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大地の造形美と世界遺産の道、ツールド熊野に彩られた和歌山県・紀伊半島南部熊野を走る

豊かな自然や長い歴史をもつ和歌山県は、サイクリストにとってどんな土地? その答えを知るべく、二人のライダーが現地を実走してみた。そしてそこで見えてきたのは、予想をはるかに上まわる高いポテンシャル! 「ライダー」森本さんと「ライター」小俣の目線から、和歌山の魅力を紹介。

右/森本保乃花(もりもとほのか):兵庫県在住。ニックネームはほのたろー。日本人女性としておそらく初めてキャノンボールを達成したエンデュランスライダー。強豪レーサーとしても活躍中。ミッションアプリ、DIIIGのサイクリングルートプランナーでもある。
左/小俣雄風太(おまたゆふた)
:本誌連載BIKE&FISH JAPANを担当するライター。釣り好き、漁村好きの目で和歌山を走る。

和歌山の山や川や海には「驚き」と「映え」がある!

那智の滝(なちのたき)をはじめ、和歌山には自転車で楽しめる魅力あふれるスポットが盛りだくさん!

熊野という「遠いところ」へ

半島の先端とは、一般的に「遠いところ」である。和歌山県と三重県・奈良県を抱く紀伊半島の南部、熊野地域は、東京・関東圏からは言うに及ばず、地図上では近くに見える大阪・関西圏からも遠出のイメージを伴う秘境であったりもする。

しかし秘境であるからこそ、そこに素晴らしいライドコースがある。特に熊野は、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されるほど歴史・文化に彩られている。加えて、豊かな漁業の歴史はこの地の誇りでもあり、その土地固有の空気感や文化、美食に触れることに喜びを感じる大人のサイクリストなら、ここを素通りはできないはずだ。

ライダーにとっては「ツール・ド・熊野」でおなじみの地域は、いざ自分で走ってみると驚きの連続。走りごたえも、自然環境も、町並みも、食も、すべて満たす高いコンテンツ力がここにはある。

ツール・ド・熊野第3ステージのコースでもある太地半島はこんな絶景を走っている。レースだと気づけない風景が、ライドならよく見える。吹き抜ける海風が気持ちよく、適度なアップダウンについついペースが上がってしまうポイント。この先には美しいフォトスポットも待っている。走っていて楽しさしかない!

海と山と文化に触れる90km

今回走るルートは、紀伊半島南端、和歌山県串本町の奇岩群「橋杭岩」をスタートし、一路海沿いを那智勝浦方面へ。この秋にロードレースが開催される古座川を過ぎてさらに海沿いを走ったのち、清流太田川沿いに内陸へ。標高を稼ぐタフなヒルクライムで世界遺産の那智の滝に至れば、あとはまぐろで有名な勝浦漁港へとダウンヒル。さらにくじらの町、太地町まで南下したら、ツール・ド・熊野のコースで好きなだけもがいて、太地駅にフィニッシュする。

ルートのスタート地点は和歌山県随一の景勝地である橋杭岩。奇岩群は圧巻の映えスポットで、伝説では弘法大師が橋を架けるために一夜にして生み出したとも。岩の形をよく見ると烏帽子をかぶった男女が手を合わせ向かい合うように見える。我々もそれに倣って、パチリ。橋杭岩は道の駅になっており、飲料などを購入でき、ライドの起点にぴったり

こうした要素をたくさん詰め込んだおよそ90kmのコースを走るのに、タフなライダーがいると心強い。ということで数少ない女性キャノンボール達成者(5月号で編集長山口が2日がかりで達成した東京―大阪間の24時間以内ワンデイライド)で強豪市民レーサーでもある森本保乃花さんと一緒にこのコースを走りに行こう。

自転車を買って1カ月で「こういう自転車なら遠くに行かなきゃ!」と、大阪の鶴橋から和歌山県の白浜までのロングライドを敢行したという森本さん。さすがにそのときは、白浜で腰が痛くなり自力で帰れず、友だちに迎えに来てもらったというが、じつに行動派ライダーらしいエピソードだ。今は兵庫県に住むそんな彼女にとっても、和歌山県の「白浜より先」(南側)はなかなか行かない遠いところだという。だからこそ走れるのを楽しみにしていた、とも。

あのコンタドールが走った古座川を抜けて、20kmほど海岸線をメインに走ると太田川沿いに徐々に始まるヒルクライム。森本さんのペダリングはより軽快になる。清流沿いの風景から、少しずつ林道になり、ところどころ苔むした静かな道になったかと思えば、人の暮らしが見える棚田に行き当たる。上りながら景色が変化していくので苦しいはずのヒルクライムも楽しい。森本さんのペースが速いので苦しくないわけではないけれど……。

しばらくは紀伊半島南部の海岸線を気持ちよく走るが、下里の太田川にぶつかってからはひたすら内陸へ、那智山へとヒルクライム。ルートは少しマニアックな横道を走るが、それでも人の暮らしを感じられる。写真は色川の棚田。稲作だけでなく、お茶の畑にもなっていて興味深い。長い上り坂も、風景が変わっていくのが楽しい
那智山までの上り坂は長いが、古道の雰囲気があり走っていて飽きない。補給スポットが少ないので準備を万端にして臨むこと

