BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

エアロ化とアイデンティティー|Specialized S-WORKS PREVAIL 3

ひと目見てそれとわかるプロダクトは、それだけで秀逸だと思う。「トレンド」の名のもとに右へ倣えでデザインが似通う自転車製品においてはなおさらだ。スペシャライズドの「PREVAIL」は、そんなデザインアイデンティティーを持つヘルメットだが、バージョン3になってもその面影はもちろんあった。

エアロより涼しさと軽さ

イメージするのは世界のトップレーサー。昨夏ここを通った五輪で、自国を代表した選手たちのあの走りと自分を重ねる三国峠。しかし止むことのない急勾配に、イメージどおりというわけにはいかない。ペダルのひと踏みごとに山頂へ近づいていると信じながら、ときにダンシングをしては、またサドルに腰を下ろす……。

真夏。こんな走りをしていると、エアロかどうかなんてどうでもよくなる。少しでも涼しく、軽いことが重要だ。暑いとか、フィットに違和感があると途端にペダルを踏む意欲が削がれてしまう。ヘルメットの話。

最大勾配20%のコンクリート路面をよろめきながら走り、霧の立ち込める山頂近くを走り抜け、たどり着いた山頂が晴れきっていることに驚きながらヘルメットを脱いで初めて、S-WORKS PREVAIL 3をかぶっていたことを思い出したのだった。この日初めて着用したにも関わらず、である。

PREVAILというアイデンティティー

スペシャライズドの「PREVAIL」はある意味で同ブランドを象徴するプロダクトだと思っていた。それというのも、「PREVAIL」には常に「PREVAIL」らしさがデザイン面にあったから。バイクは同じモデル名を冠していてもがらりと外観が変わりゆく時代にあって、このヘルメットは進化を遂げながら「らしさ」を失わないでいた。サングラス同様、各社のヘルメットが画一的なデザイントレンドに収束していくなかで、確たるアイデンティティーを誇っていたのが「PREVAIL」だ。

その新型たるS-WORKS PREVAIL 3にも、その「らしさ」がちゃんとある。でも、エアロ化という絶対的真理にはあらがえなかったのだろう、側面から見るとエアロヘルメットになった。しかし前面からみると、「PREVAIL」である。それも、洗練された印象がある。

その理由は、ヘルメットのシェルラインをつなぐ、AirCageと名付けられたアラミド繊維のケーブルにある。これまでのヘルメットに比べ、圧倒的に細くこれが洗練された印象と、大きな通気孔の獲得を実現した。一見頼りなく見えるが、このケーブルワークが衝撃を分散する最新のテクノロジーなのだという。

ヘルメットの評価において、最も重視されるべきはその安全性にある。しかし、実際に落車をしてみてレビューすることは心理・倫理的に不可能であるから、その評価はできないと言っていい。メーカーのプレゼンテーション以上のことを着用しただけで語ることは難しいが、Air Nodeと呼ばれる冷却性を重視した定評あるMIPSシステムや、ANGiというスペシャライズド独自の加速度センサー&セキュリティシステムの採用など、S-Worksプロダクトにふさわしくあらゆるテクノロジーを入れ込んでいる。

フィット感とバランスに嘆息

より実体験から語れるフィット感に関して言えば、日本人の丸形の頭部形状にもフィットする。シルエットがコンパクトにまとまっているので、前モデルよりもキノコ型にはなりにくい印象。

重量はMサイズ実測で301gと軽量ではないが、急勾配のダンシングで頭を振るような動きや低速域のヒルクライムでその存在が気にならなかったことを考えると驚きだ。着用時のウェイトバランスがよい印象で、ここは特筆すべきポイントだろう。200kmを超えるロングライドでもかぶりりたいと心から思える。

それでもヘルメットに意識を向けつつ走っていると、ひとつ気づいたことがある。それは、ストラップワークの妙。耳元にしっかりとフィットするストラップだが、まったく引っかかりもなく自然なのだ。こうしたストレスを感じさせない細部こそが、実重量に対しての快適性に寄与しているのだろう。

さて、冒頭で「エアロなんてどうでもいい」と書いた。緩斜面の下りで踏み込んでいくと、ある時点でふっと頭部の風切り音が少なくなった。速度域的には45-50km/hのところで、明らかに頭側部の風抜けがよくなる感覚があったのだ。もちろんこんなスピードでずっと走り続けられないから、ひとときの夢見心地ではあったのだが、そのエアロ性能は低速になっても効いてくるだろう。なんといっても、風切り音が少ないというのも、ストレスが少なくライドに集中させてくれる要素でもある。

よりレーサーな向きには、この速度域はどんぴしゃであることと思う。S-Worksの面目躍如。このヘルメットの性能を引き出すために、もっと速く走りたくなる。そう思わせるヘルメットなんて、そうそうあるものではない。

製品情報

S-WORKS PREVAIL 3

価格:33,000円(税込)
サイズ:Round S (51-56cm)、Round M (55-59cm)、Round L (58-62cm)
カラー:ホワイト、ブラック、ホワイトマウンテン、ビビッドレッド

製品ページはこちら

問:スペシャライズド・ジャパン
https://www.specialized.com/jp/ja/

SHARE

PROFILE

小俣 雄風太

小俣 雄風太

アウトドアスポーツメディアの編集長を経てフリーランスへ。その土地の風土を体感できる方法として釣りと自転車の可能性に魅せられ、現在「バイク&フィッシュ」のジャーナルメディアを製作中。@yufta

小俣 雄風太の記事一覧

アウトドアスポーツメディアの編集長を経てフリーランスへ。その土地の風土を体感できる方法として釣りと自転車の可能性に魅せられ、現在「バイク&フィッシュ」のジャーナルメディアを製作中。@yufta

小俣 雄風太の記事一覧

No more pages to load