紅葉の秋に行きたい! 栃木・奥鬼怒スーパー林道のグラベルを走って秘湯を楽しむ
Bicycle Club編集部
- 2022年10月18日
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紅葉の時期におススメしたい栃木県日光エリア。紅葉は10月中旬、まさに今が最盛期だ。そのなかでもさらにディープな奥鬼怒はグラベルライドをするには絶好のエリアだ。今回走った奥鬼怒温泉郷へ向かう奥鬼怒スーパー林道は、許可車両のほか、届け出を出した自転車のみしか走れないため、交通量が少なく気持ちよくライドが楽しめる。
ここでは奥鬼怒温泉郷の秘湯とグラベルライドを楽しむ1泊2日ツアー「OKUKINU Gravel Cruising」の模様をお届けする。
ぜいたくなメンバーと行く秘湯グラベルライドツアー「OKUKINU Gravel Cruising」
今回紹介するコースは栃木県日光市、東武鬼怒川線鬼怒川温泉駅をスタートし、途中で渓谷の絶景を楽しむショートハイクなども楽しみながら、鬼怒川沿いをその源流部へ向けてさかのぼり、関東最後の秘境と言われる奥⻤怒温泉郷を目指すもの。ハードにそして豪華にグラベルライドを楽しみたい人にうってつけのルートだ。
夏の終わりにライドエクスペリエンスの山本徹也さんがガイドするモニターツアーが実施され、日本屈指のライダーが鬼怒川温泉駅前に終結した。メンバーは元プロロード選手で世界各地のブルべで活躍する三船雅彦さん、キャノンデールジャパンの山本和弘さんと伊藤浩希さん、ラルートの安井行生さん、そして編集部からは山口が参加してきた。
日本ではまだまだなじみの薄いライドツアー。仕事柄、各地でライドツアーを体験させていただいてきたが、プランニングや時間配分に気を使わなくてよく、さらに荷物を持たずに連泊できるのは至極の楽しみ方だ。
さて、鬼怒川温泉をスタートするといきなり景勝地、龍王狭が待っている。少し歩くだけで国道から見える風景とはまた違った鬼怒川が広がっている。普段のライドならついつい飛ばしたくなるところで止まり、観光するのもツアーならではの楽しいところだ。
さて、再び走り始めるとこんどは国道121号を外れて旧道へ、さらにその脇にあるグラベルロードへ案内してくれる。こうしたローカルじゃないと発見できない道を楽しめるのもツアーのいいところだ。
ひたすら上り続け、うまいそばで腹ごしらえ
さて、この日はひたすら上り基調のルート。じわじわと上っていく。
そんなルート上に現れたのがそば屋。ちょうど良いタイミングでおいしいものが食べられる。この辺りもツアーの醍醐味だろう。
さらに県道23号を進み、瀬戸合狭では脇道に入って川俣ダムを見学する。ダムまでは300mほど歩くが、歩く甲斐があるだけの迫力の風景が待っている。ダム下を望むとその落差は100mを超えるのだ。
林道のゲートを抜けて、憧れの奥鬼怒スーパー林道へ
さて、間欠泉で知られる川俣温泉を過ぎると今回のクライマックス奥鬼怒スーパー林道の入り口にたどり着く。奥鬼怒スーパー林道は原則、許可を得たクルマしか通ることができず、奥鬼怒温泉郷へ行くには宿が用意するマイクロバスに乗り換えていくしかなかった。それが2021年からは自転車に限り届け出をすことで走れるようになったのだ。
届け出は簡単で、女夫渕バス停市営駐車場にある専用ボックスに名前、住所などを記入した参加届を提出するだけだ(届け出は旅館「加仁湯」、「八丁の湯」でも可能)。
禁断の林道のゲートを正式な許可を得て通るのはなんともいえない快感がある。普通のクルマでは来られない秘境へ、自転車で来た感動は何とも言えない。
じつは編集部山口、20数年前にこの奥鬼怒で林道ツーリングした記憶がある。「奥鬼怒スーパー林道は自転車で走行することができなかった」ということだけは覚えている。
現在ではこうして奥鬼怒スーパー林道の一部が自転車に解放され、走ることができる。それも入り口にあるポストに届け出を記入して投函するだけ、いい時代になったものだ。この走れる環境を作ったのは奥鬼怒の温泉4軒の合意があってのこと。これには感謝しかない。
滝の脇の秘湯を満喫、夜は満点の星空
