
坂道は頑張らないほうがラク? マイペースに走り切るための対策とは|ロングライド快走術

Bicycle Club編集部
- 2022年04月30日
ロングライドをいかにしてラクに楽しく走り切れるか? 苦しまずにロングライドを走るための実践ノウハウを自転車プロコーチのウォークライド須田晋太郎さんに教わった。
今回の記事では「坂道のコツ」を紹介! 坂道はなぜ苦しいのか。速さを求める必要がないロングライドでは、坂道に対応したギヤさえ備えていれば苦しさから解放される。そして、坂道でのフォームに対する意識も変えてみよう!
坂でラクをしたいなら最低限1対1のギヤ比
坂道さえなければロングライドは最高なのに……と思っている人は多いはず。
「一般的なロードバイクに付いているギヤで、苦しまずに坂道を上ろうとしてもギヤ不足です。あくまでロードバイクは競技用自転車ですから。ロードバイク初心者で日頃トレーニングをしていない人なら、フロント34T×リア34T(ギヤ比1:1)は最低限欲しいところです」と須田コーチ。
また、軽いギヤはケイデンスを高くキープできるが、坂道では平地よりも速度域が低いために走りがふらつきやすい。軽いギヤで安定して走れるように慣れておくことも大切だ。
「時速3〜5kmほどのスピード域で坂道をリラックスして走れるようになりましょう」と、軽いギヤを低速域で使いこなすスキルの習得も欠かせない。バイクの上で身体をリラックスさせるためには、ロングライドに適した体の負荷を軽減するフォームを意識したい。
ラクに上るためのフォーム
上半身を起こすフォームを意識することで股関節の可動域が広がる。これにより、ペダリングの上死点のスペースを十分に確保できる。結果、脚の通過に余裕が生まれ、ペダリングがしやすくなる。そして、ヒザ下の筋肉でペダルを踏み込むことなく、股関節の付け根から脚全体を動かす意識が高まり、ダイナミックなペダリングを実現できる。
ロングライドスタイルがおすすめ!
ロングライドに速さは必要なく、体への負荷を減らすことがポイントだ。サドルにしっかりと体重を預けて上半身をリラックスさせる。スピードは落ちても気にすることなく、脚への負荷が高すぎないケイデンス(70回転が目安)をキープしたい。そして、大きな円を描く意識でダイナミックなペダリングを心がけたい。

レーススタイルはロングライド向きじゃない
数秒のタイムを争うようなレースシーンでは、坂道でできるだけ速度をキープする必要がある。そのため、体重をペダルに乗せて出力を稼ぐため、重心位置を前方へ移動して前傾姿勢をとる。しかし、この前傾フォームをとり続けるためには、上半身の筋力への負荷が増えやすい。そのため、ロングライドでは無理に前傾姿勢をとる必要はない。

ギヤ比が足りていることが大前提!
そもそもギヤ比とは、フロントギヤ(クランク)が1回転するとき、リアギヤ(スプロケット)がどれだけ回転しているのかを示した比率のこと。たとえば、前後のギヤ比が2:1の場合、ペダリング1回転あたり、リアが2回転することを意味する。ギヤ比が1:1では、ペダリング1回転あたり、リアも1回転。これは、ギヤ比2:1に比べて、バイクが進む距離は2分の1になり速度は出ないが、踏み込む力が少なくなるため、坂道などをラクに上れるようになる。
教えてくれた人
自転車プロコーチ 須田晋太郎
ウォークライド シクロアカデミア、日本体育協会公認自転車競技コーチ。10代のころから自転車競技に取り組み、実業団トップカテゴリーで活動後、トレーナーとして国内チームに帯同。現在、プロコーチとして幅広い層のサイクリストのコンディショニングやフィッティングサービスを行いながら、大磯クリテリウムや箱根ヒルクライムなど人気イベントも主催する。
https://walkride.jp/academia
※この記事はBiCYCLE CLUB[2020年10月号 No.426]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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- CREDIT :
- TEXT&PHOTO:ハシケン イラスト:西村アメリカ君
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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