BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

快進撃を続ける小林 海とチームを支える最新オーダーウエアの秘密|パールイズミ

開幕から連勝街道を突き進むマトリックスパワータグ。いま、彼らが着用するパールイズミのオーダーウエアに注目が集まっている。小林 海(マリノ)選手と小森亮平選手のおふたりとパールイズミの開発担当者を交えて、最新オーダーウエアの着心地やその魅力、開発秘話までをたっぷりと伺った。

開幕から快進撃を続けるマトリックスパワータグ

開幕戦の勝利から現在まで、リーダージャージをキープする小林 海選手。4月に行われたJBCF群馬ロードレースでは、レオネル・キンテロ選手とともにワンツーフィニッシュを決める © Itaru Mitsui

「ワンピースタイプのチームジャージはエアロ性能が高いだけでなく、軽くてストレスもないので、じつはレースだけでなく普段のトレーニングから愛用しています。つまり僕らはほぼ毎日ジャージを着ています」

東京スカイツリーのお膝元に本社を構えるパールイズミ社の一室で、リラックスした表情でインタビューに答えるのは、Jプロツアーのリーダージャージを着用するマトリックスパワータグの小林 海選手。今シーズン、開幕から5戦4勝。チームは5連勝で怒涛の快進撃。個人・チームともにライバルに影をも踏ませない活躍を見せている。

まずは、ここまでの活躍を本人、そしてチームメイトの小森亮平選手に振り返ってもらった。

ときに冗談を交えながら、リラックスした表情でインタビューに答えてくれた小森亮平選手(右)と小林 海選手(左)

個々の強さはもちろん、チーム力が勝利のカギ

小森 マリノが昨シーズン終わりから急に真面目に取り組み出しているなぁと感じていました。この活躍を見ると、これまでどれだけ不真面目に取り組んでいたんだよと言いたくなりますよ……。冗談です! 誰でも壁にぶつかって上手くいかないときがありますけど、そのときの行動がときに不真面目に映ることもあると思います。でもそういう中でマリノは乗り越えるべく準備してきたんだよね?

マリノ すべて代弁してくれたよ! そう、不真面目から真面目に。じつは今シーズンに向けて日々のトレーニング内容から取り組む姿勢まで変えました。週2回ほどジムで体づくり、ケアやメンタルトレーニングも取り入れています。目指していることはヨーロッパで本当に活躍できる選手になることです。今年で28歳になり、残りの時間も多くは残されていない中で今何をすべきか。ヨーロッパで走ってきたからわかる現在の課題を克服するためにも、日本のレースに戻ってきちんと自分のパフォーマンスを高める大事なときだと感じています。

単にヨーロッパに渡るのではなく、本場で活躍できる選手になることが小林 海選手の最終目標だ

小森 春先のチームキャンプでもマリノは日本選手の中でぶっちぎりのフィジカルの強さを実感していました。ホセやマンセボなど個が強い選手もいます、こうして結果を残せているのはチームメイト一人ひとりがチームの勝利を第一に動けているからです。みんな経験豊富ですし、連携も取れている。

マリノ 結果だけ見ると圧倒しているように思われるけど、レース中は紙一重の勝負で毎回必死! その中で、個人的に苦手な日本のレースらしいサーキットコースの群馬でもきちんと勝てたことはよかったと思います。

最先端テクノロジーが詰まった、パールイズミのオーダーウエア

風や雨、猛暑などさまざまなコンディション下で行われるロードレース。最大限のパフォーマンスを発揮するため、サイクルウエアには最先端のテクノロジーが多く取り入れられている ©Itaru Mitsui

開幕からレース界を席巻するマトリックスパワータグ。メンバーの一人ひとりが役割を果たす成熟されたチームを発足当時からスポンサーするパールイズミ。チーム供給モデルは、カタログ展開される製品とは異なるオーダーウエアタイプになる。日本代表選手やプロチームからのフィードバックを形にした最先端サイクルジャージで、一般ユーザーでもプロ仕様のオリジナルのサイクルウエアが手に入る。
ここからは、パールイズミの最新オーダーウエアについてマリノ選手と小森選手に実際の使用感を伺いつつ、開発担当者の佐藤 充さんにオーダーウエアの特長について紹介してもらう。