奥鬼怒スーパー林道は5~6%くらいのほどよいスロープが続き、スケールの大きな山々の景色が待っている。この日は、太陽が傾きかける前に加仁湯の建物が見えてきた。
我々は加仁湯に宿泊したが、ほど近くにある八丁の湯でも入浴することができた。八丁の湯は滝の脇にある温泉で、自然の公園のなかにある露天風呂が楽しめる。もちろん加仁湯も温泉でそれぞれ違った湯質を楽しめるのが面白い。この2つの温泉は日帰り利用もできるので、日帰り温泉を楽しむグラベルライドというのも面白いかもしれない。
我々のグループのほか、eバイクで訪れていた宿泊客もいた。日光周辺をクルマとeバイクを組み合わせて乗っているという。奥鬼怒スーパー林道だけをeバイクで楽しみにくるのもいいだろう。
奥鬼怒スーパー林道だけじゃない、楽しいグラベルコース
2日目は小雨が降る静かな森の中、走り出す前にライドエクスペリエンス山本さんがミル挽きコーヒーを飲んでからぜいたくな1日が始まった。早速、昨日上ってきた約8㎞の奥鬼怒スーパー林道のダウンヒル。ついつい高速になってしまい、メンバーがパンクしてしまう。ただ、ツアーならではのサポートがあるためあっという間に復帰し、まさに快走ダウンヒルを楽しんだ。
ダム湖の湖岸を走る10㎞を超えるグラベルルート
初日とは違った川俣湖の湖岸の高速グラベルルートを進む。天気も徐々に回復し、メンバーたちは水たまりをジャブジャブ突き進んでいく。これは快感だ。のんびりしたライドもいつしかペースは上がり、まさに本気のライドそのものを楽しんだ。
山の神を拝んだ後は平家の里へ
グラベルを抜け、峠を上ると山の神が祭られている稜線に到着する。ここで県道350号と合流する。日差しも戻り暑いくらいの天気になってきた。残念ながら薄曇りで遠くまでは見渡せないが、気持ちのいいルートを下ることになる。さらに県道249号を下るが雪囲いがある道で、冬の時期は通行止めになる秘境だ。
最大の上りを越え、12㎞ほど下ってから平家の里で食事を楽しんだ。
走りながら、歴史や文化をひもづけながらライドを楽しむという三船さん。「平家がここまで来たのはなんでだろうか?」と。この秘境に平家の落人が集落を作ったとは言うが、ここへ来るには理由があるはずだという。
前日の加仁湯では、奥鬼怒温泉の近くに金山があり、その金を求めて山へ入った結果温泉が見つかったのだという話を聞いた。理由があって道は切り開かれる。僕たちが自転車で走るルートは登山とも違いあくまでも人間の文化圏だ。それは自然を切り開いてきた先人たちの生活の道であり、歴史や文化があるからこそこうした秘境でも道がある。こうした歴史や文化を感じながら走れるのも奥鬼怒エリアの魅力の一つだ。
ダム湖に沈む神秘的な林を見た後で、名物メンチカツをいただく
さて、ツアーはいよいよ大詰め。あとは舗装路をひたすら鬼怒川温泉を目指して下るだけだ。途中、湯西川湖に出ると幻想的な風景が広がる。「ダム湖に沈んだ林が枯木として立ち並んでいて、なんともいえない感じがたまりません」とガイドの山本さん。ここ湯西川ダムでもさらにダムカードを獲得した一行は川治へと進む。
小腹がすいたところで名物の坂文精肉店でメンチカツをいただく。笑顔が素敵な店主の作るメンチカツでエネルギーと元気をいただいた。あとは残り10㎞下ればスタートした鬼怒川温泉へ戻り、フィニッシュとなる。奥鬼怒温泉駅からは輪行すれば東京までは東武線特急で約2時間、温泉で汗を流してあとは電車に乗るだけだ。旅の画像をみんなでシェアしてから帰路についた。
まだまだ走り足りない、日光・奥鬼怒エリア
今回は1泊2日だったが、日光・奥鬼怒にはまだまだ走ってみたいルートがいっぱいある。今回通った川俣温泉から山王峠を抜けると戦場ヶ原へ抜けられ、いろは坂を下って戻ってくることもできる。さらに金精峠を抜けて群馬県沼田まで抜けることもできる。ぜひ、紅葉の時期に奥鬼怒へ行くことをお勧めする。
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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