BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

70年代のナショナルフレームを発掘、メッキ面を生かしたレストアに挑戦

見たところブランド名もなく、どこのものかわからないフレーム。日本製ということはわかる。そして作りがていねいなことも。フレームの素性を探求し、時代に適したパーツでロードを作ってみよう!

今回は地方のとあるショップの倉庫で見つけた70年代のフレーム。ハンガー裏にナショナルとあるがマスプロ車とは思えない作りだ。果たしてどう生まれ変わるのか?

レイノルズ531のナショナル!?

梨地の仕上げは下地メッキのようだ。前の持ち主が剥離剤で塗装を落としたのだろう。ハンガー裏を見るとナショナル製なのは、すぐわかる。剥離されたことでパイプ名まで分かる。REYNOLS 531 BDの刻印、70年代では最高級素材。当時の最高レベルのロード。ワークスレーサーだった可能性も。

当時としては精度に自信がある場合にしか使われなかったストレートエンド
ハンガーにナショナルの刻印。470184とあるのは昭和47年(1972年)製の184本めか
72年なら前衛的なシート部。シート径は27.2mmで薄いパイプが使われる
決定的なのは各パイプにあるレイノルズ531の刻印

ナショナル531フレームをリフレッシュ

1972年製とおぼしきナショナルフレーム。パイプのよさからして、ワークス級の本格レーサーだった可能性が高い。
フレームのよさと、もうひとつ特徴的なのがメッキだ。フォークのコラム部などに塗料が残っていて、もとはイエローだったことが分かる。フレームの剥離にプロはあまり剥離剤を使わない。手間だからだ、スクレイパーでこすり落とすのに半日かかる。プロならサンドブラストで数十分だ。
ただこの苦労ゆえ531の刻印が発見された。作業をムダにしないために、塗装しないでこのメッキ面は生かすことに。

シートチューブの凹みをステンレスハンダで修復

気になるのは、シートチューブにある凹み。フロントメカバンドの締めすぎだろう。さて修復となると、通常はロウで埋める。今回、ステンレスハンダでへこみを埋めてみた。メッキの上にハンダはのるので、剥離の必要がない。ハンダは融点も低く、手持ちバーナーでも大丈夫だ。フレーム工房でない素人でもできる画期的なへこみ直しだ。

フロントメカバンドによるへこみ。薄いレーシングパイプにありがちな損傷。チェーンリングの大きさが変わると目立つので直しておきたい
メッキにハンダはのる。塗装なら剥離をしなければならないので、メッキフレームは便利だ。より付きをよくするために一応ヤスリをかける
ステンレスハンダ用のフラックスを塗る。たっぷりとパイプが濡れて、下にしたたるぐらい。フラックスが十分なことが大切
ガス缶バーナーであぶってハンダをパイプの上に盛る。ハンダの融点は200℃程度とロウの1000℃にくらべ低い。ターボライターでも可
ステンレスハンダを盛った状態。パイプのへこみ直しは、機械的な接着強度が不安なのでハンダで十分かもしれない。熱による悪影響もない
フラックスは、熱湯で溶ける。お湯を注げば、フラックスはきれいに溶けて流れる。フラックスを削り落とそうとすると手間がかかる
ヤスリをかけて盛ったハンダを削っていく。このあたりの作業は、ロウを盛ってからの作業と同じだが、ハンダのほうが柔らかいのでラク
ステンレスハンダで、みごとに凹みを修復した。紙ヤスリで仕上げたところが、メッキ部分よりピカピカに仕上がってしまった

残った塗装などを剥離する

フォークに残っていた下玉押しを外してみるとその下にもイエローの塗料が。前の持ち主は、ヘッドパーツを外す工具を持っていなかったに違いない。残った塗料を、剥離剤を使って除去する。またサビの進行をとめるためにクリアを塗るので、ヘッドバッジなども外しておく。

剥離剤を塗って、残った塗料をはがす。剥離剤による手作業だと、やはりこういうところに塗料が残りがち
強力な両面テープでつくバッジ。バーナーで温めると接着剤が溶けて、細いドライバーで簡単に持ち上がる

サビ落とし&クリアでサビ止め

塗装を落としてから月日が経過しており、メッキの薄いハンガーの部分などかなりサビが進行している。いちどサビを溶かし落とす。それからクリア塗装を施してサビが進行するのを止める。ついでに内部の防錆処理もしておきたい。

全体的に点々とでてきているサビを溶かし、リン酸皮膜化してサビ止め
メッキでも外気にさらされているとサビていきやすい。缶スプレーのクリアでペイントすることで、コーティングしてサビ止め
フレームが乾いているうちに、防錆スプレーをかける。シート部や水抜き穴などからフレームのパイプの中へスプレーする

味のある素材感のメッキクリア仕上げ!

こちらが完成したフレーム。仕上げにレイノルズ531のレプリカシールを貼る。デカールチューンではなく、フレームパイプのほうは本物だ。

※この記事はBiCYCLECLUB別冊[クロモリバイク徹底レストアBOOK]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

SHARE

PROFILE

ニシヤマ

Bicycle Club / 副編集長

ニシヤマ

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

ニシヤマの記事一覧

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

ニシヤマの記事一覧

No more pages to load