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兒島が独走勝利、日大時代のホームコースで逃げ切りロードレース東京多摩初代王者に

12月3日、東京都西部の多摩地域でTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023が開催された。
オリンピックレガシーとして、東京2020オリンピックでも使用されたコースを一部使用し、国内でも貴重なラインレースとして開催されたTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023。
既報どおり、男子エリートは兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が独走で優勝、2位は岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)、3位は佐藤 健(愛三工業レーシングチーム)という結果となった。

表彰台に上がった3選手は全員日本大学出身ということもあり、今回のレースコースは大学生時代に練習を行っていたいわばホームコース。

そんなホームコースで初代王者となった兒島と、2位に入った岡本のコメントからレースを振り返る。

多くの選手が慣れ親しんだコースでのレースとなったTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023

12月3日、東京都西部の多摩地域でTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023が開催された。
八王子市の富士森公園をスタート地点に八王子市内を周回してから、東京2020オリンピックで使用された南多摩尾根幹線道路や是政橋、府中市内を通るルートを東京2020オリンピックとは逆走する形でレイアウトし、東京2020オリンピックではスタート地点となった武蔵野の森公園の横を通るスタジアム通りを今回はフィニッシュ地点とする形での開催となったTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023。

今回のレースコースの一部となった南多摩尾根幹線道路(尾根幹)は、日本大学をはじめ多くの大学や実業団チームに所属する選手たちが普段から練習場所としている区間で、日本大学出身の兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)や岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)にとっては慣れ親しんだ場所でのレースとなった。

©ITARU MITSUI

兒島は「コースの一部として僕らが普段練習していた場所が含まれていて、そういうコースを走れたというのはとても感慨深いものがあります。勝手知ったるコースなので、逃げている最中もライン取り含めいろいろと有利に働く部分があったかなと思います」と、慣れ親しんだコースだからこその走りができたと語る。

一方の岡本も「大学時代毎朝練習していた場所でのレースで、普段は交通量が非常に多い場所なのに開催できたということが本当にすごいなと思いましたし、慣れ親しんだ場所を走るということでやはり特別な思いがありました」と、こちらも慣れ親しんだコースに対する思い入れの強さが表れたコメントを残す。

兒島と岡本、両選手共に「多くの観客の声援が力になった」とも語っており、この地域でラインレースをやる意味というのを選手たちも感じ取ってくれたのではないだろうか。

また、筆者がコースサイドで撮影している際に、「自転車レースってこんなに速いんですね!」「カラフルなジャージがかっこいい」など普段はロードレースを見ない、沿道にお住いの住民の方々からの反応も聞くことができた。

一方で、コースサイドにはアウトレットモールや住宅街などがあり、交通規制などで近隣住民には大きな負担となってしまった部分もある。このレースに限った話ではなく、ラインレースを行う上で地域住民への影響を最小限にするというのは国内ロードレースで共通の課題でもある。今大会の振り返りをぜひ他の大会主催者にも共有いただき、国内でよりラインレースが開催できるよう、自転車競技関係者全体でこの経験を生かしてもらえればと願う。

アタック合戦からしっかりと逃げを決めた兒島と、予想外の展開となってしまった岡本

©GRAND CYCLE TOKYO実行委員会

男子エリートは9時10分に富士森公園をスタートし、パレード区間や中央分離帯のないニュートラル区間を過ぎた6.1km地点でリアルスタートが切られると、増田成幸(JCL TEAM UKYO)らが積極的にアタックを掛けていく。

しかし、レース距離が比較的短いこと、平坦区間が下り貴重なこともあってかなかなか逃げが決まらない中で、レース中盤に設定された約2kmのニュートラル区間を迎える。

ニュートラル区間を終えると再び宇賀隆貴(稲城FIETSクラスアクト)らがアタックを仕掛け、カウンターで山本大喜(JCL TEAM UKYO)がアタックする。
この動きに兒島と伊澤将也(シエルブルー鹿屋)が続き、伊澤がドロップする形で先頭は山本と兒島の2名に。

©YOSUKE SUGA

この動きについて兒島は「レース序盤からアタック合戦になること、レース中盤にニュートラル区間があるのでそこまでは決定的な逃げはできないだろうと予想し、ニュートラル区間が終わってからアタックするというのを考えていました。ニュートラル区間が終わって前に上がろうとしているタイミングでちょうど山本(大喜)選手がアタックしたので、その動きにうまく合わせる形で逃げを決めることができました」と、狙いどおりのタイミングで逃げを打つことができたと語る。

一方岡本は「(兒島選手と山本選手が逃げを打った当初は)兒島選手が逃げていることを把握できてなくて、ちゃんと把握できたのは後半に入ってから。そこが大きなミスになってしまいました、レース前はBS(チームブリヂストンサイクリング)も集団スプリントを狙ってくるだろうと予想していたので」と、兒島の想定外の動きに後手を踏んでしまう。

