お尻を使えるライダーは強い! なぜ、臀筋ペダリングがオススメなのか!?
Bicycle Club編集部
- 2022年07月29日
ペダリングパワーの源はお尻の筋肉「臀筋」。大きな筋肉で大きな力が出せる臀筋を使ったペダリングをすることで、より楽にパワフルに長く走れる。
大腿四頭筋よりもハムストリングスを使ったほうがいいのか? それとも臀筋? これまでのペダリング神話に一つの答えを出した「臀筋ペダリング」のメリットとは?。
長時間高出力を出せる臀筋のメカニズムとは!?
「太モモ(大腿四頭筋)でペダルを積極的に踏むペダリングは、一瞬の高出力は発揮できても、長続きしないことはよく知られています。一方で太モモで踏むと疲れるから、裏側の筋肉となるハムストリングスを使ったペダリングがいいと言う人もいます。しかし、無理のない体の使い方から考えると、臀筋を積極的に使うことをオススメします」と、ハムスタースピンの福田昌弘さん。
臀筋を使ったペダリングの最大のメリットは、高い出力を長時間発揮し続けられることだ。そのおもな理由は、臀筋が大きな筋肉であることと、遅筋の割合が多いとされていることに加えて、ペダリング中の骨格の動きにある。
大腿四頭筋とハムストリングスは、股関節と膝関節の2カ所とつながる二関節筋であるため、どちらかが主働筋となる一方で、もう片方はブレーキの役割(拮抗筋)となり効率的ではない。その点、臀筋は股関節とだけ連動する単関節筋であるため、ブレーキをかけることなく、スムーズで効率的なペダリングができるというわけだ。「体の構造的に無理がないペダリングは、高い出力を維持しやすいだけでなく、故障のリスクも減らします。そして、骨盤の安定につながり、3時の位置での最大出力を発揮しやすくなります」これが臀筋ペダリングのメリットだ。
臀筋を使うメリット
股関節の伸展だけでペダリングができる
大腿四頭筋とハムストリングスは、股関節と膝関節の2つの関節が作用して、互いに拮抗し合ってブレーキをかけやすい。一方で股関節のみと連動する臀筋は、ペダリング動作に必要な太モモを下げる(股関節伸展)筋肉として、最も効率的。
大きな筋肉で大きなパワーを動員できる
臀筋は大臀筋と中臀筋、小臀筋をはじめ10の筋肉からなる大きな筋肉。そのため、長時間にわたり高い出力を発揮し続けることが求められる自転車競技に適している。股関節の伸展によるペダリングの踏み下ろし動作(図解の矢印の動き)は、臀筋が力強く収縮することで行われる。
ペースや傾斜に合わせて座る位置を変える
ペダリングは股関節を起点に、膝関節までの太モモの上げ下げだけで行うことが理想だ。ヒザ下のふくらはぎなどで踏むと上死点と下死点をスムーズに通過できず、ペダリングロスの原因になる。臀筋を積極的に使うことで、ヒザから下を脱力させることができる。
腰が安定してバイクコントロール能力が向上
臀筋の収縮により股関節からつながる左右の下肢だけをスムーズに上下動させるには、骨盤の安定が欠かせない。臀筋ペダリングを行う際は、おのずと骨盤から上の体幹部の安定が必要になる。それは、バイクのコントロール能力の向上にもつながっていく。
教えてくれた人
福田昌弘
トレーナー&フィッターで、ここでは臀筋の使い方を解説。グランフォンド世界選手権出場経験を持ち、ハムスタースピンスタジオではオンライントレーニング(1万5000円〜/税込)も実施。
※この記事はBiCYCLE CLUB 別冊[筧五郎のヒルクライム強化書]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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- CREDIT :
- TEXT:ハシケン PHOTO:小野口健太 ILLUST:SOHE
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