男子エリートは沢田 時の独走勝利|クップドゥジャポンやわたはま国際XCOシリーズ第3戦
Bicycle Club編集部
- 2023年05月30日
5月26日から28日の3日間、クップドゥジャポンやわたはま国際XCOシリーズ第3戦が八幡浜市民スポーツパーク(愛媛県、八幡浜市)で行われた。
日本一のスピードコース、八幡浜で国際レース
大会初日となるday1は準備日、day2は3時間エンデューロとXCビギナー・カデット・キッズを実施。八幡浜市長の大城一郎さんも参加したほか、地元出身の俳優・宮本真希さんが1日限りのプレゼンターを務め、会場は大いに盛り上がった。
day3は、本大会のメインイベントである「やわたはま国際レース(UCI:Hors class/HC)」を実施。
ロードレースに例えるとジャパンカップと同等クラスのレースで、UCIポイントはエリート1位で100ポイント、U23は1位で60ポイントが付与される。パリオリンピック選考イヤーとなる今年は世界中の競技者にとって、1戦1戦が重要なレース。日本としても一人でも多くオリンピックに送り込むため、UCIポイントの獲得が重要視されている。
またUCIレースのため賞金も豪華で、1位には1000ユーロ+市長賞2139ユーロの計3139ユーロ(約44万円)が用意された。
注目の男子エリートは、スタートより沢田 時 (宇都宮ブリッツェン)、平林安里 (TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)、宮津 旭(PAX PROJECT)が飛び出し、沢田が30秒ほど先行したまま独走優勝を決めた。
表彰台争いはレース中盤に宮津が平林をかわして2位に浮上するも、パンクにより失速。ここ最近調子を上げてきている佐藤誠示 (SAGE’S STYLE)はパンクした宮津を抜いて3位に入った。
女子エリートはスタートと同時に小林あか里 (弱虫ペダルサイクリングチーム)が飛び出し、こちらも2位以下を一切寄せ付けない走りで独走。終始展開は変わらず、2位のYa Yu TSAI (Chinese Taipei Cycling Team)、3位のAriana EVANGELISTA (Philippine National MTB Team)を大きく引き離し1位を勝ち取った。
男子ジュニアは高橋 翔 (TeensMAP)現アジアチャンピオンが優勝するだろうという下馬評があったが、途中パンクに見舞われ、これをかわしたJohn Andre AGUJA (Go for Gold PHI)が優勝を飾った。
【男子エリート】
沢田 時(宇都宮ブリッツェン)
――八幡浜は2年前に全日本で勝っていますが去年は出られず、今回は優勝できましたね。いつもとは違う気合いの入りようだったと思いますが、宇都宮ブリッツェンに移籍をされ、新しいバイクでのレースはどうでしたか?(MCシンジ)
「本当に完璧なサポートをしてもらいました。チームはTOJへ行ってますが、今日ここで勝ててよかったです。勝てない日が続いてましたがチームを移籍してから確実に力がついてきて、宇都宮ブリッツェンからもたくさんの応援とサポートをもらい、今日勝つことができました。本当にありがとうございます」
【女子エリート】
小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)
「この大会は国内唯一のオークラスで、ヨーロッパだと本当にワールドカップレベルの選手たちがたくさん出てくるぐらいの格式の高いレースなんです。でもそんな大会が国内でこうやって開催されて、しかも優勝できたっていうのはすごくうれしく思ってます。八幡浜はスピードが勝敗を握るコースです。自分自身、スピードが出るコースには苦手意識がありましたが、今回優勝できたし、苦手なものを徐々に克服できたという感覚です。私にとってはすごく練習になったし、海外勢と戦えるすごくいい舞台かなって思ってます」
【男子ジュニア】
John Andre AGUJA (Go for Gold PHI)
「すごく良い経験ができた。エキサイティングな時間を過ごせてよかったと思います」
【男子ジュニア】
高橋 翔 (TeensMAP)
「1周目はJohn Andre AGUJA選手とパックで走って、2周目の序盤の上って下ったところでパンクしました。スローパンクだったのでそのままピットまで走ってたんですけど、そこで結構ロスして……。トップとかなり差が開いたんですが、それでも最後まで諦めずに走りました。パンクしたときは6番手まで順位を落としましたが、そこから2位まで順位を上げられた点は良かったですね。次の目標は全日本優勝。世界選手権でもトップ30位以内を狙っていきたいですね。アジア選手権では今回戦ったJohn Andre AGUJA選手も来るはずなので、チャンピオンとしてディフェンディングできればなと思います」
【男子ユース】
野嵜然新(弱虫ペダルサイクリングチーム)
「最初からガンガン攻めていこう!と思っていましたが、みんなついてきて『ツラいな、どうしよう』みたいな気持ちでした。でもそうはいってもガンガン攻めていくしかないと思ったら、最後の周でまさかのパンク。『全部空気が抜けたらどうしよう』と不安もありましたが、なんとか逃げ切れてよかったです。今年は結構いい感じでトレーニングをこなしてましたが、国内の中でもかなりテクニカルコースだったのでプレッシャーもありました。とにかく“XCを速く走らせる”っていう難度の高さでは日本で一番だと感じました。でもこういったハイスピードのコースを走れないと、ヨーロッパやアメリカなどの海外レースでは戦えないな、とも思います。来年はジュニアクラスに上がってしまうので、1戦1戦を大事にしていきたいです」
【男子ユース】
松 海司(Sonic-Racing)
「今日のレースのために調子を上げてきましたが、野嵜選手が速くて、自分がミスしたときに一気に離されてしまいました。レース終盤には野嵜選手のメカトラで追いつけそうになるチャンスもありましたが間に合いませんでした。そこが次への課題かな、と思っています。八幡浜のコースは上りがきついですが下りは楽しくて、テクニカルな部分も気に入っています」
