BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

筧 五郎が行く「道路の起点」日本橋から自転車でスタートする東海道の旅

ヒルクライムやシクロクロスで活躍する筧 五郎さん。レースで活躍するイメージが強い五郎さんだがそのライフワークの一つに「自転車の旅」がある。ここでは五郎さんが思い入れのある東京・日本橋から国道1号を縫いながら小田原まで東海道を走るなかで、今考えていることをつづった。

道には起点と終点がある。日本橋はまさに起点

道には起点と終点がある。
江戸時代、道中奉行が五街道である東海道、中山道、甲州街道、奥州道、日光道を支配し整備などを行った。その五街道の起点、すなわちスタート地点がここ日本橋だ。今では日本を代表する国道の起点がここ日本橋にある。

  • 大阪府大阪市が終点の国道1号
  • 青森県青森市が終点の国道4号(現地点で742㎞と日本一長い国道)
  • 宮城県仙台市が終点の国道6号
  • 千葉県千葉市が終点の国道14号
  • 神奈川県横浜市が終点の国道15号
  • 新潟県新潟市が終点の国道17号
  • 長野県塩尻市が終点の国道20号

今回の旅のスタートをなぜに日本橋を選んだのかと言うと、ぼくの私情がかなり入ってしまうがお付き合いいただこう。

2022年2月に仕事で東京訪れた際に、観光がてら歩いていると偶然にも日本橋にある麒麟像を見つけた。この麒麟像から少し離れた場所には道路元標地点碑があり、その説明書きを読んでみると「ここが道路の起点である」と知った。

自転車30年乗っていて 初めて日本橋が道路元標地、道の起点だということに気付いたのだ(笑)。

これが日本の道路元標地の碑。オリジナルは道路に埋め込まれている

ぼくは走りに行った土地や人など「またここへ来たいな、また会いたいなぁ」と思う場所へ、再度訪れることが多い。リピート癖があるのだ。

例えば、そんなリピートすることが多いの場所の一つが青森県だったりする。

バイシクルクラブの仕事で白神山地へ訪れ、1年後の冬に撮影で訪れその秋にも訪れた。その時は「この綺麗な土地をまた走りに来たいなぁ」と思ったのだ。それを「思いを残してくる、気持ちを残してくる」と僕の中で考えている。

▼筧 五郎さんの白神山地の旅はこちら
日本屈指のグラベル、青森・白神ラインを目指す|筧五郎が青森・白神を往く【前編】

日本屈指のグラベル、青森・白神ラインを目指す|筧五郎が青森・白神を往く【前編】

2021年04月21日

もっとも思いを残してくる場所のひとつが「日本橋」

麒麟像を見つめる。マジマジと見てしまった。この盛り合った筋肉にドラゴンの顔、そして翼

そのリピートしたい場所、ここ最近で一番強く来いと思っていたのがここ日本橋だ。日本橋の横にひっそりと存在する道路元標地点碑を見て、ここからスタートする自転車の旅をしたいと思ったからだ。

じつは今年1月1日にコロナにかかってしまい、寝ているしかない状況でいろいろと考える時間ができた。仕事の事、自転車への取り組み方などを考えていくなかで「これからは考えを変えていかないといけないな。頭のなかのOSを変えることはできないが、アップグレードをする事は可能だ。そのアップグレードは新しい刺激を入れる事じゃないか」と思っていた。「新しいスタートを日本橋から始めたい」その思いが、日本橋をリピートしたくなった理由だ。

仕事で東京へ行く機会があったので、帰りはすべての道路の起点「日本橋」から新たなスタートし、行けるところまで走ってみたいと思った。ということで旧知のバイシクルクラブ山口編集長を誘い、ガイド役をお願いすることにした。

銀座を抜けて品川へ、このままいけば名古屋だっていける

銀座と言えばこの和光の時計台。スタート時間が早朝ということもあり、人通りが少なった。人に平等に与えられているのは、時間なのだ。その時間を刻むこのセイコーの時計台を見られた事が良かった

僕の新たな考えの始まり、新たな人生の始まり、すべての道路の始まりが日本橋だ。走りたかった場所からスタートできる幸せを麒麟像を見ながら感じていると、涙かでてきた。これは興奮ではなく、ここから新たな人生の旅が始まるなぁって思いだ。

