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最高の自転車空間が広がる長野県白馬村を遊びつくそう!

1990年代、「春岩(はるいわ)」「秋岩(あきいわ)」と呼ばれたレースで、日本のMTB人気をけん引した長野県の白馬村。あれから20数年。同村は、地域住民やアウトドアを愛する人たちとともに村のリブランディングに取り組みながらMTBもロードバイクも楽しめるマウンテンリゾートを作り上げている。

「また来たい」魅力に包まれた白馬村

今、長野県の白馬村が熱い。MTBやロードバイクのイベントは年間を通じて10を超えていて、地域レベルの小規模なものも含めるとさらに多くなる。

かつて白馬村は、1995年から2001年まで岩岳でMTBの全日本レベルの大会を開催していたこともあって、自転車とは縁の深いまち。MTB乗りが里山や無数にあるトレイルを走る光景が長く続くなか、15年に村の自転車関係者が集まり「また自転車で盛り上げたいね」とサイクルツーリズムの取り組みが始まった。そのキーパーソンのひとり、白馬岩岳MTBパークでイベント事業に携わる堀 勇さんは次のように話す。

「白馬は自然が多く、『また来たい』と思わせるような美しい景色が魅力。とくに人を魅了するのが北アルプスの白馬三山です。夏は登山、冬はウインタースポーツでにぎわうことから宿泊&飲食施設が多く、18年に白馬マウンテンハーバー(絶景テラスが有名)が完成したことで、村はよりリゾート感の漂う空間になりました。そのころから自転車のイベントも増えています」

一方、ロードバイクの分野では、10年の第2回アルプスあづみのセンチュリーライド(AACR)から白馬村がコースに組み込まれ、12年には大町市・白馬村・小川村・長野市を回る北アルプス山麓グランフォンドがスタート。大会の知名度が上がるにつれてロード乗りが多く見られるようになった。「白馬を走ると野生になれますね」とほほ笑むのは、北アルプス山麓グランフォンドのルート立案や八方黒菱ヒルクライムの実行委員を務める大島理彦さん。大自然があり、おいしい空気があり、シカやクマなどの動物に出合うこともよくあるそうだ。

白馬の風景はよく「ヨーロッパのよう」と言われる。冬に雪が降り四季をしっかりと感じられることから、日本人のみならず外国人からの人気も高い。

 

MTBとロードバイクの聖地へ

白馬村でイベントが増えているのには恵まれたフィールドや自転車を楽しむ住民が多いことがあるが、白馬村観光局によるサポートも大きい。自転車イベントの誘致はとくにしていないものの、観光局では「やりたい」と手を挙げてくれる主催者に対して、地域住民とのつなぎ役を買って出ている。イベントの申請方法の助言をはじめ、企画主旨や想定ルートを踏まえて各地域の区長や村内の事業者を紹介し、おたがいの信頼関係構築を助けている。また、「我が物顔でたくさんの自転車が走り回っている……」といった誤解を生まないように、村の広報システムを使って開催告知を全戸配布するなど周知も徹底している。こうした活動が実を結びイベントに対する苦情はほとんどない。

堀さんは地元の印象を「若いころにスキーで海外を見て回った経験があるとか、地元に白馬マウンテンバイククラブがあることから、もともとスポーツに対してウエルカムな人が多いですね」と話す。「八方黒菱ヒルクライムのテスト大会時に、白馬高校のスキー部員に運営を手伝ってもらいました。白馬の子が応援するなら私たちも協力するというような、やさしい人が多い土地柄です」と大島さん。

白馬村は、村の南北にほぼ平たんの道が続き、東西に向かうと山々へ入る峠道が延びている。自身のレベルに合わせたコース選びがしやすく、MTBでもロードバイクでも楽しめる。そして、なにより地元の自転車愛が深い。このような自治体は全国を見渡してもないだろう。

国内最大級のMTBイベントがあったころにMTBの聖地と呼ばれた同村は、時代の流れとともに一大マウンテンリゾートへと生まれ変わり、「MTB&ロードバイクの聖地」として新たな道を歩み始めている。

「どんなレベルでも楽しめる多彩なコースを」(堀さん)

「白馬岩岳MTBパークのコースは、オーストラリアからトレイルビルダーを招いて造成したもの。山頂を周遊するコースや初級・中級、上級者向けのダウンヒル、クロスカントリーコースがあり、レベルを問わずに楽しめます。白馬村の住人は、自分が何を楽しみに暮らしているのかを大切にする自由な人が多いです。それが村外から遊びに訪れる人をおおらかに迎え入れることにもつながっています」

