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山岳を征する軽量ホイールフルクラム・スピード25をハシケンが試乗レビュー|FULCRUM

ツール・ド・フランスをはじめレースシーンで数々の戦績を刻み続けるフルクラム。そんな生粋のレーシングホイールブランドが持つ最新テクノロジーの粋を結集することで誕生したスピード25。公表重量1285gを実現するこのブランド史上最軽量ディスクブレーキモデルを、自転車ジャーナリストのハシケンが試乗レビューする。

生粋のレーシングブランドが送り出す
「山岳を最速で駆け上がる」最軽量モデル

スピード25は、かつて山岳で速さを求める世界中のライダーを虜にした超軽量モデルのレーシングライトXLRからインスピレーションを受けて開発された。26mmのロープロファイルリムは、カーボンリム成型段階でDIMF(ダイレクト・インモールド・マット・フィニッシュ)を施すことで、重量を増加させる表面塗装処理を行わず軽さを追求。マット加工のリム表面が特徴だ。また、フルクラムおなじみのMo-Mag(モ・マグ)テクノロジーにより、スポークホールのないリム内面を実現し、リム剛性と強度を引き上げる。

リムにスポークホールがないのがMo-Magの特徴
リアホイールは左右非対称リムを採用

そして軽さだけでなく剛性レベルとバランスを高次元で実現。リム形状は前後で異なり、左右対称のフロントに対して、リアは左右非対称設計にすることで、効率的な駆動反応性を手にする。フロント・リアスポークともに24本。スポークアレンジは、フロントがノンディスク側のみがラジアル組なのに対して、リアは左右ともにクロス組みにすることでブレーキローター側とドライブトレイン側のバランスを整える。 ステンレス素材のエアロスポークが採用され、空力性能と剛性バランスを両立した。

回転性能をつかさどるハブは、スピード25の軽さを実現するため軽量性を追求したオリジナル設計。ハブ外部、内部ともに面積がミニマムに最適化されエアロダイナミクス性能もすぐれる。そして、アルミ製ボディはCNC切削ベアリングにUSBセラミック・ベアリングを採用し、標準的なベアリングと比べて50%もの転がり抵抗を抑えることができ、最高の回転性能を約束する。

チューブレス・リムテープ不要のリムベッドは、チューブレスタイヤとクリンチャータイヤにも対応する2-WAY FIT(ツー・ウェイ・フィット)仕様だ。

登坂性能を最大限に引き出すことを明確にして開発されたスピード25。公表重量1285gを実現したブランド史上最軽量ディスクブレーキホイールは、史上最高のクライミングパフォーマンスを手に入れることを約束する。

ハシケンによる試乗レビュー
「踏み抜きが軽く、少ないパワーで駆け上がる!」

今回は幸運にもある程度の長期間試乗することができた。筑波山や乗鞍といった山岳エリアで数日間しっかり乗り込むなか、スピード25の特性や魅力を感じとった。このホイールに第一に期待するところは、製品スペックからも山岳系のアグレッシブなシチュエーションにおける価値だ。実際、カタログ重量1285gを引っさげるスピード25は、フルクラムのディスクモデル史上最軽量だ。ブランドの歴史でもあるレーシングシリーズの頂点に立つレーシングゼロカーボンの1440gと比べても、その軽さが引き立つ。

実際、ヒルクライムシーンではペダリングの踏み抜きが軽く、トルクのかかる登坂シーンでは少ないパワーでもスムーズに駆け上がっていける。そして、ダンシングではバイクの振りの軽やかさに安定性も加わり、心地のよいライディングが印象的だ。リム内径21Cが安定性を引き出し、おなじみのUSBセラミックベアリングから生まれる穏やかな回転性能が軽量ホイールのパフォーマンスを総合的に高めている。

「上質さも味付けされており、長時間乗ってもストレスを感じにくい」

剛性バランスはけっして脚にくるようなスパルタンなレベルではなく、ロングヒルクライム終盤になっても疲労が蓄積しにくい。フルクラム・レーシングゼロカーボンのようなアグレッシブさはやや抑えつつ、上質さも味付けされており長時間乗ってもストレスを感じにくいモデル。今回、山岳を駆け巡ったなかで抱いた印象だ。

ただ、上りに特化したホイールでもない。平地での高速巡行シーンでは、スピードシリーズのディープリムモデルであるスピード44やスピード55に譲るが、時速30kmほどでは回転力を生かして進みがよい。先述したややアグレッシブさを抑えた剛性感も相まって、山岳ロングライドシーンにも最適だ。タイトな下りコーナーが続く乗鞍のダウンヒルセクションでも、小気味よいハンドリングを引き出し、気持ちよいほどにイメージどおりに下っていけた。

スピード25の魅力は、山岳以外にもある。フレームのエアロ化が進むなか、ホイールもセミディープ以上のモデルが増えている。そんななか、リム高26mmのロープロファイルは、横風にあおられる心配もなく日々のライドをシチュエーションにとらわれずに楽しめるだろう。

いずれにしても、近年、各社が軽さを追求した軽量なディスクモデルを生み出すなかで、現時点では1300g前後が軽量モデルの基準になりつつある。その点で、スピード25は山岳でパフォーマンスを引き上げる軽量モデルの中に斬り込んできた実力派モデルと言えるだろう。

製品情報

フルクラム・スピード25

希望小売価格(税込):HG11 380,600円、N3W 380,600円、XDR 381,700円

フロント
リア

SPEC

タイヤタイプ:2-WAY FIT(クリンチャー / チューブレス)
重量:1,285g
リム高:26mm
リム幅:27.6mm
インナー・リム幅:21mm
スポーク:ステンレス、ダブル・バテッド、エアロ、ストレート・プル F/24 R/24
ニップル:アルミ
ハブ:アルミ
ベアリング:USBセラミック・ベアリング

重量制限:120Kg(ライダー、バイク、アクセサリーの総重量)

問:カワシマサイクルサプライ
http://www.riogrande.co.jp

 

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PROFILE

ハシケン

Bicycle Club / スポーツジャーナリスト

ハシケン

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

ハシケンの記事一覧

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

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