上り坂のピークは、55km地点の阿弥陀寺。ここはローカルのサイクリストに人気のKOMでもあるそうで、最後の急勾配は走りごたえ充分。那智山の一角、妙法山に位置するこのお寺は弘法大師ゆかりという由緒正しいもの。だが、このKOMに至ったサイクリストは口をそろえてこう言うだろう。

「ほんとうに、マジ卍!」

阿弥陀寺にある卍。その大きさが理解できるだろうか……

上り切って下を眺めると、大きな「卍」が置かれているのが見える。「マジ卍だぁ……」と使うことのない若者言葉がつい口に出る。ここからは下り基調なので、那智の滝などの観光スポットに立ち寄ってみよう。

自然崇拝を起源とする熊野信仰の重みを感じるはずだ。ここには食事処も多いが、お薦めは那智ねぼけ堂の黒飴ソフトクリーム。サイクリストは各地のご当地ソフトを食べてきた人種だろうが、この黒飴はかなりレベルが高く、オススメ。

那智の滝はルート上からも見えるが、ちょっと足を伸ばして近づくとそのスケールに圧倒される
那智ねぼけ堂の黒飴ソフト。ルートだと下りの途中にあるので見逃さないように!

その後は再び海へ。那智勝浦はまぐろの町。ランチは決まりだ。さっぱりした海鮮は、ライドと本当に相性がいい。漁港では大マグロと写真を撮ったり、古代ギリシャを思わせる(?)足湯に入ったりとやることたくさん。食後の腹ごなしにどうぞ。

勝浦漁港には、過去に水揚げされた最大のクロマグロの実物大モニュメントが。森本「わたしが釣りました」
ランチは紀伊勝浦駅前のbodaiで。まぐろを使った創作料理を多数楽しめる

まぐろの町からくじらの町へ

ライドの最後を締めくくるのは、太地町エリア。ここはレーサーにとってはツール・ド・熊野第3ステージでおなじみの場所であり、捕鯨で栄えたくじらの町でもある。太地町立くじらの博物館はとにかく展示が最高。どこを撮っても「映え」であるし、見学に疲れたらイルカショーを楽しむこともできる。

くじらの博物館にはバイクラックもあり、サイクリストフレンドリー
館内どこを撮ってもフォトジェニックなくじらの博物館。ついつい長居してしまいそうだ
太地町立くじらの博物館から、走ってきた那智山方面を見ると、例のものが見える。「マジ卍!」

博物館を後にしたら、最後はレースでおなじみの漁港脇の上り坂にトライ! 2段坂になっていて、リズムがつかみづらい、なかなかの登坂。しかし映像で見るトップ選手に自分を重ねて上るのは、なかなかに楽しいものだ。レーサーでもある森本さんは涼しい顔でぐいぐいと上っていく……。さすが。最後はやっぱり頑張っちゃうのがサイクリストの常。

ツール・ド・熊野第3ステージの勝負所となる漁港脇の上り坂。トップ選手が走るコースをこうやって走ってみるのも楽しい。来年のレースを見る目も変わりそうだ
太地漁港脇の上りをこなし、太地半島の南側に出ると平見台園地がある。すばらしい眺望とサイクルベンチがあるので、ここで一休みするのもいい。景色は素晴らしいの一言

今回のフィニッシュ地点は太地駅。近頃JRきのくに線はサイクルトレインに力を入れており、自転車をそのまま持ちこめるようになった。これは大変素晴らしいことだ。串本に戻る車窓の風景を眺めながら、一日のライドを振り返る。

終日明るく、力強い走りを見せた森本さんは、「どこもすてきでしたが、海沿いと山の中とでメリハリがあるコントラスト感が良かったです。海は、漁港のコーナーを曲がるごとに見える景色が変わるし、木漏れ日で緑がキラキラしてる山道は最高です! まぐろの漬け丼もおいしかった。でも一番面白かったのはあの卍ですね(笑)」。

走りごたえも、自然環境も、町並みも、食も。熊野という「遠いところ」だからこそ、走ることと文化が触れ合う上質なライドが実現できるのだ。

MAP

今回走った熊野のモデルコース。注意点としては、那智山に向かって内陸へと入っていくと補給ポイントが少なくなること。山道はタフな道のりになるため、補給食や水は海沿いの商店やコンビニでしっかり準備しておこう。今回はサイクルトレインを使用したが、走り足りないライダーはもちろん自走で串本へ戻るのもいい。

サイクルトレインを活用して和歌山でのライドをもっと楽しもう!

サイクルトレインを実施していたJRきのくに線は2022年春、さらに対象区間を延長。今回紹介した南紀エリアに加え、半島西側の御坊まで広い範囲で自転車をそのまま持ち込めるようになった。サイクルトレインはこの先も我が国の各地で待望される取り組みであり、積極的に乗ることで応援したい。なお、乗車時はバンドなどで自転車をポールと固定し、安全のため手で支えよう。一般乗客の方と気持ちよく使えるようマナーを守りたい。

▼きのくに線「サイクルトレイン2022」に関する記事はコチラから。

きのくに線「サイクルトレイン」、好評につき2022年の通年実施が決定

きのくに線「サイクルトレイン」、好評につき2022年の通年実施が決定

2021年11月25日

和歌山県サイクリング総合サイト

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PROFILE

小俣 雄風太

小俣 雄風太

アウトドアスポーツメディアの編集長を経てフリーランスへ。その土地の風土を体感できる方法として釣りと自転車の可能性に魅せられ、現在「バイク&フィッシュ」のジャーナルメディアを製作中。@yufta

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