨーロッパへ渡ってチャレンジしたい。プロ契約を全力でつかむつもり」と強い覚悟を語ってくれた。

懸命にペダルを漕ぐ吉田選手。高みへチャレンジする意志を固めている ©︎ Syunsuke FUKUMITSU

オンラインセレクションでは、チームが高い評価をした18~23歳の数選手を最終セレクションキャンプへと招待。2選手が正式入団する計画となっている。

ドイツチーム入りをかけたオンラインでのアピールの場は、残すところあと1回。第4戦はブエルタ2021から、第21ステージで使われた30.8kmのルートで行われる。起伏のあるコースだが、「長い上りを一定ペースで踏み続けるのが得意」という吉田選手向きのレイアウトといえそうだ。

これまでであれば埋もれていたかもしれない才能も、eスポーツの進化によってトップシーンへの道が開けるほどになってきた。そんな世界へと果敢に飛び込み、1戦ごとに可能性が広がっている19歳の壮大な挑戦。その結果は未来へと結びつくか。そしてチーム首脳陣の評価にも注目していきたい。

SARIS ROUVY SAUERLANDのオンラインセレクションのレース情報・リザルトはこちらから
https://rouvy.com/series/sauerland

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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