ツール・ド・熊野は岡 篤志が総合V。最終ステージは山本元喜、トマ・ルバが逃げ切りワン・ツー
Bicycle Club編集部
- 2023年06月04日
ツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)第2ステージが和歌山県太地町で開催。104.3kmで争われたレースは、すべてのスプリントポイントを通過したのちに集団から飛び出した山本元喜とトマ・ルバ(ともにキナンレーシングチーム)がそのまま逃げ切り。最後は山本が先着してステージ優勝をつかんだ。
僅差で迎えていた個人総合争いも順位変動が激しいものに。リーダージャージを着用して臨んだ山本大喜(JCLチーム右京)はフィニッシュ直前でバイクトラブルがあり遅れてフィニッシュ。残り3km以内でのトラブルにより救済されたものの、同タイムで着順で上回ったチームメートの岡 篤志が個人総合優勝を決めた。
周回を重ねるにつれて脱落者続出のサバイバルレース
2daysのツール・ド・熊野は大詰め。最終ステージは熊野灘を望む太地半島での開催。起伏に富んだ太地の町をおおよそ一周する形の周回で例年タフな展開が繰り広げられる。連日の雨も降り止んだことで、太地港からの見晴らしも良く、レース短縮ももちろん無し。104.3kmの美しいコースが選手たちを待った。
第1ステージ終了時点の個人総合順位は山本 大、次いで岡のJCLチーム右京勢がトップ2を固める。これを36秒差で11人が追う。途中2回のスプリントポイント、そしてフィニッシュ着順での順位変動に注目が集まった。
スタートからキナンレーシングチームらがアタックをかけるが、JCLチーム右京が睨みを利かせ、ジャージを守り抜く意志を見せる。決定的な逃げは作られないまま、3周目に突入すると、最初のスプリント争いへ。中井唯晶(シマノレーシング)、留目夕陽 (EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム)、ベンジャミ・プラデス(JCLチーム右京)の順に通過し、ボーナスポイントを分け合うと、中井と留目が早速個人総合順位をあげる。
3周目に突入すると愛三工業レーシングが先頭に浮上。コース後半のワインディング区間で奇襲に出ると集団の息遣いが荒くなる。再びキナンレーシングチーム、EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチームも有効な仕掛けを見せると集団はさらに活性し、メイン集団は一気に40名ほどに。
5周目もハイスピードでスプリントポイントに到達。ここはジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリング チーム)、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、 ホセ・ビセンテ・トリビオ・アルコレア(マトリックスパワータグ)の順で各自ポイント奪取。セインベヤールが再び3位に浮上するなど、バーチャルながら慌ただしく順位が変動する。
すべての中間スプリントが完了し、いったんレースが落ち着くかと思いきや、タイミングよく山本 元が飛び出す。まるまる一周を逃げたところで、今度は集団からトマが単独追走。すぐに山本 元に追いつくと逃げ切りを視野に入れながら先頭で周回を重ねた。
2人のランデブーを容認したメイン集団は最大45秒のリードを与える。イエロー有するJCLチーム右京はこのまま残り周回を消化できれば理想的。ステージ勝利が欲しいキナンレーシングチームとの関係は最後まで続く。結局、大きな動きがないまま、山本元、トマがフィニッシュラインに到達。山本 元が前を促され、ワン・ツー勝利を飾った。続いてメイン集団も姿を現すと、ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ)を先頭になだれ込んだ。
これにて山本 大の個人総合優勝かと思われたが、最終局面でバイクトラブルに見舞われていたため、メイン集団から約1分30秒遅れて姿を現した。救済処置が施されたため、集団と同タイム扱いとなるも、ステージ着順で上回る岡が繰り上がりで勝者に。チーム内でジャージを受け渡す結果となった。個人総合優勝を果たした岡は「昨日のステージで1、2フィニッシュを飾り、今日も強いチームに守られて結果を残した。世界で戦うチームに所属しているので、ツール・ド・熊野とツアー・オブ・ジャパンで力を見せることができてよかったと思う」と表彰台でコメント。
また、新人賞もチーム内で入れ替わり、メカトラブルの影響を受けた留目から山田拓海(EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム)にジャージが渡っている。
このほか、マトリックスパワータグが個人総合TOP10に2名を入れることに成功。愛三工業レーシングチームの石上優大も9位に滑り込んだ。
短期決戦ながら濃密でめまぐるしい展開となったツール・ド・熊野が閉幕。
先のツアー・オブ・ジャパンに続き、国内UCIステージレースのタイトルを獲得したJCLチーム右京が選手層の厚さを証明した。
ステージ優勝 山本元喜 コメント
スプリント周回が終わった直後、上りで抜け出して次の周にはトマが追いついてきて2人逃げになった。30秒から40秒差を維持してステージ優勝を狙うチームの射程圏にずっといたので逃げ切れるか分からなかったが、トマがずっと引いてくれて遅れないようについて行った。残り2kmを切ったところで後ろが見えなかったので、勝ちを確信した。応援してくれる人たちの前でワン・ツーフィニッシュできて本当に良かった
個人総合優勝 岡 篤志 コメント
昨日のステージでワン・ツーフィニッシュして、今日は強いチームメートに守られてフィニッシュすることができた。本当はこの地にゆかりのある(山本)大喜に勝ってほしかったけれど、ラスト3kmのトラブルで総合順位が逆転してしまった。それでも個人総合ワン・ツーフィニッシュで終えることができて本当に良かった。
このチームの目指すところは世界にチャレンジしていくことなので、国内のレースでしっかりと強いところを見せられたと思う。これからも積極的なレースをできるようにしていきたい。
ツール・ド・熊野2023 第2ステージ結果
ステージ結果
1 山本元喜 (キナンレーシングチーム) 2:31’27”
2 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム、フランス) +0″
3 ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ、ギリシア) +0’26”
4 フェリックス・スティリ(EFD EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム、スイス)
5 ライアン・カバナ (キナンレーシングチーム、オーストラリア)
6 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリング チーム、モンゴル)
7 バトムンク・マラル・エルデン (レバンテフジ静岡、モンゴル)
8 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
9 石上優大(愛三工業レーシングチーム)
10 フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ、スペイン)
個人総合時間賞
1 岡 篤志 (JCLチーム右京) 4:00’51”
2 山本大喜 (JCLチーム右京) +0’00”
3 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリング チーム、モンゴル) +0’33”
4 中井唯晶(シマノレーシング)
5 ホセ・ビセンテ・トリビオ・アルコレア(マトリックスパワータグ、スペイン)+0’35”
6 ベンジャミ・プラデス(JCLチーム右京、スペイン)
7 バトムンク・マラル・エルデン (レバンテフジ静岡、モンゴル)+0’36”
8 ダニエル・グルド (レバンテフジ静岡、デンマーク)
9 石上優大(愛三工業レーシングチーム)
10 フランシスコ・マンセボ・ペレス (マトリックスパワータグ、スペイン)
ポイント賞
山本元喜(キナンレーシングチーム)25pts
山岳賞
山本大喜 (JCLチーム右京)19pts
U23賞
山田拓海(EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム)
チーム総合
JCLチーム右京 12:03’09”
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