オーダーウエアの製品開発担当者の佐藤 充さん(右)との対談

最新ウエアのトレンドは軽さと乾きやすさ

マリノ 僕はジャージ以外の普段の洋服選びも好きなので、自転車アイテムのなかでウエアに対するこだわりはかなり強い方だと思っています。チームジャージもセパレートとワンピースタイプを選べますが、僕はワンピースが好みです。計量したら20gほどワンピースのほうが軽量でした。

小森 選手はやはりロードスーツ(ワンピース)を好むと思います。継ぎ目がなくエアロ性能に優れるワンピースは絶対的な性能が高いですね。ひと昔前のワンピースは締め付けが強すぎて長時間のライドシーンではストレスがありました。スプリントでフォームを変えるだけで動きが阻害されることもありましたが、今は劇的に進化しています。

マリノ チームに供給されているエアスピード半袖ロードスーツですが、ワンピースとは思えない着心地のよさを実感しています。変に締め付けがないので呼吸がしやすいんですよ。設計や生地の素材自体が進化しているのだと思う。

ロードスーツを着用する、TOJ富士山ステージでのマリノ選手。惜しくも総合優勝は逃したが、レッドジャージ(山岳賞)を獲得 © Itaru Mitsui

佐藤 そのとおりです。最新のオーダーウエアは、フィット性を高めつつも、伸縮性のある素材を採用したり裁断にこだわることで着心地を追求しています。春夏ラインの最新のオーダーウエアには、セパレートとワンピースの2タイプを用意していますが、共に吸汗速乾性にすぐれる素材を採用しています。

以前のウエアで重視されていた性能は、汗をある程度厚みのある生地に吸収させてから拡散して乾かすことでした。ただ、それでは発汗の多い夏や登坂時に汗を吸いすぎてウエア自体が重くなってしまうことがデメリットでした。
そこで、現在は生地を薄く軽くすることで積極的に飽和状態を作り、汗を外に出すことで汗をジャージに溜めることを回避しています。昔はコップの容量が大きかったけれど、今は容量が小さくて、ある程度したら外へ流してしまうというイメージです。実際、選手からも軽くて乾きやすいウエアを求める声が多く聞かれています。

選手の声とホビーレーサーの要望のマッチングに頭を悩ませることが多い

日焼け止め効果と高いエアロ性能を約束

パールイズミでは、高温多湿の環境下で開催される東京オリンピックに向けてジャージの開発が進められてきた。その結果、東京パラリンピック個人タイムトライアルでは杉浦佳子選手が最新のサイクルウエアを着用し、優勝。見事金メダルを獲得している。

杉浦佳子も驚きの最新ウエア、皮膚に同化する感覚でエアロも暑さも克服|パールイズミ

杉浦佳子も驚きの最新ウエア、皮膚に同化する感覚でエアロも暑さも克服|パールイズミ

SPONSORED

オリンピックに向け開発された最新ウエアには、乾きやすく薄手の素材を採用。さらに、空気を積極的に取り入れるため、前身頃には細かい穴が空いたメッシュ生地を選ぶ。いっぽう、背中側には「クローズドメッシュ」と呼ばれる素材を採用。通気性を保ちつつも、太陽光を遮るメッシュ素材にすることで、日焼けによるスタミナ消耗を防ぐウエアを目指した。このように日本の夏の気候を考慮して開発された最新ウエア。そのもうひとつの特長がエアロ性能だ。