堀 勇さん

2001年に愛知県から移住。MTBのガイドツアーを主催し、村の小中学生を対象に白馬マウンテンバイククラブを設立。15年に白馬岩岳MTBパークの関連会社スパイシーでコース造営やイベントを担当。

「スポーツ好きにとって受け皿の大きい白馬村」(大島さん)

「スポーツ好きの私には白馬村は天国のような所。自転車で走れるオンロードやオフロードが十分にあって、水辺や空のアクティビティなど、できないスポーツを探すのが難しいくらいです。とても受け皿の大きい村だと思います。自転車イベントでは事故を起こさないことを信条に、魅力あるイベント運営を目指していきたいと考えています」

大島理彦さん

2007年に愛知県から移住。元長野県国体選手で、現在は長野県自転車競技連盟の強化委員コーチ。八方黒菱ヒルクライム大会や、長野県内のコースを紹介するナガイチプロジェクトなども手がけている。

競技志向からファンライドまでイベントが豊富

4・5月

アルプスあづみのセンチュリーライド(AACR)

松本市を起点に白馬村で折り返すロングライドイベント。仁科三湖(青木湖・木崎湖・中綱湖)を抜けると白馬村の美しい景色が参加者を出迎える。開催は桜の季節の4月と新緑の季節の5月。各2000名の動員を誇る。

6月

白馬グラベルフェス

©kitecreations

2022年初開催。白馬村を舞台にオンとオフが混在したルートを2日間に分けて走破する。コースには白馬岩岳MTBパークも含まれている。順位はつくものの、みんなで大自然を楽しむ和気あいあいとしたイベント。

初日は約70km。2日目は約70㎞を1周もしくは2周する最大210kmを設定 ©kitecreations

ダウンヒルシリーズ・エンデューロナショナルシリーズ

白馬岩岳MTBパークのコースには、初級・中級・上級のダウンヒルをはじめ、山岳周遊、クロスカントリーなどがある。毎年、ダウンヒルやエンデューロのシリーズ戦も行われていて、全国からトップライダーが集まる。

キャンディ バイク フェスティバル

2022年初開催。未就学児から参加できる子ども向けMTBイベント。「いつか白馬でMTBワールドカップを」「白馬の自然の中で親子や友だちと楽しく遊ぶ」を合言葉に、地元の白馬マウンテンバイククラブが主催。

コース1周回ごとにイベントのスタッフとじゃんけんして飴を獲得。その総数を競う

7月

北アルプス山麓グランフォンド

鹿島槍スキー場を起点に白馬三山や爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳などの名峰に囲まれたエリアを回る。名物のスペシャルクラスは距離165km、獲得標高3500mと非常に脚応え(?)がある。絶景ライドを楽しもう。

地元の方のサポートが手厚く、エイドステーションでは各地区の自慢の郷土料理が振る舞われる

OMM LITE/BIKE HAKUBA,OTARI

馬村・小谷村に設けられたチェックポイントを巡ってフィニッシュまで戻るロゲイニング形式のレース。ランナーも含む複合型イベントで、レース後は友人や家族とキャンプを楽しむ。

1チーム2名〜5名のチームエントリー制で、2日間開催

8月

JOCジュニアオリンピックカップ

PHOTO:伊東秀洋

JOCジュニアオリンピックカップ/全国ユース選抜マウンテンバイク大会を開催。1998年の長野五輪で使われた白馬クロスカントリー競技場(スノーハープ)で熱戦が繰り広げられる。

ユース(U18、U15)のほか、小学生やキッズのレースもある  PHOTO:伊東秀洋

10月

白馬サイクルフェスタ

指定されたチェックポイントを回りながら、エイドステーションで「白馬の食」に舌鼓を打つ、ビギナーも気軽に参加できるイベント。どういう順番で、どこを回るかはあなた次第!

八方黒菱ヒルクライム大会

北アルプスの絶景の中を駆け上る、記念すべき第1回大会が10月29日(土)、30日(日)に開催。スポーツクラスは日曜の1本、エキスパートクラスは土曜・日曜の合計タイムで競う。

大会では安全な乗り方講座も開催。スキルアップも図れる

白馬村観光公式サイト

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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