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大阪〜東京間を18時間28分で走った「ジャック・ウルトラサイクリスト」に話を聞いた

2023年4月7日、「JACK ULTRACYCLIST(ジャック・ウルトラサイクリスト)」が、大阪~東京、520kmのキャノンボールライドを18時間28分で走り切った。人間と自転車との可能性の極限を超えるウルトラサイクリスト、ジャック・トンプソンに話を聞いた。

JACK ULTRACYCLISTの実績と家族に支えられて走る理由

「ジャック・ウルトラサイクリスト」とは、ジャック・トンプソンのニックネーム。「人間がサイクリングでできることの限界を追求しています」とはジャックの自己紹介だ。2016年から今日までに、ウルトラという名に恥じない圧倒的な数字の記録を自転車で走り打ち立ててきた。

2016年にヨーロッパで開催された第4回大陸横断レースを完走、このレースで30位を獲得したことで、ウルトラ魂に火がついた。2017年には、ヒマラヤ遠征で1829kmを完走。2020年は1週間最長距離のギネス記録、3,505km、合計113時間。2022年末には1年間での獲得標高100万メートルを達成し、40万ドル(約5300万円)の基金を集めた。

そしてこれら挑戦のライドを、動画という形でユーチューブに発表している。動画には走りのドキュメントだけでなく、それぞれサブテーマがある。

走った先の文化や出会った人々、そして心の健康に関わるテーマが走りの模様と共に動画を紡ぎあげる。そんなライド=作品群は、公式ウェブサイトにまとめられている。

そんな中でもこれまでで一番辛かった挑戦は? と聞くと、

「2022年の『エベレストチャレンジ』で1年間で標高100万メートルを達成した時ですね。1年に渡り毎週エベレストと同じ標高を登るというチャレンジだったのですが、その期間に自分の人生というのがほとんど持てなかったのが辛かったです。しかも基金もかかっていたので、精神的にも大変でした」という。

父親の勧めで始めたサイクリングに救われた

彼の経歴を見ると『メンタルヘルス』心の健康、というキーワードが多く出てくる。というのも、彼が走る理由に、うつ病を克服するため、というものがあるからだ。

子どもの頃から精神の浮き沈みに悩んでいたジャックは、大学時代にドラッグにハマり、結果リハビリ施設にまで入ってしまう。そのリハビリとして父に勧められたサイクリングで、ドラッグ依存症とうつ病を克服していった。

その特性からつい上を目指してしまうジャック、さらに上にという目標を作り、それに体を尽くすことで、落ち込む心を上げていく。

「限界を探るというメッセージを通して、がんばればなんとかなるよ、という事実を伝えられればいいと思っています。僕が挑戦する動画の中で、何かのヒントが見つかれば、それだけで単純にうれしいです」。

大阪〜東京で伝えたいのは「のぞみ」の心

今回の計画は、大阪府大阪市の『大阪市道路元標』をスタートし、東京都中央区の『日本国道路元標』まで走るもの。ロングライダーが24時間以内での走破を目指す「東京大阪キャノンボール」として知られるルートである

さまざまな走り方があるが、今回は迷いにくく少し長めのルートを、日本の東京・大阪キャノンボーラーとして著名な「ばる」さんより紹介されたそうだ。(『東京大阪キャノンボール研究』https://cannonball24.com/

スタート前のジャックに話を聞く機会があるとのことで、早速出かけて大阪のカフェで話を聞く。数々の過激な記録を打ち立ててきたジャックが、大阪→東京という1日のルートを選んだのはなぜだろう?

なぜ今回は日本を選んだのですか?

日本はこれまでスキーも含めて何度も来ているんですが、大好きな国で。それにすごく興味深い国ですから。人もそう、食べ物もそう、景色もすべてが刺激的です。去年はすごく辛く単調なプロジェクト、毎週同じ走りをしていたので、今年はもう少し短く、エキサイティングなプロジェクトの年にしたいというのがありました。

このライドを通して伝えたいのは?