「結果として集団スプリント狙いになりましたが、前半は逃げるつもりでいました。兒島選手と山本選手の逃げを許してしまったので、集団スプリントに持ち込む方向にチェンジしたという感じです」と、岡本自身も逃げを狙っていたが、その狙いどおりの動きをライバルの兒島が見事決めた形となってしまう。

現日本チャンピオンである山本大喜と兒島、強力な2名が逃げたということもあり、集団もペースを落とさずに前を追走。タイム差は20秒程度で、一時は10秒を切ってもうすぐつかまるのではないかという状況になるも、集団は2名をつかまえられずに南多摩尾根幹線道路を終えて是政橋からの平坦区間へと向かう。

©YOSUKE SUGA

山本の落車、それでも逃げ続けて優勝を飾った兒島

©GRAND CYCLE TOKYO実行委員会

まもなく是政橋という区間のコーナーで山本大喜がまさかの落車で遅れ、先頭は兒島1人に。
集団も迫っており、兒島は集団に戻るもしくは吸収されるのではないかと見られていた。
しかし兒島はそのまま独走を続ける。

©GRAND CYCLE TOKYO実行委員会

このとき兒島は「(山本選手が落車したタイミングで)集団に戻るという選択肢も頭に浮かびました。タイム差が20秒前後しかなく、後ろを振り返ると集団が見えるような瞬間もありました。ただ、いいペースで逃げることができているし、このタイミングで集団に戻るのはもったいな、いけるとこまでいこうと思ってそのままいきました」と、集団に戻るのではなく、いけるところまでいくことを選択。

トラック中距離の日本代表として独走力を持つ兒島を、集団はつかまえられそうでつかまえられない状況が続く。残り1km地点を切っても、最終コーナーを回っても集団は兒島をとらえることができない。

©GRAND CYCLE TOKYO実行委員会

このとき岡本は「兒島選手が逃げていると認識できるまではBSも同じ立場だろうと思っていて、それもあってさらに後手を踏んでしまいました。ただ、集団もそこまでペースは落ちていなかったので。最終コーナーを回ったタイミングでもかなり差が開いていて、これはもうつかまえられないかなと思いながらのスプリントになってしまいました」と、後手に回ってしまったことを悔いながらスプリントを開始する。

一方の兒島は「優勝を確信できたのは残り200m地点。残り1km地点でもタイム差が縮まっていて、ラスト500mでも集団が迫ってきているのは見えていて。200m地点で後ろを振り返ったタイミングでまだ車間が開いていたので、そこで優勝を確信することができました」と、こちらもギリギリでの優勝だったと語る。

©ITARU MITSUI

集団がすぐ後ろに迫る中残り200mで兒島は後ろを振り返り、優勝を確信すると両手を大きく横に広げる。

今シーズン、トラックとロード両方で大活躍を見せた兒島が独走で「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023」の初代王者に輝いた。

©ITARU MITSUI
©ITARU MITSUI
©ITARU MITSUI

パリオリンピックを目指す兒島、より力をつけたいと語る岡本

兒島はパリオリンピック出場を目指してネーションズカップや世界選手権等日本代表としてトラック競技で海外遠征を行ってきた。

来年に開催が迫るパリオリンピックに向け、「来年に開催が迫っているパリオリンピックに向けて時間はあまりありませんが、チームとしてはパリオリンピック出場、そしてメダル獲得というのを目標にしているので、来年2月から開催予定のネーションカップ等を通じてしっかりとポイントを稼いで出場枠を確保した上で、出場選手に選ばれるように頑張りたいと思います」と兒島は語る。

©ITARU MITSUI

一方で今シーズン優勝や表彰台を何度も獲得した岡本は「今シーズンは2位という結果が本当に多くて、全体を通して調子がいい中で勝ち切れるレースが少なかったので、とても悔しいです。でも集団スプリントのトップは取れたので、そこは良かったかなと思います。独走力のある兒島選手を逃がしてしまったこと、これが一番のミスかなと思います。僕自身ももっと独走できる力をつけて、勝ち切れるようにならないと。来年はもっと勝てるように、スプリントだけでなく、逃げでも勝てるようにオフシーズンを過ごしたいと思います」と、これまでとは違った走りを来年は見せたいと語る。

©ITARU MITSUI

国内でも貴重なラインレース、それも多くの観客が集まるエリアでの開催となった今大会。
オリンピックレガシーとして、そして国内でも屈指のラインレースとして、来年以降も開催されることを願いたい。

男子エリート リザルト

©ITARU MITSUI

1位:兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) 1時間29分13秒
2位:岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) +3秒
3位:佐藤 健(愛三工業レーシングチーム)
4位:松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)
5位:岡 篤志(JCL TEAM UKYO)
6位:今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)
7位:中島 渉(JBCF JET選抜B)
8位:大前 翔(慶應義塾大学)
9位:小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)
10位:柚木伸元(日本大学)

敢闘賞

山本大喜(JCL TEAM UKYO)

©ITARU MITSUI

地元賞

兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)

©ITARU MITSUI

THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023 公式サイト

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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