BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

ロード日本代表・増田成幸の理想を形にした新ロードタイヤ「AGILEST」|Panaracer

そのタイヤは、東京オリンピックに出場し、全日本TTのタイトルを掴んだ宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手の足元を支えていた。創業70周年を迎えた日本のタイヤブランド「パナレーサー」がロード再定義を掲げ、従来の「RACEシリーズ」に変わる新たな顔として生まれた「AGILEST(アジリスト)」がいよいよ発表。開発秘話からタイヤの性能特性までを担当開発者と増田選手のスペシャル対談でお届けする。

過去と決別した自信作「AGILEST(アジリスト)」誕生!

「お久しぶりです。朝からしっかり走ってきました。本日はよろしくお願いします!」
トレーニング終わりの増田選手が訪れたのは大谷石で知られる宇都宮市郊外の大谷地区に建つオシャレ空間のオオヤベース。出迎えたのは、パナレーサーでアジリストの開発担当である高橋 諭氏とプロトタイプのテストなどを増田選手らとともに実施してきた三上勇輝氏。2月中旬、誕生したAGILESTを前に、三者による対談が実現した。

日本代表を目指す増田選手のために、2019年から開発がスタート

2019年春から開発がスタートし、ついに誕生したAGILEST。2010年からパナレーサーのレーシングタイヤとして進化を続けてきたRACE(レース)シリーズに代わる新シリーズだ。

高橋

新しいタイヤの開発が始まったきっかけは、東京オリンピックを目指していた増田選手に満足してもらえるタイヤを作るためでした。社内にプロジェクトを立ち上げ、全てにおいて最優先で開発が進めれられてきました。

三上

これまでも増田選手はじめ宇都宮ブリッツェンとともにRACEシリーズの開発を行ってきましたが、今回ほど増田選手と密に連携をとりながら開発したのは初めてです。

増田

そうですね。まず開発がスタートした段階で、レースタイヤに求めるすべての要望をお伝えしました。私が上りで勝負するタイプの選手ということもあり、最も外周に配置されるタイヤには軽さを求めます。そして、元々、RACEモデルはグリップ力が抜きん出ていたので、それを維持しながら耐パンク性を高めつつ、しなやかさも求めたいと……。欲張りですね!

三上

はじめに聞いた時、これは大変だなと思いましたね。

オールコンタクトかラウンドか。形状の選択

左がRACEシリーズに採用していたオールコンタクト形状、右が今回アジリストに採用されたラウンド形状
高橋

まず驚いたのが、RACEシリーズのアイデンティティでもあるトレッド先端が尖った形状が特徴のオールコンタクト形状からラウンド形状への変更への要望でした。

増田

もちろん個人の意見だけでなく、チーム員にも相談して意見をまとめました。その中で、他のメンバーもラウンドを希望していたので、自信を持ってフィードバックさせていただきました。

高橋

オールコンタクトかラウンドかは社内でも意見が分かれました。選手だけでなく多くのユーザーの声も広く調査し、社内試験でも転がり抵抗などを数値化した結果、ラウンド形状を採用することに決めました。この工程だけでも開発の大きなウエイトを占めました。そして、形状を決めた後は、耐パンク、コンパウンドとテストが続きました。

増田

プロトタイプはレースで行う前にチームキャンプなどで使って三上さんにフィードバックしてきました。形状だけを変えたタイヤの比較、コンパウンドやブレーカーだけを変えて比較したりと数多くのテストを行ってきました。

三上

同じコンパウンドで耐パンクブレーカーの厚みや素材だけを変えて比較してもらったり、森林公園でもよくテストしましたね。あえてテーマをわからないようにして乗ってもらうこともありました。

増田

実走テストは、複数の素材を変えると比較が難しくなるので、一つひとつ地道にテストを積み重ねるしかないですね。

軽さ、しなやかさ。こだわりの強い増田選手の意見を具現化

増田

初期段階のタイヤですでに軽さは実現できていて、最初から好印象を持っていました。

三上

はい、前作比で20gほど削ることに成功しました。あくまで総合的にですが、そこからコンパウンドや耐パンクベルトを煮詰めていきました。

増田

僕のように登坂を得意とする選手にとって、タイヤ1本で20gはとてつもなく大きいです。ほんのわずかな違いがパフォーマンスに差を生むと思いますで、思い切って意見してよかったと思っています。それと、AGILESTはしなやかさがあるタイヤに仕上がっている点が特長です。前作のチューブラーモデルには少し硬さを感じるところがありましたが、大きく改良されたポイントだと思います。しなやかさのおかげで、路面追従性が高まりコントロール性が向上しています。

高橋

今回の開発では転がり抵抗値を下げることにまず主眼が置かれましたが、新コンパウンド「ZSGアジャイルコンパウンド」や、耐パンクベルト「TFスーパーベルト」など新テクノロジーや素材を融合することで、結果的に転がり抵抗の低減、軽さ、さらにグリップ力の向上も実現できました。

増田

前作もクリンチャーはレベルが高いと思っていましたが、AGILESTはクリンチャーだけでなくチューブラーモデルも最高のモデルが誕生したと感じています。

選手の印象をくみ、トレッドパターンを変更

高橋

転がりとグリップ、軽さ、耐パンクというタイヤの性能は、こっちをとるとこっちが下がるというのが基本なので、このバランスを取ることがむずかしい。さらに、選手の声を製品化するためには、机上では理想の素材や配合がイメージできても、実際に工場で生産でき、さらに量産までできるか?というのは別問題でもあります。