ウエアの前身頃は通気性を高めるメッシュ素材を採用する
真夏の強い日差しから体を守るクローズドメッシュ素材を背面に使用

マリノ 最近のウエアは急激にエアロ性能が進化していますよね。10年ほど前の映像を振り返ってもジャージはシワが多くて普通にバタついています。

小森 それが今や、選手たちにとってジャージのエアロ性能は常識になっています。ちょっとしたウエアのバタつきが気になってしまう。メーカーさんも開発が大変なのではと思います。

マリノ せっかくフィジカルを鍛えてもウエアの抵抗で損してはもったいないですからね。

佐藤 袖全体とパンツの側面に配している格子柄の「スピードセンサー®Ⅱ」は東京五輪に向けて開発された最新エアロ生地です。開発にあたっては、JAXA(ジャクサ)の風洞実験施設に自社開発のマネキンと自転車を持ち込んでウエアの空力性能を測定しました。ウエアの素材を持ち込んで実験したのは、おそらく初めてではないでしょうか。

まず世の中にある凹凸素材をかき集めて風洞実験にかけることから始めました。そのなかで、表面処理をほどこした格子(菱形)デザインが空力的に優位であることをつかみ、つぎに格子サイズの大小の違いによる抵抗値を明らかにしていきました。素材を絞った段階で、体のどの部位に採用するべきかを検証。全面が格子柄のジャージにしたからといって抵抗が減るのではなく、むしろ増えてしまうなどトライアンドエラーでした。最終的におよそ25種類ほどのパターンの中から、格子柄の素材を両肩とお尻の部位に採用したジャージが誕生しました。

数多くのパーツから作られる1枚のウエアは高いフィット性を実現
格子デザインが特徴的なスピードセンサー®Ⅱの生地がエアロ性能を高める

小森 なるほど、そのようにして開発されているのですね。個人的にエアロダイナミクスに興味があり、大学のオンライン講座を受講したこともあるので、なかなか興味深い話です。

マリノ こういう話はサポートされる選手としてもずっと聞きたかったです。それにしても小森さんはウエアに限らずトレーニングの専門知識が豊富で聞けば答えてくれるので、“コモペディア”と呼んでいます。ちなみに、今着用しているJプロツアーのリーダージャージはセパレートタイプなのですが、リーダジャージにもワンピースタイプを採用してもらいたいくらいですよ。やはりエアロ性能をはじめ絶対的な性能ではワンピースを選びたくなります。

水分を吸うほど滑り止め効果を発揮

クローズドメッシュやスピードセンサー®Ⅱといった最新テクノロジーを採用するオーダーサイクルウエア。このほかにも、袖や裾部分にはかぶれにくいポリエステルの糸から作られたグリッパーを採用する。

汗を多くかく季節でも高い快適性をキープするグリッパー

佐藤 滑り止めにシリコン素材を使うと、汗などによって肌が弱い方は痒くなったりしてしまいます。そこで女性の細い髪の毛1本ほどの細さのポリエステルの糸を、特殊な液体に浸けてナノレベルの細さまで裂き、それらを編んだグリッパーを使用しています。

マリノ 海外のメーカーでよくあるシリコングリッパーは雨のレースや夏場に汗を多くかくと、滑り止めの下がふやけたりしますね。

佐藤 そうなんです。パールイズミのグリッパーは、汗や水に濡れるほど、滑り止め効果が発揮される特殊素材になっています。高い滑り止め効果とストレスフリーを両立している評判の仕様です。

ナノレベルの細さのポリエステル糸を使用

底付きしない新型3D-Xパッド

さらに、ジャージの快適性を左右するとも言えるパッドも新型へとアップデートされている。お尻の痛みは多くのサイクリストにとって悩みのひとつ。パッドの正しい位置にお尻があれば、痛みが生じることも少ないが、設計やパッドの微秒な位置によって変わってくる繊細なパーツでもある。選手たちが使用するパッドは、薄手で高反発素材を採用する新型の3D-Xパッドだ。