ゴールして泣く事はあるけれど スタート前から泣いてしまう事は初めてだった。今回は6時過ぎにスタートした東京はいつもにはない静かな顔が見える。

日本橋は反対方向と教えてくれる。来た道は戻れないけれど、先へは進める。過去へは戻れないが未来へは進むことができる

銀座を抜けてから国道15号を進むといつしか品川駅前を過ぎていった。普段なら新幹線で自宅のある名古屋まで帰るが、今回はもっと自転車に乗ろうと心に誓い、あえて自転車でスタートした。

「スピードが遅くても、クランクを回せばいつかは峠の頂上に着くし、ゴールにたどり着く。激坂で勾配がきつく足が地面に着いたとしても、息が整うまでその場で休憩し、同じ場所からスタートすれば良いと思う。3回、足が付いたとしても、次は2回、その次は1回、その次は 1回も着かずに上り切れる。諦めない事の大切さそれを教えてくれたのは自転車だった。クランクを回せばいつかゴールへたどり着く。終わらない峠はない」

こんなことを考えながら進んでいくと、東京都から神奈川県の境にあたる多摩川へたどり着いた。

東京都と神奈川県の境が多摩川。ここが金八先生が歩いていた場所かとおもったが、それは荒川だと教えられた

駅伝の中継所鶴見へ、そこで伝えることを考えてみた

いつもテレビで見る箱根駅伝の鶴見中継所。その横にタスキをつなぐ銅像があった

神奈川県に入り、川崎を抜けると鶴見にたどり着いた。国道15号の道路わきには箱根駅伝でおなじみの鶴見中継所があり、モニュメントが立っていた。駅伝の選手たちがまさにバトンを渡す場所で像を見ているうちに仕事のことを考えた。

「僕がお店で行っている自転車の乗り方を教えるローラー教室を、最近他のお店でも行い、新しい生徒さんを指導しはじめている。今まで出合う事が無かった方たちと会話する事ができ、それをひと月間行ったら、いろいろな方と知り合う機会があり、今までの僕の教え方では伝わらない。伝えるためには言葉をいろいろと変えたり、その言葉を自分が言われたときにどう受け止められるのか? とトレーニングする際にも試してみたりした」

受けとる側と、受け渡す側。
すでにできてる人と、まだできない人。

どう相手に言葉を掛ければいいのか? そう考えているうちに、僕の頭の中がどんどんとリフレッシュしていく感覚が襲ってきた。

聞けば第二次大戦中の機銃掃射の跡が残っているという国道駅
国道駅。素晴らしいネーミングな駅だと思った。ゲート下がもう昭和感満載で心落ち着く

今回、バイシクルクラブ編集長の山口さんに案内してもらいながら走っていると、新たな発見があった。鶴見にあるJR鶴見線の国道駅や横浜みなとみらいを案内してもらうと、また違った景色があった。いままでなら、立ち止まらずにひたすら目的を目指していただろう。

ふと、いままでの自分の考えを振り返るとプライド高く「俺が俺が」の生き方だったことに気付いた。「僕がこうしてやって来た」から一歩引いて人の話を聞いてみた。「この人にはどんな才能があるのだろう?」「どんな教え方であれば伝わるのか?」と考えるようになったら、生きていくのがとても楽になったのだ。

美しい姿から海の貴婦人と言われている日本丸。姉妹船である海王丸は富山県のみなとオアシス海王丸パークにある。帆船は立ち姿が美しい
橋の上に線路? 片側の線路のみ保存されている。この橋はアメリカ製だというから驚きだ

その後、磯子をぬけて港南台を通って原宿交差点で国道1号へ戻った。ここで山口さんと分かれたあとは国道1号で小田原駅へ向かったが、雨が降ってきたので小田原駅からは新幹線に乗ることにした。

今回、国道をひたすら走るのではなく、あえて寄り道をしたことで新たな発見があった。

筧 五郎

全日本マウンテンサイクリングin乗鞍で優勝したほか、シクロクロスマスターズ元日本チャンピオン。NHKチャリダー☆男子部監督としても知られるが、酷道の旅をライフワークとする56サイクル店主で、名古屋でメンテナンスやトレーニング指導を行う。
www.56cycle.com

サイクルモードに筧 五郎さんが登場
4月15日17時~ バイシクルクラブブース(S-904)
筧 五郎の人生は山あり谷あり「酷道の旅トーク」

五郎さんのライフワークは「酷道の旅」、「なぜ走り続けるのか?」をテーマにバイシクルクラブ編集長山口とトーク。みなさんからの質問や相談にもお答えします!

 

SHARE

PROFILE

Bicycle Club編集部

Bicycle Club編集部

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

No more pages to load