みんなが日本をイメージする時に思いつくもののひとつが新幹線だと思います。ですから今回の走りは、その新幹線の名前のようなものになるんじゃないかと思っています。

大阪と東京とをつなぐ新幹線の名前は「のぞみ」ですね。希望という意味ですよね。今回のライドにも自分がコントロールできない状況、天気や路面状況などが多く現れると思います。その中でのチャレンジに「のぞみ」を込めるという意味です。

本当はいい天気の中で走りたかったんですけど、明日は大雨みたいなので、本当にのぞみをかけるしかない(笑)。

ライドの計画は?

まず明日は風が強いので、風向きが非常に大事です。風と交通量と両方考えて午前2時に出発して大阪の多い交通量から抜け出します。

名古屋には5時間で朝7時ぐらいに着く予定です。そこから浜松まで南に走る3時間が一番辛いセクションになるでしょうね。南から吹く風が向かい風になるからです。

その後の浜松からは追い風で、東京に着く時間は交通量が落ち着いた午後8時ぐらいを考えています。

4月7日の午前2時、ライドのスタートを見送った

さて2023年4月7日午前2時。大阪府の国道1号道路指標からスタートするジャックを見送った。

スタートは大阪府大阪市北区、梅田新道交差点にある『大阪市道路元標』。金色で小ぶりな指標のモニュメントである。フィニッシュとなる東京都中央区日本橋の『日本国道路元標』、こちらは全国の割と高めのタワーが立っている。

大阪からの午前2時スタートを参加したのは、ジャック、そしてフィルマーのニックとフォトグラファーのアレックス、そして彼の両親だ。

午前1時45分にホテルロビーでの待ち合わせに行くと、スペインの映像アーティスト2名が待っている。そこにジャックの両親が合流して、ジャックを待つ。

そこに降りてきたジャック。雨の中だが、サイクルジャージの上にウィンドブレーカー1枚羽織ったという身軽な格好だ。基本的に身軽な格好で、持っていくのは補給の大量のジェルと水、そして工具ぐらいだ。バイクはスペシャライズド・Sワークス ルーベ。ホイールはロバール・ラビーデCLX IIだ。

レンタカーのミニバンを父親が運転してジャックに同行する。クルマは記録する2人のためのもので、基本的に全て自分で持っていく。お母さんは東京まで新幹線で先回り、ジャックのパートナーと一緒にフィニッシュで待ち受けた。

天気は予想どおりの雨だ。天気予報でも7日は一日雨、風も強いという。ホテルから起点の大阪国1指標まで歩き、午前2時ちょうどにスタート。その背中を見送った。

そしてジャックは東京都中央区までの520kmを、18時間28分(走行時間を除いたネットタイムは17時間28分)で走り切り、FKT=Fastest Known Timeを達成した。走行後のジャックにコメントをもらった。

大阪~東京 FKTを達成したジャックのコメント

「道路の交通量はすごく悪く、特に雨が降っているから最悪でした。クレイジーでしたし、危なくもあって。でも終わってみればタイムも出たし、日本も楽しめたから良かったですね!」

そして今回の映像記録は、4月下旬には公開される予定だという。ジャックはこの大阪から東京までのライドの中で、どんなことに遭遇したのだろう。この発表を楽しみにしていたい。

ジャックにコースを教えた「ばる」さんのコメント

「出走当日は雨予報ということで心配していましたが、世界的なウルトラサイクリストに対しては杞憂だったようです。慣れない土地での挑戦にもかかわらず、いきなりの24時間切りの達成に驚きました。好記録おめでとうございます」

プロフィール Jack Thompson

ジャック・トンプソン⚫︎1988年オーストラリア生。ウルトラサイクリストとして2016年より活動。2020年に1週間走行距離ギネス記録、2023年には年間最多登板記録を達成。公式サイト:http://jackultracyclist.com、 インスタグラム  @jackultracyclist

これまでの主な記録

2017年:12カ月間で50,000kmを走行

2018年:台湾KOMをノンストップで720km&標高13,600mを56時間で走行

2019年:GP-1200 ジローナ~ポルトガル スペイン東海岸からポルトガルまで1,200km、獲得標高11,910mを走行

2020年:スペイン・バレンシアで7日間3,505kmを走行、ギネス記録達成

2021年:ツール・ド・フランスの全ルートを10日間で走行

2022年:年間100万m登坂記録達成

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PROFILE

Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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