サイクルウエアのキモになるパッドにはメーカーの実力が表れる

佐藤 新型パッドは、全体的に薄めに設計されています。ベースとなるウレタンフォームの成形は、金型にはめた状態で特殊なカッターでスライスして作り出しています。この工程を従来は、金型に熱をかけて潰して型を作っていましたが、ウレタン素材は熱をかけた時点で劣化が始まってしまうデメリットがありました。その点、3D-Xパッドはしっかり反発を維持しながら長く使い続けられます。また、熱形成しないメリットとして、クッション性が均等に保たれます。従来のものは局所的に硬かったりしましたが、新型は全体的に柔らかさを実現できています。

薄手でかつ底付きしないパッドを実現するため一部にエマストラーを採用

小森 個人的な感想として、パッドは薄いけど、底付き感がないことが大切です。お尻の骨盤がサドルに底付きすると股擦れもしやすくなると思います。逆にパッドが分厚いとゴワゴワして動きが悪くなる印象です。

マリノ 厚みがあるとポジションも変わってくるので、薄くて反発のあるパッドが理想ですね。

佐藤 新型パッドには、底付き感がでないように、サドルに圧がかかるエリアに医療用などで使用されるゲル状のエマストラー素材を採用しました。これにより、お尻が沈み込んでも物理的に底付きをしないため、快適性を保つことができます。

小森 なるほど、見えない部分で工夫されているのですね。体重のある欧米人と小柄な日本人が同じパッドでいい訳がないんですよ。体格別にサイズ展開は変えていても、素材自体の厚みなどを最適化しているメーカーは少ないと思います。骨盤のサイズも違いますし、海外の人と日本人は、ヒットゾーンも違うと思うんです。

パッドについてこだわりを見せる小森選手。そのダイレクトな声に今後の製品開発にも期待がかかる

佐藤 パールイズミでは日本人の体格や骨格に合わせて開発しています。これはパッドに限った話ではありませんが、日本のメーカーならではの強みです。ちなみに、新型パッドの開発にあたり、社内で石膏を使って尿道を含めたお尻の型取りをしました。企画を担当した野郎どもで夜な夜な作業した思い出があります。

マリノ それはすごい! 開発にかける情熱が違いますね。あと、パッドは蒸れないことも大切です。トレーニングの休憩中に座ったら、お尻の形ができてしまった……なんてことがあると思います。パッドにも通気性のよいものを求めたいです。

佐藤 可能な限り通気性を高めるため、内部のエマストラーを貼り付ける糊にも通気性の高いフィルムを使いパッドの蒸れを防ぐ工夫をしています。

高い通気性を実現するフィルムの通気口を覗き込むマリノ選手

小森 なるほど。パッドの性能はここまで進化しているんですね。基本的な話として、サイクルウエアはシーズンを通して同じタイプのパッドを使いたいです。年によって、シーズンによってウエアが変わったときにパッドが変わってしまうと違和感につながるため、できるだけ同じタイプのパッドを使いたいです。

マリノ 確かに、シーズンで変えないことは大事かもしれない。スペインで活動していた当時、ツールドフランス直前のホアキン・ロドリゲスがパッドの位置が合わないといって、僕がパッドの位置調整を手伝っていました。パッドの位置を前後にずらしながら、彼のジャージの上からペンでなぞって位置を示してあげていました。パッドの構造も大事だけど、そもそも正しいパッドの位置にあることも重要ですね。

 

最新テクノロジーを数多く採用し、パターンからデザインまで好みのウエアを作ることができるオーダーウエア。マリノ選手と小森選手をはじめ、躍進を続けるマトリックスパワータグの選手たちの活躍の影には、トップ選手らの意見がフィードバックされ誕生したパールイズミの最新レーシングウエアの存在があった。今シーズン、彼らの活躍からますます目が離せない。

パールイズミオーダーウエアの
詳細はこちら

取材協力
パールイズミ
マトリックスパワータグ

SHARE

PROFILE

ハシケン

Bicycle Club / スポーツジャーナリスト

ハシケン

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

ハシケンの記事一覧

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

ハシケンの記事一覧

No more pages to load