増田

振り返ればチューブラータイヤのトレッドパターンも色々とテストしましたね。歴代のRACEエボもスリックだったり、杉目だったりしましたが、サイドは杉目のほうが倒し込んだときの感覚がつかみやすい印象を以前から持っていたため、今回要望を出しました。

高橋

僕らが考えているのはスリックだけど、プロ選手が実際に走るときの意見はそうとは限らないということです。極限のシーンで使用するときの心理面も含めて考慮する必要があります。正直、パターンは金型を作れば無限に作れます。決定するには数ある中から5案まで絞り込み、最終的に今回の“センターがスリックでサイドが杉目のハイブリッドパターン”に決まりました。

増田

僕らの声はデータではなく印象です。でも、今回のように選手の意見を形にしてくれたことはうれしいです。

AGILESTに採用したトレッドパターン。左からAGILEST LITEに採用のトレッド、中央はチューブラーの杉目パターン、そして右がAGILESTのおもな製品に採用しているスリックパターン

日本のメーカーならではの密なコミニュケーションが可能

左からパナレーサー三上勇輝氏、増田成幸選手、そしてアジリストの開発担当高橋 諭氏
三上

日本メーカーとしての強みは、国内チームとの連携だけでなく国内の優秀な化学素材メーカーさんとコミニュケーションを取りやすいことです。コンパウンドの新しい化合物だったり、ケーシングの新しい繊維などメーカーさんが案内してくれますので、新素材を使用して積極的に開発を続けられています。その分、選択肢が増えてむずかしかったりはしますが、徹底的にこだわれる点は日本メーカーの強みであると思います。

増田

僕が軽さやコントロール性にこだわりを持っている選手だということも理解いただきながら開発を進めていただけたと思います。

三上

選手によってこだわりもあるため、キャラクターを把握しておくこともスムーズな開発には欠かせません。長年パートナーを組んでいるブリッツェンだからこそ実現できた今回のタイヤなのかなと思います。

1本あたり20gの軽量化としなやかさを実現

このように、増田選手の全面協力のもと、パナレーサーが妥協なく作り上げたAGILEST。全く新しい黄金比というコンセプトをもとに、前作RACEエボと比較して転がり抵抗を12%低減し、1本あたり20gの軽量化を達成。さらにしなやかさを手に入れたことで、グリップ力とコントロール性も全方位に性能を向上させることに成功している。

関わった全ての人の思いを乗せて大舞台へ……

増田

オリンピック前に実際に使用するタイヤが届いたのですが、タイヤのふんどし(リム面に接着する部分)を見たら、工場でタイヤを製作いただいているスタッフの皆さんのメッセージがビッシリと書き込まれていて感動しました。僕も開発段階で工場に足を運んで、現場の皆さんとお話をさせていただいていたので、皆さんの思いを受け止めて走りで表現しないと……と気持ちが引き締まりましたね。

高橋

そう言っていただけるとうれしいです。当日は、祈るような気持ちでした。レースは230kmを超える長距離でしたがパンクなどの不安はありませんでしたか?

増田

パンクに“絶対”はありませんが、すでに本番と同じ仕様のタイヤで走り込んでいたので、不安はありませんでした。自信を持って挑めましたね。

三上

ありがとうございます。レース当日は、WEB画面を食い入るようにライブ中継を見て応援していました。その後の全日本タイムトライアルでの優勝も興奮しました。あらためて感動をありがとうございました。

増田

足元に安心感があると、レースに臨む気持ちにも余裕が生まれます。素晴らしいと思えるタイヤを使ってレースに挑める自分は幸せだなと感じます。

チューブラー、クリンチャー、チューブレスレディと
ラインナップが豊富な「AGILEST」

生まれ変わったパナレーサーのレーシングシリーズであるAGILESTのラインナップは豊富だ。クリンチャータイプには、オールラウンドモデルの「AGILEST(アジリスト)」、そこから20gの軽量化を実現した「AGILEST LITE(アジリスト ライト)」、高い耐パンク性を約束する「AGILEST DURO(アジリスト デューロ)」を揃え、パッケージイメージもリニューアルされた。

さらに、増田選手の決戦モデルであるアジリストチューブラー、春にはTLRもラインナップに加わる。

高橋

まずは標準モデルのAGILESTを試していただきたいです。レースでもツーリングでもタイヤの特性が生きてくると思います。このモデルを基準にして、ライトとデューロと味付けを変えています。ただ、以前のRACEシリーズとアジリストの標準モデルを比較したとき、以前よりも軽快性を感じられるように作っています。

増田

クリンチャータイプはトレーニングで使っていますが、高いグリップに加え、爽快な軽さを感じられるモデルです。とくに、ライトは、ほんの少し走らせただけで回転の軽さを体感できます。しかも、チューブラーモデルのようなしなやかさも持ち合わせています。峠でタイムアタックを楽しんでいる全てのストラバライダーにおすすめしたいです。デューロは圧倒的な信頼感ですね。そして、チューブラーモデルは、自分の理想を具現化してくれた最高の勝負タイヤです。

高橋

クリンチャー、チューブラー、TLRとタイプがありますが、同じコンセプトを元に生まれているため、どれを使ってもモデルによる違和感なく乗っていただけると思います。これまでRACEシリーズを使ったことある人も、まだパナレーサーのタイヤを使ったことがない人も、新しく誕生したアジリストをぜひ試していただきたいです。

▼AGILEST製品の詳細はこちら

 

Panaracer AGILEST 特設サイト

 

問:パナレーサー
https://panaracer.com/

SHARE

PROFILE

Bicycle Club編集部

Bicycle Club編集部

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

No more pages to load