合言葉「マウンテンバイクの聖地」を掲げる八幡浜市
今回の会場となった八幡浜市は、四国の西の玄関とも言われる海上交易の街。古くは九州や関西、今では大分との海上交易が盛んに行われている街でもある。全国屈指の柑橘類の産地としても有名で、1年を通して多種多様なみかんが楽しめる。漁業も盛んで、取り扱い魚種は200以上。「ちゃんぽん」「マウンテンバイクの聖地」を合言葉にしており、今回の大会では八幡浜ちゃんぽんが選手への参加賞として配られた。
八幡浜市長 大城一郎氏のコメント
「レンタサイクル事業もあり自転車との相性がいい八幡浜市。私も昨年、大会に参加してみましたが、市民の中にも徐々に自転車が広まっているような感覚があります。MTBは楽しいし、この会場は他の場所と違って街中からアクセスしやすいというのも、魅力のひとつだと思っています。
この会場は普段スポーツパークとしてMTB以外にもいろいろな催しが行われています。なのでこの場所で自転車の大会が行われていると、自転車乗りじゃない方も『見に行って応援してみよう』という気持ちになるのではないのでしょうか。市民の皆さんに観戦や応援されるので、選手の人も走りやすいんじゃないかと思います。MTBに対して市民の方々の関心が高くなってきている。それが大会やMTBそのものを盛り上げる秘訣じゃないかと思っています。
ここは日本一のコースだと思ってますし、大会参加者の人たちが気持ちよく走れるようにしたい。やっぱり応援が多い方が走りやすいですよね。苦しいとこで『頑張って!』という応援があったら、選手もやりがいが感じられてお互いにとっていい関係を築けるのではないでしょうか」
地元の観戦者からもテクニカルなコースが好評
当日、観戦に来ていた地元のライダーに八幡浜のコースについて話を聞いてみると「最高です。とても面白くテクニカル。すごく素敵なコースなのに、無料で走れる。世界レベルのコースを走れることを、宝物のように感じてます」と好評だった。地元でもサイクリストから愛されるコースであることは間違いないようだ。
クロスカントリー・オリンピック競技 リザルト
男子エリート
1 沢田 時 宇都宮ブリッツェン 栃木県 1:28:01.12
2 平林安里 TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM 長野県1:29:58.11
3 佐藤誠示 SAGE’S STYLE 埼玉県 1:33:25.59
女子エリート
1 小林あか里 弱虫ペダルサイクリングチーム 1:33:46.97
2 Ya Yu TSAI Chinese Taipei Cycling Team 1:36:06.61
3 Ariana EVANGELISTA Philippine National MTB Team 1:36:40.63
男子U23
1 副島達海 大阪産業大学 大阪府 1:16:51.39
2 松本一成 TEAM RIDE MASHUN 長野県 1:17:27.28
3 Mark Louwel VALDERAMA Philippine National MTB Team PHI 1:19:48.69
男子ジュニア
1 John Andre AGUJA Go for Gold PHI 1:06:10.90
2 高橋 翔 TeensMAP 東京都 1:07:31.75
3 内野友太 Q-SHU UNION CJ UNIT 熊本県 1:07:37.85
女子ジュニア
1 日吉愛華 LimitedTeam846まるいち 1:02:46.52
2 北津留 千羽 Q-MAX 1:04:28.29
女子マスターズ
1 中川左裕里 SOHAYA RACING B 愛媛県 38:29.83
2 綾野桂子 TEAM GRM 埼玉県 39:01.48
3 三山由紀 マウンテン☆ポテト B 広島県 40:49.09
男子マスターズ
1 白石真悟 シマノドリンキングXC A 山口県 56:50.53
2 品川真寛 MIYATA-MERIDA BIKING TEAM 神奈川県 57:22.32
3 岡本紘幸 NESTO FACTORY RACING 愛知県 58:52.53
男子ユース
1 野嵜然新 弱虫ペダルサイクリングチーム 東京都 52:34.82
2 松山海司 Sonic-Racing 兵庫県 52:37.79
3 松井颯良 Sonic-Racing 大阪府 54:22.61
女子ユース
1 有松鈴々菜 Q-MAX 福岡県 30:31.39
2 石川七海 SBC Dirt Union 千葉県 31:12.73
3 日吉彩華 LimitedTeam846まるいち 愛知県 37:24.24
男子アドバンス
1 直野泰河 UNITY 大分県 45:56.06
2 William TURNER SOHAYA RACING B 愛媛県 46:23.08
3 石川 翔 GIANT 港北 神奈川県 46:34.80
男子チャレンジ
1 間所尚和 CHAMPIGNON et TETE RASEE 大阪府 31:55.80
2 正木 勝 rabbitstreet UBE 山口県 32:10.06
3 高橋佳幹 チームWAVE 香川県 32:13.64
XCOコース情報
コース長:4.2km
最高地点:281m
最低地点:190m
標高差:91m
スタート標高:235m
大会情報
開催日:2023/5/26-28
開催地:愛媛県八幡浜市 市民スポーツパーク
主催:八幡浜MTB実行委員会
共催:八幡浜市
主管:愛媛県自転車競技連盟
後援:一般財団法人日本自転車普及協会、一般財団法人自転車産業振興協会、一般社団法人自転車協会、一般社団法人MTBリーグ ほか
協賛:シマノ、オージーケーカブト、ほか
公認:公益財団法人日本自転車競技連盟
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